読売テレビの報道番組『かんさい情報ネットten.』審議入り
放送倫理検証委員会は6月14日の第138回委員会で、読売テレビの『かんさい情報ネットten.』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、読売テレビが5月10日、夕方のニュース番組『かんさい情報ネットten.』で放送した企画コーナーの「迷ってナンボ!」で、一般男性の性別を執拗に確認するシーンが流れた。
番組は、お笑い芸人が大阪市内にある飲食店の店員の「性別が分からない常連客がいる」という声を取り上げ、芸人が常連客の男性に性別を確認。男性に名前や住所、恋人の有無を聞くなどしたうえで保険証の性別欄を撮影したり、胸を触ったりして、「男性」と確認できたと結論づけた。コーナーが終了しスタジオの映像に切り替わった際、番組のコメンテーターが「許しがたい人権感覚の欠如だ」などと批判。局には視聴者から多数の批判の意見が寄せられた。
読売テレビは、この男性に謝罪するとともに、番組ホームページで謝罪。番組でアナウンサーや解説デスク、報道局長が出演して人権的配慮に欠けた不適切な放送であったと謝罪したうえで、「迷ってナンボ!」のコーナーは当面の間、放送を休止すると発表した。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は審議入りについて、「事後の対応は自主・自律的に一定程度きちんと行われていたが、多様な性のあり方が社会で共有されている中で、放送局側の意識と視聴者の意識の差、その大きな違いを否定できない。なぜ放送に至ったのか、チェックできなかったのか、放送倫理に照らしてどう評価できるか、しっかり審議すべきだと判断した」と話している。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。