放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2005年10月(2005年度第6回)

  10月7日に開催した2005年度第6回番組委員会(有識者委員が出席)では、「選挙報道を考える」をテーマにテレビ批評家の志賀信夫さんから、9月総選挙の開票速報番組についてお話をうかがったあと、意見交換をおこないました。また「主な視聴者意見」について検討しました。
  議事の概要は「放送番組委員会記録」10月号に掲載しています。

■番組委員会の審議

◆「選挙報道を考える」

 志賀信夫さんは、要旨以下のように語りました。

・開票速報開始後3分で比例の3人の女性の当確が2局で報じられ、その3分後には万歳の映像が出た。1時間もたたないうちに、注目の男性候補の落選が報じられ、1時間後には自民党圧勝の予測。これで実につまらない開票番組になった。これほどつまらない開票番組は今までなかっただろう。50万人規模の出口調査で正確度が増した結果だが、開票が進む前にテレビが当落を決めていいのか、議論が必要だろう。

・ビデオリサーチの最新の調査では、視聴者のうち、「番組を重視している人」は3.5%、「情報として便利だと利用している人」が3.4%、つまり7%弱の人がテレビをまじめに見ている。「まあまあ満足」30.4%、「だらだら見ている」36%、「仕方がなく見ている」26.3%となっている。

・小泉首相はこういう状況を知っていて、テレビを有効に利用したのではないか。「テレビはワンフレーズで勝負だ」「同じことを繰り返すことの効果」も考えて、毎日テレビカメラの前で実践していたのではないか。
  さらには「自民党内紛発展型選挙」に仕立て上げたのではないか。それをテレビはおもしろがって伝えた。

・小泉劇場で演じられたのは「郵政民営化」という同じテーマを唱えたミュージカルであった。

・テレビがいかに興味本位、視聴率第一主義で選挙報道を続け、その結果無意識のうちに自民党をサポートしたか。そういうテレビを責めるよりも、視聴者に変化してもらうしかない。「テレビを見るな」「テレビを使え」と言いたい。視聴者がテレビの使い方を変えていくことでテレビは何とか少しは良くなるのではないか。

 志賀さんの話のあと、選挙関連の視聴者意見を事務局が報告し、意見交換が行われました。主な意見は次の通りです。

「現状のテレビはジャーナリズムか?」

「今のテレビはジャーナリズム機関ではない。テレビというのは、部分を切り取らざるをえないのだから“知らせる”ことは出来ても、本当に“伝える”ことは非常に難しいとおもう」

「だらだら見ている視聴者には分かり易さが一番ということで、郵政民営化賛成か反対かは分かり易い、刺客も分かり易いと判断して報道するのは視聴者をバカにしていないか?」

「テレビは市民が思っていることを世の中に伝える回路であるべきだ」

「郵政民営化に賛成か反対かだけでなく別の視点を提供するのもメディアの役目ではないのか。そういう役割をテレビが果たしていないし、果たそうという意欲もないのかもしれない」

「自民党の内紛発展型が面白いと一番思ったのは、視聴者よりもテレビ局の番組制作者たちだったのではないだろうか。そして作り手たちが自ら小泉劇場にのめり込んでいったのではないか」

「メディア関係者が一番メディアを見ている。そして、同業者のネタを元にちょっと変えるだけの企画で、違う方向に変えない。そのことの不思議さを全然マスコミの人は気がついていない」

◆視聴者意見の検討

バラエティー番組に対しての<低俗・モラルに反する>との視聴者意見について、「かつては、裸が出てきたり、差別用語が出てきたりしていたが、そういうものはすごく減ってきている。ただ『表現の品性』は今すごく落ちている」などの意見が出されました。

以上