放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

   ■委員会の説明
   委員紹介
   ■議事のあらまし
   ■視聴者からの意見
   ■「声明」「見解」など

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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2006年4月(2006年度第1回)

 4月5日に開催した2006年度第1回番組委員会(有識者委員が出席)では、委員長を含む4人の委員が交代。規約に基づいて互選で天野祐吉委員を委員長に選出、その後、委員長が田中早苗委員を副委員長に指名する手続きを行った。また、自己紹介を兼ねて「最近の放送に思うこと」と題して新委員にお話しいただき、続いて3月の視聴者意見の検討、委員会の進め方について話し合った。

議事の概要は「放送番組委員会記録」4月号に掲載。

■番組委員会の審議

 委員会の冒頭、清水英夫理事長が「この委員会は、視聴者を代表して放送局に物申すという機能をぜひ積極的に果たしていただきたい」と挨拶。

◆「最近の放送について思うこと」

石田佐恵子委員:文化社会学の立場からテレビを研究している。2001年の9・11をボストンで経験し、アメリカのメディアが変わっていくことをまのあたりにした。あの年からテレビやメディアや、いろいろなことが劇的に変わってきてしまったと考える。21世紀のテレビは、インターネット時代とグローバル化が非常に大きなキーワードになっており、テレビが今までの形を変えて、自由にいろいろな場所で見られるようになり、発信もテレビ局などにとらわれずに出来るようになる。こうした映像配信が人々の暮らしをどう変えるのか、私たちの文化がどう変わるのかに大変、関心がある。また、文化としてのテレビを研究するにはテレビ番組の図書館が必要で、ネットを通じてどこでも引き出せるようなものを是非作ってもらいたいと考えている。

市川森一委員:私は、シナリオライター、日本放送作家協会理事長という立場から、苦情を伺っていくというよりは、放送の現場から、こちらがいろいろ苦情を提言するということになってしまうと思う。例えば、NHKは不正経理の再発防止のために、発注する放送作家を厳重に審査する委員会を設けた。そういう仕組みがいったんできると、作家の思想信条についての調査機関にまでなりかねないという危惧も持つ。現場は、放送作家も役者もディレクターもプロデューサーもクリエイタ−同士の信頼関係でつながっているのだが、その人間関係までも断ち切っていくような組織の事務的なチェックの構図が、私たちの人間関係までも阻害していきつつある。これは確実に作品の質にも影響してくる。
  脚本についてもアーカイブスが必要で、準備を始めた。

天野祐吉委員長:ブログの登場はテレビジャーナリズムの形を非常に大きく変えていくきっかけになると思う。この問題は、ここでも取り上げていっていい問題だと思う。
  もう1つは公共性という問題で、特にNHKの最近の問題などがあり、テレビの公共性とは何なのかについてもしっかりやっていかなければならない。なるべく具体的な番組を取り上げてやっていくのがいいかなと思っている。その1例として、テレビショッピングというのはいったい何なのか。あれは全部コマーシャルだ。しかも商品ジャーナリズムの視点から推薦できるということでそろえているものではなく、儲かる商品しか扱っていない。そういうものが番組として商品ジャーナリズム然とした顔をして放送されていることが許されるのか。僕にはまったく理解ができない。テレビジャーナリズムという問題を考えるときの具体的なテーマになるのではないかと最近感じている。

◆“視聴者意見の検討”

 「民主党の偽メール問題をずっとやっているが、それ以外にも内外に重要な問題があるだろう。ひとつの問題に集中する傾向がある。どうして同じことばかり放送するのか」といった意見に対して、委員からは「放送界は“競争が大事だ”と言うが、“競争が画一化に向かう”という視点を放送文化の中でもうちょっと議論する必要があるのではないか」「番組のワイド化で、同じことを何度も何度も繰り返すから、まるで同じことをいつも見ていると感じてしまう」「コメンテーターもほとんど同じ顔ぶれ。事件は同じでも、さまざまな視点があり、意見が違えばいいのだが、同じ人間が局を変えて出ているだけだから、ますます同じ内容になってしまう」「ワイドショーの形式そのものは非常にテレビ的でいいものだと思うが、ある事件がビデオで伝えられ、それに対してスタジオでトークする。その比率が昔は半々ぐらいだったが、今は、ビデオが7〜8割、スタジオトークは2割ぐらいに減っている」「スタジオでは余計なことを言ってほしくないのだろう。テレビ局が作り上げたストーリーを壊してほしくない、とにかく段取りどおりに行きたいのだ」「ニュース番組にしても、視聴率によって非常に左右されるところが昔より顕著になってきた」「同じ話題を繰り返し繰り返し朝昼晩やると、ものすごく世の中全体が内向きになっていく。日本のテレビはこの度合いがひどすぎるのではないか。これが社会にもたらす影響というものについて、もうちょっときちんと考えないと、何か変な国になっていくなという気がする」「内向きの報道ばかりだと韓国や中国の問題や北朝鮮の問題でも、取り返しのつかないことになる可能性は十分あるのではないか」「総論的に言うと、作るというバネが非常に低くなって、流すだけになっている」

◆今後の委員会運営について

 委員長をはじめ4人の有識者委員の交代を受けて、今後の放送番組委員会の運営について検討した。その中で、委員会での議論をこれまで以上に放送現場に反映してもらうための方策、『テレビ批評』の重要性などについても話し合った。そして委員会のテーマとして、“テレビって何だ“を年間テーマとして、その入り口として情報・ワイドショーも含めて“テレビ報道の問題”を3回ぐらいかけて議論することにした。

以上