放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第271回

第271回 – 2019年7月

審理要請案件「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」…など

議事の詳細

日時
2019年7月16日(火)午後4時00分~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、二関委員、廣田委員、水野委員

1. 審理案件「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」

対象となったのは、秋田県内で放送された今年1月21日夜の『NHKニュースこまち845』。情報公開請求などによって明らかになった過去5年間の県内の国公立大学における教員のハラスメントによる処分に関するニュースを伝えた中で、匿名で、ある男性教員に対してハラスメントが認められ、「訓告の処分を受けた」と報じた。この放送に対して男性教員が、氏名は公表されていないが、関係者には自分だと判断される内容であり、「不正確な情報を、あたかも実際に起きたかのように間違って報道された」と主張し、「大学で正常に勤務できない状況が作られた」として、NHKに謝罪を求め、BPO放送人権委員会に申立てを行った。
委員会は、第269回委員会において運営規則の要件を満たしているとして審理入りを決定した。今委員会では、放送によって人物の特定が可能であったかどうか等、論点やヒアリングにおける質問項目を絞り込み、次回委員会で、申立人、被申立人双方に対してヒアリングを行うことを決めた

2. 審理要請案件「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」

テレビ東京は、2018年5月16日午後の『ゆうがたサテライト』ニュースで「オウム真理教事件の死刑囚らの刑執行の可能性が高まる中、オウム真理教はアレフと名前を変えて存続している」として、「教祖を失う可能性に揺らぐ教団の実態」を特集した。その中で、アレフの札幌道場前での申立人と取材記者とのやり取りを紹介した際、申立人の顔にボカシをかけたが、音声の一部が加工されないまま放送された。
これについて申立人は、再三撮影をしないよう訴えたにもかかわらず、無断で全国放送し肖像権を侵害したほか、申立人が特定できるなどプライバシーを侵害したと訴え、テレビ東京に謝罪と映像の消去などを求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してテレビ東京は、「音声が加工されずに出たのは、編集上の手違いで特定の意図はない」と説明するとともに、「アレフは団体規制法に基づく観察処分の対象」として、「報道には公益性がある」と主張している。
委員会は、運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

3. その他

  • 申立て状況について事務局から報告。映像を視聴し意見を交換した。

  • 7月26日に予定される事例研究会の進行について報告した。

以上