視聴者からのご意見

2019年5月に視聴者から寄せられた意見

2019年5月に視聴者から寄せられた意見

滋賀県大津市で保育園児2人が死亡、数人のけが人が出た交通事故が起きた。また、神奈川県川崎市では、被害者20人の殺傷事件があった。それらを報じた番組の報道のあり方への意見や、記者会見における記者の質問内容への批判など。

2019年5月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,481件で、先月と比較して998件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話16%、FAX 0.6%、郵便0.4%。
男女別は男性56%、女性43%、不明1%で、世代別では30歳代29%、40歳代25%、20歳代21%、50歳代13%、60歳以上9%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は延べ1,025件【43局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

滋賀県大津市で、保育園児2人が死亡、数人のけが人が出た交通事故が起きた。また、神奈川県川崎市では、被害者20人の殺傷事件があった。それらを報じた番組の報道のあり方への意見や、記者会見における記者の質問内容へ批判が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は49件、CMについては29件あった。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は151件で、前月から45件増加した。
今月は「性的表現」が55件、「表現・演出」が30件、「報道・情報」が18件、「いじめ・虐待」が15件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 大津市の事故について、遺族への執拗な取材は必要なのか。事故の原因や対策など、今後このようなことが起きないようにする注意喚起などは、メディアが担う役割だと思うが、遺族の気持ちを思いやれないインタビューをして、それを聞きたい視聴者がいったいどれだけいるだろうか。どの放送局、どの報道番組も同じようなインタビューをしている。大切な子が突然亡くなり、見知らぬ取材陣に囲まれながら、思いをわざわざ声に出して言わされる辛さを、取材している側は分からないのだろうか。

  • 大津市の事故における保育園側の記者会見は、痛ましくて見続けることができなかった。泣き崩れる園長に対し、散歩自体を責め立てるような質問や、「被害に遭った園児にどんな声をかけたいか?」といった質問。あのような事故をどう防げるというのか。保育園側を加害者のように扱い、謝罪までさせるような報道の姿勢には、大いに疑問が残った。

  • 私の家には保育園児がいる。園庭がない保育園はさほど珍しくはなく、園庭のあるところでも、園外散歩は日常的に行われている。今回の事故は、全く予測不可能な運の悪い事故だったと思う。それなのに、保育園側に会見をさせる必要があったのか?保育園側に事故責任があるということにしたいのか?一視聴者として憤りを覚えた。事故が起きた現場を検証して原因を探るほうが、よほど今後のためになるのではないか。被害者の感情を更にえぐるような今回の報道は不適切だと感じた。

  • 私は保育士。事故の報道について疑問に思うことがある。論点は、保育園に園庭があるかということなのか。私は、先月まで園庭のある保育園にいたが、季節を味わうために園児たちと散歩に行っていた。もし散歩禁止にすると、園庭に子どもが集中し、逆にけがをするおそれがある。今勤めている所は園庭がないが、国の基準に基づいた保育体制で散歩をしている。どの番組でも、園庭のないことが悪いような話で終わっているが、運転者の過失について問うべきではないか。別の園の園長に話を聞いたり、別の園の散歩の様子を検証したりするのも論点がずれている。一連の放送を見て、保育士になりたい人が減ることになれば、待機児童の問題にも影響が出てくるのではないかと危惧している。

  • 東京・池袋の死亡事故以来、高齢者の交通事故を各番組で取り上げているが、そのほとんどが「高齢者の運転は危ない」「高齢者は免許を返納すべき」といった内容である。都会の人たちはそれでいいのであろう。しかし、地方では、交通機関が十分に整備されていない地域に住む人たちや、車を運転しなければ生活必需品の購入や通院に困る人たちも多い。免許を返納した場合、タクシー券が配布される地域やシニアカーの利用を勧める地域もあるが、何年先までタクシー券がもらえるのか不安が残るし、シニアカーに乗ろうにも地方では道幅が狭く危険が伴う。そのあたりにも焦点をあてた報道をしてほしいと思う。

