放送人権委員会

放送人権委員会  決定の通知と公表の記者会見

2019年03月11日

「芸能ニュースに対する申立て」に関する委員会決定の通知・公表の概要

[通知]
2019年3月11日午後1時からBPO第1会議室において、奥武則委員長と、起草を担当した曽我部真裕委員長代行と廣田智子委員が出席して、委員会決定の通知を行った。申立人の細川茂樹氏と代理人の弁護士が出席し、被申立人のTBSテレビからは情報制作局担当取締役ら4人が出席した。
奥委員長が冒頭、「放送倫理上問題がある」と結論を告げ、その後決定文に沿って説明した。そして、「本件仮処分決定に言及しなかった結果、当事者の主張が食い違う紛争・トラブルの事案を扱う際に特に求められる公平・公正性及び正確性を欠くことになった点。及び、やんちゃ発言VTRを使用したことは、申立人の名誉や名誉感情に対する配慮に欠ける結果となり、放送倫理上の問題がある。TBSには、本決定の趣旨を真摯に受け止め、本決定で指摘した諸問題について、言葉足らずという総括にとどまらない掘り下げた検証を自ら行い、今後の番組制作に活かしてもらいたい」と述べた。
続いて曽我部代行が補足説明し、「名誉毀損の問題として扱うのか、放送倫理上の問題として扱うのかについては、全体的な状況を踏まえて、放送倫理上の問題として扱うということになった。申立人の被害感情については踏まえたつもり」と述べた。
廣田委員は、「発生から時間をおいて番組で取り上げるということは、一度沈静化したものを再燃させる可能性を充分に持っているので、より慎重に対応して、番組を作っていただきたい」と述べた。
決定を受けた申立人の代理人からは、「TBSの放送は悪質なものであり、細川さんへの謝罪、訂正、名誉回復措置の具体的な内容を検討してほしい」とする文書が読み上げられた。
一方、TBSテレビからは、「こうした放送をしたこと自体、まず率直にお詫びをさせていただきたい。今日示された問題点については、真摯に受け止めて、再発防止に努めたい」という発言があった。

[公表]
午後2時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、委員会決定を公表した。
25社42人が取材した。テレビカメラの取材はNHKが代表して行った。
まず、奥委員長が「放送倫理上問題あり」とする決定内容を説明し、曽我部代行と廣田委員が補足的な説明をした。
その後の質疑応答の概要は以下の通り。

(質問)
TBSが被害回復措置を取る用意のあることを表明していたとあるが、どの時点で表明していたのか。
(曽我部代行)
話し合いのかなり早い段階から、何らかの対応をする用意はあると言っていた。

(質問)
仮処分決定について伺いたい。地位保全とは具体的に何をさしているのか。
(曽我部代行)
所属事務所から債務不履行を理由に契約解除の通告があったが、細川さん側はそうした事実はなく、契約は有効で今までどおり活動できることの確認を求めた。裁判所がそれを認めたということ。ただし、判決とは違って決定なので詳細な事実認定や理由は書かれていない。

(質問)
実際に原稿を書いたり、編集をした人は、仮処分決定があったことを知っていたのか。責任者は知っていたと言うことだが、責任者はこの原稿をチェックしたのか。
(奥委員長)
細かいことは分からない。ヒアリングで明らかになったことについて言えば、責任者は、芸能デスクに細川さんの件はどうなっているのか聞いている。責任者はチェックはしたが、仮処分決定について重いものと受け止めていなかった。

(質問)
きょうの双方の反応は?
(奥委員長)
細川さんのほうは今までの主張をまとめる形で繰り返して主張していた。TBSは、言葉足らずということだけではなくて、いろいろ検討して真摯に対応しますという話。

(質問)
グラデーションの5段階の真ん中というのはTBS側からすると重いのではないか。
(奥委員長)
重い判断をしようとか、軽い判断をしようとか、そういうことで審理しているわけではない。審理の結果、出口としてこの結果になったので、それが放送局にとって重いものなのか軽いものなのかということは何とも言えない。

(質問)
長い番組であっても、短い尺であっても、その判断は一緒か?
(奥委員長)
名誉毀損の問題として取り扱わないで、放送倫理上の問題として考えた理由の一つとして、本件放送がごく短いもので、視聴者の受け止め方も考慮した。

(質問)
申立人が強く主張していたのは、名誉が毀損されたということだったと思うが、名誉毀損にあたるかどうかの判断をしなかったということは、名誉毀損はなかったということか?
(曽我部代行)
社会的評価が低下したということまでは明記しているが、法律的な意味での名誉毀損が成立したかどうかまでは判断せず、放送倫理上の問題ということで判断をしている。一般的な意味で名誉は傷付けられていることは明記した。

以上