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視聴者ターゲットを絞ることの良さは、ドラマでは個性的になって、特定の世代にびしっと弾を撃ち込んでいくような良さがある。しかし、どんどんそうなると、今度は皆が見られるような番組がなくなってきてしまった。また、家族みんなで見る番組を作る姿勢も薄くなってきていると思う。 |
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編成上は特にターゲットを絞ったものはBS、CSで対応し、地上波は総合編成をしているつもりだが、なかなか世代を超えて広がらない。 |
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テレビの前に揃っての家族という団欒概念ではなくて、田舎と都会に離れていても、家の中で別々に番組を見ていても、家族という一つの視聴文化、受容文化というのはあるんだろうと思う。それは大切にしていかなければいけない。 |
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高齢者に対する番組、高齢者を巻き込んだ番組を作ろうという時に、現場の制作者に“高齢者=浪花節と演歌”の意識がある限りは、敬遠されると思う。“高齢者はもうビートルズ世代なのだ!”ということを、まず現場の人が、知って欲しい。 |
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団欒と言っても、世代で捉えるのは非常に難しいと思う。生活スタイルによって、あるいはいろいろな文化なり娯楽との触れ方とか積極的な姿勢とか、そういうものによって、非常に違っている。 |
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今はみなバラバラになってきた。テレビを皆で一生懸命見つめたということが求心力だとすると、今、その反対に遠心力が働いていると思う。テレビでも社会でも世界全体もそうなっている。そのことの反映が今の日本の社会だ。そういう状況の中で1人1人の感受性が変わってきていると思う。 |
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十数年前に一家団欒を目指した番組を考え、その時はそれが成功したと思った。今はそういう番組は、多分無理かなと思っている。ターゲットを絞り込んで番組を作ることに、皆だんだん慣れてきたし、そういう傾向になってきたと思う。 |
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NHKの視聴者がやや高齢層に片寄っているので、もう少し、下の年齢層にも見ていただけるように鋭意努力しているが、なかなか難しいというのが実感。 |
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個性化・多様化、ターゲットを絞るということが、そこに入っていけない人たちにとっては常に、排他性を呼び寄せているというところが気になる。その辺を、いかに開放的にやっていくかということが求められている。 |
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テレビは毎日放送する分を作らなければならない。そこで、たまにはスペシャルドラマを作ろうかとなり、特別な企画が求められている、そんな時代になってきているような気がしている。
そんな中で今一番感じているのが、作家の指向性やテーマの幅が非常に特化してきているということだ。 |
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関西人は基本的にはテレビにツッコミを入れたり、テレビと会話するのが好きで、そういう意味では東京よりは複数で見るという傾向はあると思う。だから、かなり東阪格差が出てきて番組の作り方が非常に難しくなってきている感じがする。 |