放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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■ 番組委員会議事のあらまし

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●2003年12月 (第8回)

「視聴率問題について」

  12月5日に開催した今年度第8回放送番組委員会(有識者委員と放送事業者委員による全体会議)は、10月下旬に明らかになった日本テレビのプロデューサーによる視聴率操作事件を受けて、 “視聴率”をテーマに取り上げました。
  審議では、今回の事件を放送界全体の問題と捉え、視聴率に対する放送界・広告界の認識や自覚、新たな番組評価のあり方などについて意見交換しました。また、BPOに寄せられた視聴者意見の概要を事務局から報告しました。

◆視聴率問題について

 冒頭、日本テレビの進藤卓編成局次長が、視聴率操作問題について、同社の一連の対応を報告。続いて、意見交換に入りました。

▽視聴率を取り巻く現状の是非

 有識者委員からは、「絶対秘密裏に行われている視聴率調査のあり方に不自然さを感じる」との声のほか、「現在は、視聴率が営業収入や番組の編成、内容にまで影響を与えているが、視聴率は幾つもの指標の一つにすぎないとの立場から、もう一度考え直すべき」「テレビ局全体が視聴率主義に染められていく中で、ジャーナリズムには“売れ行き”よりもっと大切なものがあることがわからなくなってしまったのではないか」との意見が出されました。
 これに対し、放送事業者委員からは、視聴率データの利用実態について、「視聴率は、第三者の調査会社が、ある代表性を持ったサンプルを対象に、一定の誤差を踏まえた上で出しているもの。客観的で、業界すべてが扱い得る指標として、現在唯一のデータであることは事実」「今は視聴率が営業上の絶対的な基準となり、GRP(延べ視聴率)が収益高に結びついている状況だが、視聴率には、番組を視聴者がどのくらい見ているかを知り、数字を上げるために切磋琢磨する効用もある」などの考えが示されました。
 その一方で、視聴率を補完する指標への取り組みとして、「自社では約2万人の会員を対象に、インターネットを使って番組への期待度や満足度などを探る“視聴質”調査を1997年から実施している」「局に寄せられた視聴者の声を社内のイントラネットで見られるようにし、反応をダイレクトに把握できるシステムを導入している」などの対応が紹介されました。

▽視聴率偏重からの脱却を

 有識者委員からは、「視聴率の高さをCMの値段や効果と結びつけて良いのか。さらに、それを起点に番組の質や影響力まで視聴率で語るのはおかしい」といった声のほか、視聴率を分刻みに測ることや新聞等で公表することへの疑問を示した上で、「原点に戻るために、ある期限を区切ってでも、一度、視聴率調査をやめてはどうか」とする提案もありました。さらに有識者委員から、「スポンサーとの関係で、番組の評価基準を視聴率に頼らないためには、市民や第三者のレベルで文化的・公共的な評価の仕組みやその制度的基盤を作る必要がある。また、何のために番組を作るのかという人材教育や育成などの問題としても考えるべき」「番組の商品化、映画化などで発生する副次的な利益がスポンサーに配当される仕組みを作れば、結果的に質の高い番組にスポンサーがつき、視聴率偏重を是正できるのでは」などの意見が述べられました。
 放送事業者委員からは、「自社では信頼のあるプロデューサーの番組から売れる状況もあり、クオリティーを意識しないスポンサーばかりとはいえない」「視聴率は、誤差の範囲を超えて0.1でも勝った方がいいという心情を刺激するものだと、冷静に受け止めなければならない」などの意見が出されました。
 また、ラジオ社の委員からは、「ラジオで行われる年6回の聴取率調査は健康診断のようなもの。その結果は、今後の番組づくりに生かしている」「ラジオの場合、数字では他局に負けているとしても、アナウンサーの喋りによってどれだけのモノが動いたかが重視される。今後はこうした“レスポンス”が大きな評価基準になるのではないか」との考えが示されました。

以上