● 2007年2月(2006年度第10回)
2月2日に開催した今年度第10回番組委員会は、放送事業者委員を交えて、データ捏造があった『発掘!あるある大事典U』問題について、制作した関西テレビの報告を聞き、番組を視聴後、どうしたらこういう問題を起こさないように出来るかについて話し合った。
概要は「放送番組委員会記録」2月号に掲載。
■番組委員会の審議
◆『発掘!あるある大事典U』問題
納豆によるダイエット効果を紹介した関西テレビ制作の『発掘!あるある大事典U』(1月7日放送)でデータの捏造などがあった問題について、まず関西テレビから「視聴者の信頼を裏切り、テレビ界全体の問題として波紋を投げかけたことに対し責任を痛感する」と陳謝があった後、捏造が発覚してからこれまでの経過報告があった。
他のメディアからの質問状に対する調査によって捏造が判明したこと、社内調査だけでなく外部の第三者による調査委員会に、徹底した調査を依頼し報告書を3月中頃にまとめ検証番組を制作すると表明。また、キー局からは放送責任、さらには、今や外部協力無くして番組は出来ないとの実情が報告された。
これを受けて審議に入った。各委員の主な意見は以下の通り。
●外部の制作会社と放送局の関係に関して
「手柄を立てないと生き残れないプロダクションと放送局のあり方の問題で、今度の問題は放送界の体質の問題だ」
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「どうしたら制作会社の質の向上、地位向上がはかれるかを考える必要がある」
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「視聴率競争のなかで、放送局からプロダクションに過度の要求はしていないのか」
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「過当競争で孫請けは絶対面白いものを作らなければというプレッシャーが捏造を生む原因ではないか」
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「バラエティー一辺倒のような編成責任が問われなければならない」
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「ネタ枯れにも拘わらず無理に番組を続けていないか」
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「ジャーナリズム産業の基本の放棄だ。それは視聴率の過当競争からくるものであり、プロダクションの過当競争にもつながっている。そこを直さない限りダメだ」
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「一貫した品質管理がない。民放のビジネスモデルのなかに不祥事が入り込む隙間があるのではないか」
●チェック機能、教育などに関して
「告発本が市販されているのになぜチェックしなかったのか不思議だ」
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「事実かどうかのチェックではなく、面白くできているかどうかに力点が置かれたチェックでは、何重にしても意味がない」
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「放送従事者の教育制度、責任意識欠如の問題。番組経験、取材経験が少ないまま管理者になっていくシステムの問題も」
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「出演者も視聴者ももう少しメディアリテラシーが必要」
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「科学的手法を使って根拠がある、事実だと言ってしまうところに問題がある」
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「視聴率競争そのものを変えていくのか、それともそれはやむを得ないという前提でチェックを厳しくするなどして再発防止を目指すのか、大きな分かれ目だと思う」
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「視聴率競争こそテレビ界のエネルギーであり、視聴率競争をなくそうというのはナンセンス。ただ、それが捏造をも辞さないというゆがんだエネルギーも生むのだという認識をして、それをチェックするのは放送事業者の放送文化に対する見識に頼るしかない」などの意見が出た。
●行政と放送局の関係について
「不祥事が起きた時に総務省との関係をどうするのかBPOとして考えなければならない問題だ」
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「総務省が電波法に基づいて報告を求めているが、おかしい」
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「こういう時こそ、番組委員会は“行政が出来る範囲”は何なのかキチンと言うべきだ」
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「局の責任を一方で求め、その一方で総務省にアピールを出すというセットで番組委員会はアピールを出せる」
などの意見が出た。
そして、「放送局と総務省に対してわれわれはこういう懸念、関心を持っているということを、有識者委員一同でアピールや声明を出してはどうか」という意見のもと、委員会で議論された問題点をまとめ、2月7日に 放送番組委員会・有識者委員声明(別掲)を出した。 |