  • 川崎殺傷事件の報道で、視聴者提供と思われる事件直後の動画が流された。生々しい血溜まり、血痕の残る帽子やランドセル、そして心肺蘇生を受けている被害者。果たして映像で流す必要があるのか。事件の状況を伝えるのが報道だとは思うが、そこまでしなくても伝えられるはずだ。心肺蘇生を受けているということは、生死の境をさまよっている、一人の人間が生きるか死ぬかの瀬戸際だ。この映像は、そのような状況を平気で撮影する無神経な人間から提供された映像ではないか。それを使うのも撮った人間と同様、人としておかしい。

【番組全般・その他】

  • 人の命に関わる事件や事故等を報道する際、コメンテーターが笑いながら発言することが多い。人の痛みが理解できるなら、笑顔になるということはないはず。もっと被害者や遺族の感情に寄り添えるコメンテーターを出演させるべきだと思う。

  • 昼の番組で、ニューヨークに留学中の男性を取り上げていた。皇室の女性との婚約内定というだけで、彼に対するストーカー行為のような行動と放送内容があまりにひど過ぎる。勝手に付きまとい、知り合いでもないのに街中で声をかける。迷惑行為以外の何ものでもない。放送にあたり、きちんと本人の許可を取っているのだろうか。取材ディレクターの想像の話を、あたかも事実のように、テロップを入れてまで放送する番組作りにも疑問が残った。

  • 夕方の番組で、芸人が一般人に「男らしく見えない」と言い、執拗に性別を聞き出していた。それにとどまらず、体に触れ、保険証の提示を求めるなどの一連の行為には閉口した。私自身、性的少数者であるが、番組を見て非常に不快な気分になった。昨今、性的少数者に対する理解が進んでいるが、この放送は時代に逆行している。コーナー終了後にコメンテーターが疑問を呈したことで少し心が救われたが、一方で、彼以外の出演者や番組制作者たちが、何の疑問を持たなかったこともよく伝わってきた。今後、この局が番組で性的少数者の話題について取り上げる資格はないと思う。

【ラジオ】

  • 新元号に"クソ"という単語を加えたラジオネームの投稿者の作品が採用されていた。平成から令和に時代が変わることへの捉え方は、人によって様々であり、新元号をベースに笑わせることも一つの表現ではあるだろうが、あまりに配慮に欠けていないか。ラジオの深夜放送は、テレビでは使えない単語や表現でリスナーを楽しませることが、「テレビではできない」「深夜ラジオならでは」と賞賛され、採用を目指した投稿者が、過激なラジオネームや内容で勝負することに拍車をかけているが、私はやはり、クレームされないようギリギリを攻めるというようなことよりも、誰もが楽しめるような番組作りを意識して取り組んでほしいと考えている。

青少年に関する意見

【「性的表現」に関する意見】

  • バラエティー番組に出演した元オリンピック選手が、"脚フェチ"という発言をしていた。倫理観の甘さ、そこを面白いととらえたのかセクハラに気付かず放送したのは、制作側の意識が甘すぎる。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 小学生女児虐待死事件に関して、父親による性的虐待を女児が訴えていたことが分かった。本人による具体的な記述が紹介されていたが、テレビでそのまま報道する必要があったのか疑問だ。テレビで公開することで亡くなった女児の尊厳を更に損なうように思えてならない。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • 複数の女性タレントが極限のサバイバル生活を体験するバラエティー番組で、一人の女性に対して複数人で無視、陰口などいじめの典型的なことが行われていて不快だった。若者のいじめによる自殺が問題になる中、このような振る舞いをしている番組はどうなのか。子どもには見せたくない。

【「危険行為」に関する意見】

  • 子どもの医療相談をしている看護師だが、テレビをまねて綿の固まりを鼻に入れて取れなくなったと相談があった。バラエティー番組でタレントが鼻にブドウを入れる内容をまねしたそうだ。必死で面白くしようとしているのは分かるが、視聴者に悪影響を及ぼしているので内容を検討してほしい。