放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2005年9月(2005年度第5回)

  9月2日に開催した2005年度第5回番組委員会(有識者委員と放送事業者委員が出席)では、「娯楽としてのテレビを考える〜テレビを中心にした一家団欒はもうないのか〜」をテーマに意見交換をおこないました。また「主な視聴者意見」について検討しました。
  議事の概要は「放送番組委員会記録」9月号に掲載しています。

■番組委員会の審議

◆「娯楽としてのテレビを考える〜テレビを中心とした一家団欒はもうないのか〜」

 事務局から議題の趣旨説明が行われた後、意見交換しました。有識者委員(▽)と放送事業者委員(○)の主な意見は次の通りです。

視聴者ターゲットを絞ることの良さは、ドラマでは個性的になって、特定の世代にびしっと弾を撃ち込んでいくような良さがある。しかし、どんどんそうなると、今度は皆が見られるような番組がなくなってきてしまった。また、家族みんなで見る番組を作る姿勢も薄くなってきていると思う。
編成上は特にターゲットを絞ったものはBS、CSで対応し、地上波は総合編成をしているつもりだが、なかなか世代を超えて広がらない。
テレビの前に揃っての家族という団欒概念ではなくて、田舎と都会に離れていても、家の中で別々に番組を見ていても、家族という一つの視聴文化、受容文化というのはあるんだろうと思う。それは大切にしていかなければいけない。
高齢者に対する番組、高齢者を巻き込んだ番組を作ろうという時に、現場の制作者に“高齢者=浪花節と演歌”の意識がある限りは、敬遠されると思う。“高齢者はもうビートルズ世代なのだ!”ということを、まず現場の人が、知って欲しい。
団欒と言っても、世代で捉えるのは非常に難しいと思う。生活スタイルによって、あるいはいろいろな文化なり娯楽との触れ方とか積極的な姿勢とか、そういうものによって、非常に違っている。
今はみなバラバラになってきた。テレビを皆で一生懸命見つめたということが求心力だとすると、今、その反対に遠心力が働いていると思う。テレビでも社会でも世界全体もそうなっている。そのことの反映が今の日本の社会だ。そういう状況の中で1人1人の感受性が変わってきていると思う。
十数年前に一家団欒を目指した番組を考え、その時はそれが成功したと思った。今はそういう番組は、多分無理かなと思っている。ターゲットを絞り込んで番組を作ることに、皆だんだん慣れてきたし、そういう傾向になってきたと思う。
NHKの視聴者がやや高齢層に片寄っているので、もう少し、下の年齢層にも見ていただけるように鋭意努力しているが、なかなか難しいというのが実感。
個性化・多様化、ターゲットを絞るということが、そこに入っていけない人たちにとっては常に、排他性を呼び寄せているというところが気になる。その辺を、いかに開放的にやっていくかということが求められている。
テレビは毎日放送する分を作らなければならない。そこで、たまにはスペシャルドラマを作ろうかとなり、特別な企画が求められている、そんな時代になってきているような気がしている。
  そんな中で今一番感じているのが、作家の指向性やテーマの幅が非常に特化してきているということだ。
関西人は基本的にはテレビにツッコミを入れたり、テレビと会話するのが好きで、そういう意味では東京よりは複数で見るという傾向はあると思う。だから、かなり東阪格差が出てきて番組の作り方が非常に難しくなってきている感じがする。

◆視聴者意見の検討

 日本テレビのドラマ『女王の教室』について、多くの批判的意見が集中しましたが、委員の中からも「子供たちのモラルが汚される展開が長く、見ていていやだと思った」との意見が出されました。これに対して放送事業者側からは「少子化でますます大事にされる子供たちが、社会の厳しい現実を誰からも教えられないで育っていくことを危惧し、同時に、子供は本来とても強いものであり、無限の可能性を持っていることをもう一度再認識したいという思いで作っており、最後まで見てほしい」とのプロデューサーの考えが報告されました。また、選挙報道について有識者委員からは「メディア報道の視野が、すごく狭くなっている感じがあり、それを誰も疑問にも思わなくなってしまっているという印象がある」「政治的な公平の問題で気になるのは、量の公平さを非常に気にし始めているのではないか。量に囚われすぎると非常に間違った方向に行ってしまう。本当の政治的な公平が図られていかないのではないか」などの意見が出されました。

以上