2018年6月に視聴者から寄せられた意見
大阪北部で起きた震度6弱の地震をめぐる各局の災害報道のあり方への意見。東海道新幹線の無差別殺傷事件を報じた番組で、被害者に対するコメントが配慮に欠けているといった意見やリポーターの取材内容についての批判など。
2018年6月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,635件で、先月と比較して187件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール77%、電話22%、郵便0.6%、FAX0.4%。
男女別は男性58%、女性41%、不明1%で、世代別では30歳代26%、40歳代23%、20歳代22%、50歳代17%、60歳以上9%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。6月の通知数は延べ863件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、23件を会員社に送信した。
意見概要
番組全般にわたる意見
大阪北部で最大震度6弱の地震があったが、各局の災害報道のあり方への意見が多く寄せられた。また、東海道新幹線の車内で起きた無差別殺傷事件を報じた番組の、被害者に対する配慮に欠けるコメントやリポーターの取材内容についての批判も多く寄せられた。
ラジオに関する意見は57件、CMについては19件あった。
青少年に関する意見
6月中に青少年委員会に寄せられた意見は164件で、前月から56件増加した。
今月は「表現・演出」が31件、「報道・情報」が24件、「低俗・モラル」が12件と続いた。
「報道・情報」では、大阪北部地震の取材に関する意見が寄せられた。
意見抜粋
番組全般
【取材・報道のあり方】
-
大学アメフト部の緊急記者会見が、罵声の飛び交う中開かれ、それを各局で取り上げていたが、一方的に大学と広報担当者を非難するものだった。広報担当者の仕切りが悪いのは分かるが、同じような質問を繰り返していた記者側にも混乱の責任の一端はあると思う。特に、ある記者から「この問題は、大学のブランドを失墜させることになるのでは…」との声が飛んでいたが、これは、マスコミ権力を使った一種の脅しであり、非難されてしかるべきである。
-
和歌山県の資産家不審死事件の報道について。各局の情報番組では、配偶者があたかも犯人であるかのような報道が目立ち、多数のマスコミ関係者が彼女の行動の自由を妨げている。この報道姿勢には大いに疑問を持たざるを得ない。過去にあった松本サリン事件の事例から全く学んでいないのではないか。
-
大阪北部で大きな地震があったが、地震発生からヘリコプターが多数飛び交い、なぜこんなに多く飛ばさなければならないのか、疑問に思った。ブロック塀が倒れた小学校の周辺では、被害にあった生徒の情報を聞き出そうとする取材陣がおしかけ、献花に行ってもすぐマスコミに取り囲まれる始末。取材に対応するストレスも溜まり、震災報道のあり方をもう少し考えてもらいたい。
-
地震被害の大きかった大阪・高槻市に住んでいる。昨日、どの局か、表示のない取材クルーが来ていたが、取材の仕方があまりにひどかった。駐車している中継車は邪魔で、人の通行をさえぎってまで放送していた。女性リポーターは、中継の間だけヘルメットを着用していたが、それ以外の時は誰もヘルメットをかぶらず、大声で談笑し、壊れた家の表札まで無許可で撮影していた。被災した人たちは、ライフラインの状況を、インターネットでしか知ることができない。取材クルーは、壊れた家を映すのではなく、その人たちの知りたい情報を伝えるべきではないか。1995年の阪神淡路大震災でも被害にあったが、その時と取材の仕方がほとんど変わっていないように感じる。もっと被災者に寄り添った取材をしてほしい。
【番組全般・その他】
-
昼の情報番組で、米朝首脳会談の映像を流す際、トランプ大統領と金正恩委員長の肉声に、声優による日本語の吹き替えを上乗せして放送していた。声優の感情が込められた芝居作りになっていて、誇張、歪曲して伝わるため、事実を誤認してしまうおそれがあると思う。日本語訳は字幕でも表示されていたので、声優はそもそも不要だったのではないか。一国の首脳同士の会談を、キャラクターの乗った吹き替えにするのは、分かりやすさを逸脱し、冷やかしているような印象を受け、不適切な演出に感じた。
-
日曜夜の番組を見た。新幹線車内の殺傷事件について、警察署からのリポーターが「男性客に止められたことが犯人を刺激し、犯行をエスカレートさせた可能性もある」と報告していた。身をていして女性客を守った勇気ある行動を非難するようなもので、不適切極まりない。彼が行動しなかったら、女性客たちはもっと大きな被害を受けていたのではないか。番組として、犯人を擁護するようにも感じられ、その一方で、犠牲になった人に対する心ない説明が多く、見ていて憤りが収まらなかった。
-
バラエティー番組の繁華街での収録で、誘拐事件と誤解させる行為があり、警察が出動する騒ぎになったが、それだけでは済まない。今回のことをきっかけに、本当の犯罪現場に遭遇しても、通行人が「テレビの収録だろう」と思い込んで見過ごすという事態も起こり得る。社会に与えた迷惑の大きさを思い知るべきだ。
-
BSのドキュメンタリー番組に映像を提供したが、番組を見た一般の方から、「水中映像において、イルカの群れと他の魚が泳ぐ時期などに疑問がある。故意に映像をつなぎ合わせ、事実をすり替えているのでは…」との指摘を受けた。録画で確認したところ、確かにその通りで、これは、放送を通じて自然科学を一般に広く伝える上で、あってはならないことだと思う。私は、番組の編集には一切関与しておらず、映像の扱いも十分に注意するよう制作会社に伝えていた。映像は提供したが、勝手に編集され、事実と異なる内容が放送された。甚だ遺憾である。
青少年に関する意見
【「報道・情報」に関する意見】
-
大阪北部での地震で学校のグラウンドに無断で入り、児童を撮影して生中継していた。教師に注意され生中継を中断したが、児童のプライバシー保護を考えていないし、被災者の視点に立った行動をしていないことは反省すべきだ。
-
地震当日、死亡した女児の友達にインタビューしていた。被災した子どもに対して教師が心のケアに一生懸命に取り組んでいるとき無配慮なインタビューをすることに倫理観を疑った。
【「低俗・モラル」に反するとの意見】
-
アニメで、やかんのようなキャラクターが出てきて、注ぎ口が下半身にあり腰を振るという下品な表現があった。子どもの見る時間帯に不適切だ。
【「いじめ・虐待」に関する意見】
-
バラエティー番組で、有名スポーツ選手が子どものころ受けたスパルタ教育を取り上げていたが、虐待にしか見えない。虐待をスパルタ教育と容認し、それに耐える子どもを称賛する番組は虐待を増長させるのではないか。