放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2006年12月(2006年度第8回)

 12月1日に開催した今年度第8回番組委員会は、放送事業者委員を交えて「命令放送」、日弁連がBPOに申し入れた『消費者金融・クレジット業者のテレビCM中止の要請』について議論するとともに、「これからのバラエティー番組の可能性」について次回から議論することを決めた。また、視聴者意見の概要を報告した。

 議事の概要は「放送番組委員会記録」12月号に掲載。

■番組委員会の審議

◆「命令放送について」

 11月10日菅総務大臣がNHKのラジオ国際放送に対して「北朝鮮の日本人拉致問題に特に留意すること」という実施命令の変更を行ったことについて、委員会で議論した。
  まず、NHKの委員から国際放送実施命令の内容、放送法の規定などの説明があり、「これまでも毎年4月に命令があったが、そのこととは別に、放送の自主自律の下、NHKの編集権に基づいて、NHKの責任でこれまでも放送を行ってきたし、今回改めて命令の変更をいただいたが、NHKの自主的な編成権の下で、放送をしていくということについては、いささかも変更がない」「そもそも命令放送を含む国際放送の枠組が編集の自由と矛盾する要素を包含した形になっているので、編集の自由がきちっと確保されるような形での枠組の再検討を是非この機会に進めていただけたらなと思う」などの考えが示された。
  ディスカッションでは、有識者委員から「結局命令を受けたことになるのか、ならないのか」「命令放送には罰則がない」「命令放送を受ける前に、NHKがこれは問題だと言っていれば、電波監理審議会でももっと議論したのではないか」「原理原則があって、表現の自由を命とするマスメディアが命令を受けて放送するという形を容認するのかどうかということが、問題になると思う。命令の中身によって良し悪しが判断されることではない」「“命令することができる”と法律に書いてあるので、放送法を変えない限り命令できるわけだが、問題は、政府広報の中身には、行政広報と政策広報があり、行政広報は、どこの国でもだいたいやっていいことになっている。しかし、政策広報はしてはいけないという国が多い。だから、放送法の条項を変えるか、さもなければ、命ずることができるものの範囲を行政広報に限るとか限定しないと、非常におかしなことになる」などの意見が出た。
  意見を求められた民放の委員からは「拉致問題を具体的にどういうふうに放送しなさいと言われた場合には、我々の編成権を侵害するのではと声高らかに言えるが、命令放送というネーミングが、問題を複雑にしてあらぬ誤解を生んでいるのではないか。今回の場合は、柔らかい言い方をすると、“拉致問題に関しても留意してちゃんとやってくださいね”っていうことではないのかなと理解している。具体的な内容は、NHKにお任せしますということだと我々は結論つけざるを得ない」との考えが出された。
  更に有識者委員からは、「拉致問題が“時事”“国の政策”“政府の見解”の全てにかかるとかなりの干渉になるのではないか」「対応の問題より、法律そのものの改定の働きかけをする必要がある」「編集権を侵害するようなものは皆の力で変えていくことが必要」「民放連は命令放送を変えようという動きをしないのか?」「総務省の“命令放送についての見解”では“NHKの編集権に配慮し”となっているが、“配慮し”ではなく、“表現の自由を保障”しなければならないのは国なのだ」「NHKは喧嘩が下手だ。この命令は受けるわけにはいきません、これは私たちが譲れない最後の一線です、私たちはこの命令については拒否しますとやんわりと言えば、NHKもなかなかやるじゃないという気運を作れたと思う。しかし、命令を聞く聞かないは言わずに、自分たちは自分たちの考えに従って、これからも放送を続けますと受けると、結局は命令を受けたんだなという印象が強まってしまうように思う」「放送法を変えるべきだが、とりあえず33条の削除を民放も一緒に考えて欲しい」などの意見が出た。

