放送倫理・番組向上機構[BPO]


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放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
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■ 番組委員会議事のあらまし

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●2004年2月 (第10回)

ドラマ制作の課題

  2月6日に開催した今年度第10回番組委員会(有識者委員と放送事業者委員による全体会議)は、2003年10月の小委員会での議論を受けて“ドラマ制作の課題”をテーマに取り上げるとともに、“CMのあり方”についても意見交換しました。また、2004年1月中にBPOへ寄せられた視聴者意見の概要を担当調査役から報告しました。

◆“ドラマづくりの課題”めぐり意見交換

 初めに、ドラマの演出やプロデュースに長年携わってきたフジテレビの山田良明委員が、10月小委員会の議論を踏まえ、ドラマづくりに対する考えや課題について説明しました。

▽ドラマ界全体で優れたドラマ制作を応援したい

 山田委員は、「ドラマにはそれぞれに“作り手の思い”があるものだが、かつて視聴率が振るわなかった時、自分たちが作りたいものと視聴者が求めているものがズレていると気付き、視聴者が何を求めているのかを考えて企画したのがトレンディドラマだった」と話しました。また、「あまり高視聴率だと、作り手が無理をしてしまうこともある。基本的に、ドラマはそれほど視聴率を取れるものではないという思いで作っており、小委員会で議論されたような“視聴率を取るためにドラマを企画する”ことはあり得ない」と述べました。また、「最近は、倉本聰さんや山田太一さんに続くような確固たる世界観を持った脚本家が少ないが、一方で、じっくりと書く30歳〜40歳代の脚本家も育ってきている。こうした人が増えれば、また質の高いドラマも出てくるのではないか」と述べるとともに、最近増えつつある、小劇場出身の役者などの活躍にも期待を示しました。
 さらに、「視聴率を話題にするよりも、良いドラマを積極的に褒めていくことが必要」とし、テレビドラマ界全体として、優れたドラマづくりを応援していきたいとの考えを示しました。

▽“何度見ても感動できるドラマ”を目指して

 意見交換では有識者委員から、「役者や脚本家などアーティストを育てる体制づくりに、テレビも一緒に取り組んでいく必要があるのではないか」「今シーズンは昔の作品をリメイクしたドラマが好調だが、やはり役者と脚本が良ければ視聴者は見るものだと感じている」などの意見が出されました。
 また、「“再放送は価値が落ちる”という発想ではなく、何度見ても感動できる質の高いドラマを作っていきたい」との放送事業者委員の発言に対しては、有識者委員からも、「短期間で勝負するドラマだけでなく、時間をかけて、全体として視聴率を取っていくドラマもあってよい」「放送時には低視聴率でも、その後で人気が出てきたドラマもある。自分たちのやってきたことを再発見していくことも必要ではないか」との意見や提案が出されました。このほか、放送事業者委員から「人の生き方に焦点をあてるドラマが盛り返してきた背景には、かつてのF1層が、いまF2層になってテレビのメインターゲットになってきており、F1層の時とはドラマに求めるものが変わってきたこともある」との発言もありました。

◆“CMのあり方”について意見交換

 続いて、CM表現をテーマにした1月小委員会の議論を踏まえ、CM考査の実態や番組宣伝のあり方について議論しました。
 初めに放送事業者から、スポンサーの業態審査に始まる自社のCM考査体制の説明がありました。
 有識者委員からは、「ショッピング番組は、CMではなく番組として放送されているようだが、これは“放送局の小売業化”ではないか。放送は文化を担い、公共の信頼を得なければならない、ということが揺らいでいる象徴だと思う」との意見がありました。
 また、“番組宣伝の時間量が多い”との1月小委員会での指摘について、放送事業者委員から、「何を放送しているのかをきちんと周知するのも一つの責任と考えている」との説明があったほか、「番組宣伝の枠自体はそれほど多くはないが、よく見られている時間帯に流すことが多く、目立つのかもしれない。量的・内容的なバランスを取り、節度をもって放送していきたい」との考えが示されました。
 有識者委員からはまた、「CMに関する視聴者からの意見を読むと、CMで表現されているメタファー(隠喩)を読み取れるだけの余裕がなく批判しているものが多い。そこで表現されているウィットやさまざまなレベルの映像や言葉を、社会の豊かさとして受け入れるような、視聴者とCMの関係を作っていく必要があるのではないか」との意見が出されました。

以上