放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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   ■議事のあらまし
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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2005年7月(2005年度第4回)

 7月1日に開催した今年度第4回番組委員会(有識者委員が出席)では、中央大学総合政策学部の松野良一教授を招いて「学生アンケート調査に見る“現代ジャーナリズムに求められるもの”」についてお話いただき意見交換をおこないました。また「視聴者意見」について検討しました。 
 議事の概要は「放送番組委員会記録」7月号に掲載しています。

◆現代ジャーナリズムに求められるもの

3つの大学で行ったアンケート調査から見えた学生のジャーナリズム感について松野良一中央大学教授は次のように語りました。

  • 現在のジャーナリズムを信頼していると応えた学生は32パーセントしかいなかった。その理由は 「市民の立場に立っていない」「マスメディアは人権を侵害している」「国民の知る権利とか表現の自由を主張するが、それは市民の為ではなくマスコミ企業のためである」「自社の不祥事について、ちゃんと反省報道しない」「ニュース番組も大衆迎合報道になっている」など、テレビジャーナリズムに非常に不満があると回答している。
  • その一方で「テレビジャーナリズムにとって重要なことは何か」との問いには、「正確な報道」「絶えず市民の立場に立って報道する」「国家権力を絶えずチェックする」などと答え、本物のジャーナリズムを学生たちは志向している。そして、「最後の言論の砦として頑張って欲しい」と、ジャーナリズム本来の精神には、ほとんどの学生が期待していることがわかった。
  • デジタル時代のジャーナリズムはどうあるべきかについては、マスメディアからだけでなく、もっと多様な視点を得たい。将来的には市民ジャーナリズムが発生してくることに大きな関心を示している。しかし、マスメディアが持つ本来のジャーナリズム機能の発揮が最重要だとしている。
  • ジャーナリズム不信の構造解析で、デジタルメディアの使用との関係を見ると、ネットやブログなどの使用時間が長い人ほど、マスメディア・ジャーナリズムへの不信感が高く、地域メディアとか、市民メディアへの期待が大きい。
  • 地域情報に関するニーズと地方テレビ局への不満が多く、自分が利用している駅周辺情報、商店街情報など非常にミクロな情報を求めている。一方で、デジタルメディアの倫理性の欠如への不安が非常に大きい。
  • 自分たちが発信できたり、選択権が自分たちにあることを知ってしまった人たちが、ジャーナリズムに対して不信感が高いことが今回の調査で明らかになったので、デジタル時代のジャーナリズムはどうあるべきか再考すべきではないか。

このあと委員からは次のような意見が出されました。

かつては学生と大衆像とは別だったのに今や同じだということが気持ち悪い。
何でも知っていて、何事についてもジャーナリスティックに反応できる人間こそジャーナリストだというのは幻想だ。優れたジャーナリストはある意味でだらしなく偏っているものだ。
マスメディアに対する信頼性が低下してきている一方で、依存度はむしろ高まっている。依存度が高まれば不満も高まる。
受け止める側がものすごく変質しているのに、テレビは相変わらず同じ事をやっている。
「正確な情報」とは何なのか。ただ事実だけを出されても誰にもわからない。マスコミは可能な限り広い視野からの判断なり論評をしてほしい。

◆視聴者意見の検討

 視聴者からは、「若貴報道」に対して、「プライバシー侵害だ。公開裁判のようだ」という批判が集中しました。
  委員からは

あるワイドショーの担当者が、番組の性格を考え、若貴報道をやめたら3パーセント視聴率が下がったと聞いた。

おそらく担当者も「くだらない、でも仕方がない」と思いながらも、「視聴率」だからと、こういうものがいつも繰り返されている。これが一番テレビの信頼性を損なう大きな原因だと思う。

などの意見が出されました。
  そのほか、「“非科学的な番組はやめるべきだ”との意見に対して『これは、冗談、物語世界の事だから鵜呑みにしてはいけないよ』というように普段から親が教えるべきではないか。番組を即刻中止せよというのは早計過ぎる」との視聴者意見について、「“まだやってる。やめるべきだ”という清潔主義に対して“これは冗談冗談”というように、多少の余裕を持って見ようよというのは大事な意見だ」などの意見が出されました。
以上