◆日弁連の「消費者金融・クレジット業者のテレビCM中止要請」について

 利息制限法を超える金利を徴収することは違法と最高裁が明確に判断したにもかかわらず、依然として違法金利による貸付が続けられており、テレビCMを全面中止すべきだとの日弁連の要望書がBPOに提出されたことを受けて、委員会で議論した。
  民放の事業者委員からは、「現在業界の主要10社は午前7時〜9時、午後5時〜10時までCMを自粛している。各局も青少年に奨励する番組には自粛するなど、状況を見ながら対応している」「特定の業種を限って一律にCMを拒否するということには慎重な対応が必要だ」「多重債務問題などはシステムも含めた対応が必要で、CM中止で全て問題が解決するのか疑問」「テレビの影響力の大きさは重々自覚しており、検討しなければいけない問題だ」「近く各局が、この問題で議論を始めることになっている。国会での法改正の動きを見ながら、自分たちの中で判断していこうとしているので、もう暫く時間をいただきたい」との考えが表明された。
  有識者委員などからは「どこか一社がやめることはできないと思う。CM中止ではなく、CMを流すに当たって、民放連として金利表示を正しくして欲しいというような要望書のようなものを、企業相手に出すことが出来るのかどうかだ」「公共性の論理構築、制度構築みたいなものをメディアが自らやっていって、その上で消費者金融CMは止めますというような方向で検討していかなければいけない事ではないのか」「放送された広告にメディアはどこまで責任を負うのか」「現状では、“予見可能性”が明らかでなければメディアの責任は問われていない」「考査機関があるから、これはちょっとあぶないぞと思う時は掲載しない、放送しないってことはずいぶんやっている」「ただ、訴えられはしないかもしれないが、道義的責任というものがあって、数年前『サンデープロジェクト』を提供している金融系の会社がやはり問題になって、番組の中でその事について言及したことがあったと思う」「予見可能性は、当然最高裁判決で違法だということをみなさんご存知なわけなので、違法な商品を販売するCMを放送して、その放送によって借り入れをして破産に至ったということになれば、因果関係を立証するのは難しいとは思うが、法的構成としては可能なのかもしれない」「商品ではなく企業イメージ広告はどうなのか」「ラジオでは消費者金融のイメ−ジCMは全て謝絶している」「CMを自粛するかどうかの前に、そのCMをたくさんスポンサーとして受けてしまうと、この問題についてきちんとした報道が出来ない可能性があるということは、論じないといけない。最高裁判決が出て、社会問題にはなっているわけだから、それがきちんと取り上げにくくなってしまうのが、一番問題なのではないか」「ここで原理原則みたいなものを作ってしまうと、猥雑でごちゃごちゃしているのがエネルギーの民放テレビのそのエネルギーを削いでしまうような気がするので、非常に限定的なガイドラインを作って、日々のワイワイやっていくという気風を作ったらと思う。民放連がどう判断するかということも大事だが、そこであまり永遠に続くようなガイドラインを作って欲しくない。例えば利率が下がったら全面解除しようというほうが良いと思う」などの意見が出た。

◆これからのバラエティー番組の可能性

 委員長から「今まで、報道番組についていろいろ議論してきたが、議論したらきりがない問題をたくさん抱えているので、この辺で議論の方向をバラエティー番組に持って行ったらどうだろう。必ずしもニュースだけが報道ジャーナリズムではなく、バラエティー番組も一種ジャーナリズム番組と見られなくはない。むしろ、バラエティー形式で、ジャーナリズムをやっているというような番組も結構ある。上手くいくと面白くなりそうだなという番組も、かなり見られるようになってきている。テレビにおけるバラエティー番組の可能性、問題点。こういうところをもっと気をつけなくてはいけないのではとか、あるいはもっとこういう可能性を掘り下げてほしいとか、そういう現在のバラエティー番組に対する建設的な批評と、提言をしていくというところに議論の対象を向けていきたいと思う」と提案し、議論した結果、次回は「政治バラエティー番組」を中心に議論することになった。

以上