放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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   ■議事のあらまし
   ■視聴者からの意見
   ■「声明」「見解」など

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■ 番組委員会議事のあらまし

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●2004年1月 (第9回)

CM表現について

  1月9日に開催した今年度第9回放送番組委員会(有識者委員のみによる小委員会)では、“CM表現”をテーマに、島森委員による講演の後、意見交換しました。また、BPOに寄せられた視聴者意見の概要を担当調査役から報告しました。
 なお、議事に先立ち、2003年12月11日に自民党からBPO宛に送られてきた二つの審理要請案件について、事務局から経緯を報告し、意見交換を行いました。

◆自民党からの申立てについて検討

 初めに事務局から、自民党からの審理要請2案件に関する12月16日開催のBRCでの検討結果について、「①藤井孝男議員からの申立ては審理対象事案として受理したが、当該局に話し合いの意向があるため、双方の交渉経緯を見守ることとした。②安倍晋三幹事長名による自民党からの申立てはBRC運営規則に照らして審理対象外とした。ただし、②の申立てはBPO宛となっていることから、今後、BPO全体として検討することにした」と報告。続いて、番組委員会としての対応について意見交換を行いました。
 委員からは、「申立てに基づいて、権利侵害があったか否かを議論するのは、番組委員会としての機能と異なる」「民放のニュース番組はキャスターの個性が出るものと、視聴者も承知している。見る側の判断は自由でよい」「政治的公平に客観的基準はない。何が公平かは市民一般が見つけ出していく問題だ」などの意見のほか、「これからは、むしろBRCが公的な団体からの申立ても取り上げて新しい基準を作り、司法がそれを参考にして判例の一つの基準となっていくことがあってもよいのでは」との考えも示されました。また、「番組委員会は、視聴者の常識に則り、公平性を絶えず追求していくことに変わりはない。番組のあり方をさまざな角度から議論するのはいいが、個々の案件について権利侵害かどうかの見解をまとめるのは、運営規則の面からも難しい」との意見も出されました。

◆ CM表現について意見交換

▽日本のCMの現状と、海外との比較

 島森委員の講演ではまず、昨年1年間に各種賞を受賞したり話題になった国内・海外のCMを、それぞれ10本ほど視聴。その上で、海外のCM表現について、「広告すべき商品にしっかり付きつつ、イメージの飛翔力があり、アート性やユーモアもある」とするとともに、「表現の方向がぶれることなく、それを継続することで、企業のブランドイメージが蓄積されている」と述べました。
 一方、日本のCMの現状を、「行き当たりばったりの表現で、商品が売れなければやめる、という繰り返し」と指摘。その理由として、特にバブル崩壊以降、社会全体の風潮と同様、広告の世界でも新しい時代のイメージが掴めていないとするとともに、コンビニの普及などで商品が売れるか否かの結論を早く出さなくてはならないことから、CMにも即効性が求められて声高な作りになり、効果が上がらなければ商品とともにCMも消える現状などを挙げました。さらに、日本で企業のブランドイメージが蓄積されない要因の一つとして、キャンペーンのたびに広告会社が変わるなど“広告主と広告会社、CMクリエイターの信頼関係の弱さ”を指摘しました。
 また、「みんなが一定の共通認識を持っている日本では、タレントを出せばコミュニケーションの半分は成立し、ゼロからアイデアを作る努力をしなくても伝わるが、今は海外で作ったCMがそのまま日本で流れるケースも増えており、これまでのやり方では通用しなくなってきている」「何を買っていいかわからない時代だからこそ、広告は新しい生活イメージを提案していかなければならないのではないか」と述べました。

▽バブル崩壊以降のCMのあり方とは

 意見交換では、「1980年代まで成立し得ていた広告の批評性が、なぜ90年代から崩壊したのか」との質問に対し、島森委員は「バブルに向かっていた時代にはCMにも“遊び”が許され、その中で自分の商品を客観視できる面もあったが、今はそれが許されなくなっているのでは」との考えを示しました。
 さらに、委員からは、「商品と人を結び付ける欧米の“コマーシャル”と、広く伝えて押し付ける日本の“広告”とは、根本的に違うのではないか」「CMの音量が気になる。音量が大きいほうが見てもらえるという誤解があるように思う」「日本のCMも、海外のように標準の長さを1分間にしたら、話法や文法が変わるのでは」といった声のほか、「CMを作るにあたっては、“生活の実感”から物事を発想してほしい」と意見も出されました。また、「NHKを含め、最近は番組宣伝のCMが多いのが気になる」との指摘もありました。

以上