放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

   ■委員会の説明
   旧放送番組委員会 委員紹介
   ■議事のあらまし
   ■視聴者からの意見
   ■「声明」「見解」など

[HOME]


■ 番組委員会議事のあらまし

::バックナンバーはこちらから

● 2006年10月(2006年度第6回)

 10月6日に開催した今年度第6回番組委員会(有識者委員と放送事業者委員が出席)は、「テレビと政治」をテーマに意見交換を行った。また視聴者意見についても検討した。

 議事の概要は「放送番組委員会記録」10月号に掲載。

■番組委員会の審議

◆「テレビと政治」

 9月に行われた自民党総裁選挙、安倍内閣誕生を中心にして「テレビと政治」というテーマで、最近感じていることを有識者委員から出し、その後、事業者委員との意見交換を行った。
(▽有識者委員、▲事業者委員)

9.11から5年。当時は、テレビも含めたほとんどの人が、報復攻撃を主張した。しかし、この5年で、その主張がおかしなことになってきている。
テレビは、出来事の軽重を時間の量でやるしかないメディアだ。テレビはワーッと報道した、政治的な問題を報道した。それが、間違っていたかもしれない、やりすぎたかもしれないというときに、どう取り消すのか、反省するのか、どう軌道修正するのかということは、今、テレビが政治報道を巡って、特に問われている問題になっているのではないか。
マッカーシー時代のエド・マーローの映画の中で、マーローは「ジャーナリストの多くは、自分たちの責務は、重要人物が行動し、発言する事実を報道することにあるという。重要人物の発言の真贋は、自分たちが判断する問題ではないというわけだ」と、その重要人物の行動と発言だけをフォーカスしてしまったメディアを批判している。今、注意しないと、官邸のメディア戦略に巻き込まれてしまう可能性があるのではないか。
放送に対する行政指導が多くなり、しかも早くなっていることに危機感を持つ必要があるのではないか。
予算委員会での田中真紀子議員の質問を、各局は揃って取り上げているが、“面白ければいいのか”と思う。 口当たりの良いものばかりでない作り方にこそ、肝の据わった報道姿勢を感じるのではないか。
事実の報道なら「報道」、解説なら「解説」、政治エンターテインメントなら「エンターテインメント」と、区別をはっきりさせるべきだ。
結果が見えていただけに、安倍政権誕生はワイドショーでも盛り上がらなかった。
インターネット世論調査をどう考えるか、大きな問題になっていく。
テレビが政権与党の広報機関になってしまう危険を避けるためには、もっと工夫が必要だ。
政治を皆の話題にしていくための方法論が、もっと開発されないといけない。
全体主義に向かっていく傾向がある中で、社会の空気を冷やすジャーナリズムとしてのテレビの大きな役割を、どう考えているのかという疑問を強く感じる。

放送事業者との意見交換では以下のようなやりとりがあった。

<総務省の行政指導について>

意図があってしたことではなく、十分注意が行き届かなかった。従って行政指導によって編集権を侵されたとは考えていない。
総務省の行政指導に対しては、当該局だけでなく、メディア全体として考えた方がよいのではないか。
我々は、“相当突っ込んできているぞ“という危機感までは持っていない。まだ、アクションする段階ではないという認識だ。ただ、総務省の動きには注意はしないといけない。

<世論調査やアンケートについて>

官邸は相当緻密に世論調査を政治に駆使しているが、バラエティー番組などで、調査の名に値しない調査もある。設問の仕方や調査方法は吟味をしているのか。また、使い方にも問題があるのではないか。
「世論調査」と銘打っているものは、信用できる調査会社と組んで、しっかりやっている。しかし、ワイドショーなど、番組内の調査というのは、そうではない。「番組調べ」と「世論調査」は区別して使っている。
携帯やインターネットでの投票というのは、傾向は見えるが、国民全体の意識とは受け止められない。
あまりにもテレビの中で調査が安易に使われ、結果がちがうと、どれも信用できなくなる。調査データの扱い、出し方にはもう少し慎重に、そして工夫がいるのではないか。
データをただ投げ出すのでは、どっちにも使えるので、そのデータを読むこと、データの向こう側に見えるものは何だろうといろいろな角度から議論して欲しい。

<政治の取り上げ方>

安倍さんのことばかり伝えるなという視聴者意見が多いが、テレビは、基本は野次馬、おっちょこちょいなものだと思っている。ただ、問題は、大量に伝えたことが、視聴者から見たら、支持に繋がって行くと思われてしまう。この仕組みの問題だろうと思う。そう思わせない工夫が必要。
総裁選の時に、もう大勢は決まっていて、国民の関心はすでに安倍さんに決まった後のことに向いている。そういう中で「公平性」を問われると、視聴者の関心には応えられないと思う。
世の中の大勢に従って伝えるというのは、時として極めて危険だ。キチンと考えつつやらないといけない。
バラエティー番組は、様々な番組がありバランスが良いが、報道の方は何かあると一辺倒になりバランスを欠き硬直していると感じる。
そういうことがあるとすれば、おそらく取材体制、記者クラブ制という仕組みの中で情報が吸い上げられてきていることと関連しているかなと思う。

◆視聴者意見の検討

 総裁選関連と、皇室関連報道について「過剰報道ではないか」という意見が多く見られた。
また、スポーツ番組をはじめ、ニュース番組などでも「この後すぐ」という予告をしながら、すぐにやらないことについて視聴者からの抗議がこのところ増えていることについて議論した。
有識者委員からは、「みんな腹を立てている」「評判悪い」「やめた方がよい」との指摘があり、放送事業者委員からは「放送人の倫理観、普通の常識に任せて、通達を出すとかという議論をすべき話しではないのではないか」という意見が出た。有識者委員からは「品性の問題だと思う」「評判が悪いということがわかればいい」との声があった。

以上