放送人権委員会

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2019年7月16日

「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、7月16日の第271回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

テレビ東京は、2018年5月16日午後の『ゆうがたサテライト』ニュース内で、「オウム真理教事件の死刑囚らの刑執行の可能性が高まる中、オウム真理教はアレフと名前を変えて存続している」として、「教祖を失う可能性に揺らぐ教団の実態」を特集し、その一部として最大規模の施設とされるアレフの札幌道場を取材し放送した。
放送では、テレビ東京の取材チームがアレフ道場前を取材中、申立人が「盗撮ですか」などと声をかけ、記者が「セミナーですか」と問い返す等のやり取りの場面が紹介された。この場面では、まず申立人の顔に白いボカシをかけ音声も加工されていたが、さらに続けて顔のボカシはそのままに音声は加工していない状態で「盗撮ですよ」と話す様子などが放送された。
これについて申立人は、再三撮影をしないよう訴えたにもかかわらず、無断で全国放送し肖像権を侵害したほか、加工されていない声が放送され申立人が特定できるなどとプライバシーの侵害を訴え、テレビ東京に謝罪と映像の消去などを求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してテレビ東京は、「音声が加工されずに出たのは、編集上の手違い」と説明し、「特定の意図はなく、不快な気持ちにさせたことは誠に遺憾だ」と述べる一方、「アレフは団体規制法に基づく観察処分の対象となっている」として、「報道には公益性がある」と主張している。

16日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。