放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2005年12月(2005年度第8回)

 12月2日に開催した2005年度第8回番組委員会(有識者委員と放送事業者委員が出席)では、「番組トラブル防止を考える」をテーマに、放送事業者委員から各社の対応を聞き、意見交換をおこなった。また「視聴者意見」について検討した。
  議事の概要は「放送番組委員会記録」12月号に掲載。

■番組委員会の審議

◆「番組トラブル防止を考える」

 字幕の誤字・脱字のようなものから、編集ミス、誤報、やらせ、人権侵害まで、テレビ不信に繋がる様々なミスを防ぐために、各局は放送前にどのような手立てを取っているのか。また、こうしたらトラブルが減ったという事例などを、放送事業者委員が報告。それをもとに有識者委員との意見交換をおこなった。
  放送事業者委員からの報告で共通しているのは、「トラブルを隠さずにオープンにして、皆が情報を共有することが大事で、放送に携わる個々人が放送倫理意識を高めるしか方法はない。とくに、報道番組と情報番組の境界線がどんどん変わってきており、新しい状況に対応していかなければならない。そのためには、地道にケーススタディーを続けていくしかない」と、定期的に勉強会を続けている事。
  また、「プロダクションとのコミュニケーション不足がもたらすトラブルがある。番組を一緒に作っているという意識で、トラブル事例の勉強会にも出てもらうようにしている」「相談窓口担当者は、相手が相談しやすい態度が必要だ」などの各社の対応が報告された。
  それでも、トラブルがなくならない事については、「放送後、指摘されるまで気が付かなかったトラブルはある。それらは、制作者・取材者の思いこみや、面白くしようとした結果であることが多い。引いた目で見ることが大事だ」などの体験も紹介された。
  こうした成果として「事前チェックで防止できたケースが多くなった」「同じ番組で2度トラブルを起こすケースは大幅に減った」という報告や、「生番組で“ゲートキーパー”という、スーパーチェック要員を置いてから、誤字・脱字が減った」などの紹介があった。
  その一方で、「トラブルを怖れるあまりに、自由な発想、感性が鈍ってきたと感じることがある」「何でも考査に相談して、逆に自分で考える力が落ちている。判断力の放棄に繋がると危惧する」との弊害も指摘された。

 こうした、放送現場からの報告を聞いて、有識者委員との意見交換を行った。
(▼有識者委員、▽放送事業者委員)

仕事をくれる側の要求に応えないと生活できないというプロダクションと局との関係のあり方をそのままにしておいていいのか。
かつては確かにあったが、現在は、一緒に作ろうというコミュニケーションをベースに、外部プロダクションにも入ってもらう会議を持つようにしている。
トラブルを起こさない番組が良いのか?トラブルを生じさせても放送すべき番組というのもあるかもしれない。
過剰に自己防衛的になると、表現の幅や役割を制約してしまうおそれがある。
クレームに対して、トラブルを恐れて言わなければならないことを言わないということはあってはならない。
「なぜこの番組を作るのか、なぜこのテーマでやるのか、という現場の“動機づけ”が外部から与えられること、それが番組トラブルの根本にあるような気がする。あえて言えば“知的劣化”が、今のテレビ制作の現場に蔓延しているのではないか。
わかり易くするために、大事なところをカットしてしまい、問題を起こすケースがあるとのことだが、“わかりにくくても良い”という演出も考えてみるという機運はないのか。
制作者側だけではなく、多様な人の視点からものを言う場が必要だ。そうでないと、気づかずに見過ごしてしまうことがあるのではないか。
若い人は、クレームに対しきちんと説明する事が出来なくなっており、簡単に謝ってしまうのが問題だ。
トラブルを防ぐために相談に来る数は増えたが、逆に、思考と判断の放棄に繋がる危険性を感じる。

◆視聴者意見の検討

 11月20日までの2ヶ月間の視聴者意見では、特に未成年者、児童が殺害された事件報道の伝え方、取材に対する意見が多かった。委員からは「匿名か実名かは、各社が独自に判断すべきだし、そうしている」「犯人が逮捕されたかどうかなど時期や、被害者感情などを十分考慮して判断している」「被害者の周辺取材などでは、取材場所の配慮も必要だ」「取材される側の気持ちになって取材する事が大事」などの意見が出された。
  また、そのほかの番組について有識者委員から出された「クイズ番組が増えているが、断片的な知識を競うだけのものが多い。もう少し面白いクイズ番組は出来ないものか」「局の番組批評や、説明、お詫びをする番組枠はあるのか。外部の人の意見も入れているのか」などについても、放送事業者委員と意見交換をおこなった。

以上