● 2005年5月(2005年度第2回)
5月13日に開催した2005年度第2回番組委員会(有識者委員が出席)では、まず事務局から、総務省の行政指導についてBRCと青少年委員会でそれぞれ議論した結果、「今回はBPOと直接関係がないケースなので特別な行動は起こさないが、BPOとして重大な関心と懸念を持って注視していく」ことで一致したことが報告されました。 委員会では“4月の視聴者意見の検討”を中心に審議し、またシンポジウムの具体的詰めを行いました。
議事の概要は「放送番組委員会記録」5月号に掲載しています。
◆視聴者意見の検討
<JR西日本脱線事故報道について>
事務局から4月に寄せられた視聴者意見の概要が報告され、それをもとに議論しました。この中で特に、JR西日本の脱線事故報道、なかでもJR西日本の記者会見での取材態度について、次のような意見が多く出されました。
▽ |
記者会見で罵声が飛ぶなど、今や取材の仕方、方法、姿勢が本当に劣化している。取材者とは何なのか、何故そこにいられるのかということから考えてもらわないといけない。 |
▽ |
1人1人ではそうならないが、集団的取材になると下品で、威圧的な、嵩にかかって取材対象を攻撃するやり方は、根本的には記者クラブ制度に問題がある。 |
▽ |
“市民に代わって聞いてやる”という姿勢も間違いだ。マスコミはいつから「知る権利の代行者」だと自らを定義するようになったのか。しかも、そのことをマスコミの人たちは誰も疑わなくなっている。 |
▽ |
取材者は“自分は何を知りたいのか”“何を明らかにしたいのか”が分からないまま、ルーティーンワークで取材をしているのではないか。 |
▽ |
世の中すべて“黒白はっきりさせたい”という風潮があり、はじめから黒だと決めつけて取材している。 |
▽ |
人々の気分にメディアが同調してしまっている。悪者を見つけていじめる傾向があり、記者クラブ制度に守られて、無自覚、思考力停止の中で取材して、視聴者の欲望を満たす手助けしかしていない。 |
▽ |
浅間山荘事件以来、ビッグニュースが高視聴率をとれる“ドラマ”になってきた。ドラマ性を如何に盛り上げるか、視聴率を高めるためにどうするかという方向に傾斜しているのではないか。「大ニュースをドラマ化するな」と言いたい。 |
<不祥事を起こしたタレントの復帰について>
また、かつて窃盗を働いたことを番組で告白した女性タレントが、数局の番組で相次いで復帰したことに対しても視聴者から批判の声が多く寄せられました。このため、委員会では初めて当該番組のビデオを取り寄せ、その内の一番組を視聴して議論しました。主な意見は次のとおりです。
▽ |
タレントの過去の犯罪行為を番組にしたテレビ局の責任の取り方。テレビ局はどう反省し、彼女を復帰させるに当たりどう判断したのかを視聴者に分かるように説明しないと、不信感を強めさせるだけだ。 |
▽ |
プロダクションとの力関係において、“テレビ局っていい加減だ”という感じを増幅させていることは確かだ。 |
▽ |
番組の仲間内だけで許して済ませているから、見ていると余計不愉快になる。 |
▽ |
“局はこう判断した”と視聴者にメッセージを出せる番組がプライムタイムに必要ではないか。 |
◆シンポジウムの検討
「“表現の自由”は誰のもの?」と題するシンポジウム企画を検討し、開催日時と場所を決めました。また、講演者、パネルディスカッションのパネリスト、コーディネーターの候補者を絞り、今後、事務局が折衝にあたることになりました。
シンポジウムの日時、場所は以下の通りです。
日時:7月29日(金)午後6時半から9時
場所:千代田放送会館2階ホール「スペースエコー」(千代田区紀尾井町1−1)
|