放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第263回

第263回 – 2018年11月

「芸能ニュースに対する申立て」事案のヒアリングと審理など

議事の詳細

日時
2018年11月20日(火)午後3時~8時5分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、白波瀬委員、二関委員、廣田委員、水野委員

1.「芸能ニュースに対する申立て」事案

対象の番組は、2017年12月29日に放送されたTBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター超豪華!芸能ニュースランキング2017決定版』。番組の中ほどで、「14位 俳優・細川茂樹 事務所と契約トラブル」とナレーションがあり、「昨年末、所属事務所から『パワハラ』を理由に契約解除を告げられた細川茂樹さん。今年5月、『契約終了』という形で、表舞台から姿を消した。」と伝えた。
この放送について細川氏は、事務所からパワハラを理由に契約解除されたことをわざわざ強調して取り上げているが、東京地裁の仮処分決定で事務所側の主張に理由がないことが明白になっており、申立人の名誉・信用を侵害する悪質な狙いがあったと言わざるを得ないと主張し、謝罪と名誉回復措置を求めて申し立てた。これに対してTBSテレビは、意図的に申立人を貶めた事実は全くないとする一方、放送に「言葉足らずであって、誤解を与えかねない部分があった」として、申立人におわびするとともに、ホームページあるいは放送を通じて視聴者に説明することを提案し、できる限りの対応をしようとしてきたとしている。
今月の委員会では、申立人とTBSテレビにヒアリングを実施した。
申立人側は細川茂樹氏本人と代理人弁護士2人が出席し、「この問題を取り上げたいくつかの局のワイドショーは、正しい裏付け取材もせずに契約解除の理由をでっち上げた内容を放送したため、謝罪コメントを番組ホームページに出してもらったが、本件放送はある局の謝罪コメントが出された10日後に放送された。TBSテレビは裏付け取材をしておきながら、申立人が契約書の条項にしたがって契約期間満了を理由に契約関係を終了したのに、裁判所で否定された前事務所側の契約解除通知を事実と称して報道した。この悪質性に鑑み、他局が行った謝罪レベルのコメントでなく、どうしてあの時期に、あのような放送を行ったのか、踏み込んだ謝罪と反省を求めたが、為されなかった。話し合いや書面でも、故意、意図的な放送ではないとする客観的証拠は示されなかった。放送の影響による被害はインターネットでまだ拡散しており、申立人の社会的地位を奪い、裁判所決定を否定した放送の責任は重い」等と述べた。
TBSテレビからは番組の責任者ら3人が出席し、「申立人の件は年末時点では視聴者の関心も薄れていると予想したが、2017年は他のタレントのトラブルも話題になっていたので、申立人の件を導入部として『タレントと事務所とのトラブル』という括りで伝えることにした。導入部という限られた時間の中で『細川さんは事務所側からパワハラを理由に契約解除を突き付けられ、これを認めずにトラブルになったけれども、別の形で契約終了の道を選び、芸能界の一線から退くことになった』ということを、どう分かりやすく伝えるか腐心した。放送時点では表現に問題はないと考えたが、申立てを受けて再検討すると、『細川さんが事務所の主張を認めていない』という点が明確でなく、視聴者の誤解を招きかねない表現だったと反省し、申立人に大変なご心痛をおかけしたことは本当に申し訳ないと思っている。ただ、『判断ガイド2018』に記載されているような『誰の目にも明らかな権利侵害』に当たるとは考えていない」等と述べた。

ヒアリング終了後、本件事案の論点を踏まえて審理を続け、その結果、担当委員が決定文の起草に入ることになった。

2.「命のビザ出生地特集に対する申立て」事案 決定の通知・公表の報告

本件事案の委員会決定(見解:要望あり)の通知・公表が11月7日に行われた。事務局がその概要を報告し、当該局のCBCテレビが放送した決定を伝えるニュース番組の同録DVDを視聴した。

3. その他

  • 次回委員会は12月18日に開かれる。

以上