青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第202回

第202回-2018年4月24日

視聴者からの意見について…など

2018年4月24日、第202回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催、5人の委員が出席しました。(1人は所用のため欠席)
委員会ではまず、委員長の互選を行い、榊原洋一委員(お茶の水女子大学名誉教授・小児科医)が、委員長に選任されました。
次に、3月16日から4月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
深夜のアニメ番組で、いじめや虐待のシーンに関して「リアルで真似されやすい」「過激すぎる」などの視聴者意見が寄せられたことについて、委員からは、「これらのシーンはストーリー展開上、必要なものであろう」などの意見が出されました。
4月の中高生モニターのリポートのテーマは「新年度に放送されたスペシャル番組の感想」で、33人から報告がありました。モニターからは、がんをテーマにしたスペシャルドラマについて「普段見る連ドラよりも内容が濃く、映画を見た気分になり、楽しかった」、また、ニュースを解説するスペシャル番組について「今日起きたアメリカのシリア攻撃をすぐに解説してくれてわかりやすかった」などの意見が寄せられ、それについて議論しました。
次回は5月22日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年4月24日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員

視聴者からの意見について

深夜のアニメ番組で、いじめや虐待のシーンについて「いじめの内容がリアルで、真似されやすい」「いじめや暴力表現が過激だ」などの意見が寄せられました。これに対し、委員からは、「アニメの初回であり、いじめや虐待の場面は、ストーリー展開上必要なものであろう。流血のシーンもあるが、著しくグロテスクな描き方ではない」「いじめ、虐待を肯定、推奨するような表現ではない」などの意見が出されました。
この件については、これ以上、話し合う必要はない、となりました。

中高生モニター報告について

2018年度も、全国34人の中高生にモニターを依頼しました。
4月のテーマは「新年度に放送されたスペシャル番組の感想」とし、年度初めの番組改編期に放送された様々なスペシャル番組(いわゆる特番)の中から、自由に選んだ番組を視聴し、報告してもらいました。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。33人から報告がありました。
「青少年へのおすすめ番組」に挙げられていたドラマ特別企画「がん消滅の罠~完全寛解の謎~」(TBSテレビ)をリポートの題材にしたモニターが5人おり、「おすすめ番組」と合わせて11人がこのドラマについての感想を寄せています。「主人公と仲間たちとの絆や家族愛、自分の信念を強く持つことの大切さなどが描かれており、中学生ながらにも考えさせられる場面が多くあった」など、10代ならではの感性と視点で視聴している様子がうかがえます。
「自由記述」では、ラジオについて「若いリスナーが少なくて悲しい。若い人が聴かなければ、どんどん年配向けの番組が増える」という危機感や、「もっと子ども向けのニュース番組があればニュースに興味を持つ子どもが増えると思う」などの意見がありました。

◆委員の感想◆

  • 【新年度に放送されたスペシャル番組の感想】について

    • 『バカリズムのそこスルーする?』(フジテレビ)という番組について、「スルーされたことに目を向けるというコンセプトがとても面白い」と感想を寄せたモニターがいる。そのモニターが「世の中の小さなことをテレビ番組で取り上げることはあまりないので、このような番組はとても興味がわく」と述べていて、中高生が番組に求めている期待が垣間見える感想だろう。

    • 『2018春DASHでイッテQ!行列のできるしゃべくり日テレ系人気番組NO.1決定戦』(日本テレビ)の企画について、「すっぱいものを無表情で食べるというコーナーを食事時ではなく夜10時ごろに放送していたのはよかった」との感想が寄せられたが、おそらく制作者が行ったであろう視聴者への配慮を、中学生が評価しているということが興味深かった。制作者の配慮は、中高生にもきちんと届いているということがわかる報告だった。

    • 『FNS番組対抗オールスター春の祭典 目利き王決定戦』(フジテレビ)について、「自分が参加できる企画がたくさんあって、考えたりするのがとっても楽しかった」との報告があった。クイズ番組とは、基本的にそのような楽しみ方をするものだとは思うが、中高生にとっては、やはりそういう番組が求められているのだと理解した。

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(TBSテレビ)は、今回大勢のモニターが取り上げているが、「仲間たちとのきずなや家族愛、自分の信念を強く持つことの大切さなどが描かれている」との感想にもあったように、中高生なりに考えながら視聴し、このドラマから得られることがあったということだと思う。また「カメラワークなどがよくて映像ならではのドキドキワクワクがうまく伝わってきた」というふうにも評価する声もあり、制作者のこだわりや質の高さは、中高生にもしっかりと届いているということを制作者にはぜひお伝えしたい。

    • 『西郷どんスペシャル 鈴木亮平×渡辺謙の120日』(NHK総合)を見て「本当に面白いドラマを作るには、番組を作るスタッフの努力と、役者さん達の役に対する心構えが大切なのだなと感じた」との報告が寄せられた。やはり作り手や出演者が熱意にあふれ、丁寧に作られた番組というのは、若者の心に響いているということを実感する。作り手が丁寧につくった番組を、また丁寧に見てくれている中学生がいるということは、制作者にとっても励みになるだろうと感じる。

    • 『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)に「植物のオオバコについて研究を行う中学生が登場し、説明をしており同世代の活躍にすごいという思いと、刺激を受けた」と書いたモニターがいたが、等身大の同世代が番組に出演し、ある種の活躍を見せるということは、中高生の心をひきつけるものなのだと思う。また同じモニターが「子どもにとっておもしろい内容だったが、放送時間が夜10~11時とやや遅いのが残念」と述べているが、確かに、このような番組は、子どもたちがリアルタイムで見られるような時間帯に放送されるといいのではないかと思う。

    • 『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)について、「落語や漫談など中高生はあまり見る機会のないジャンルが取り入れられていてよかった。見る前は堅苦しい芸はこの時間に合わないのではないか、と思っていたが、立川志らくさんや神田松之丞さんなど、いざ見てみると今までにない笑いの取り方がとても面白かった」と評価する報告があった。普段、コントや漫才が中心の演芸番組の中で、落語や講談、漫談が紹介されていたことが、中高生にとって非常に新鮮に映ったようだ。若い世代も、このような演芸に誘導できるという意味で、制作者にとっても新たな可能性が感じられるのではないだろうか。

  • 【自由記述】について

    • 「バラエティー番組で、番宣のために出演している人が最近とても多い」という意見がいくつかあった。今はどこのテレビ局もそういう形で番組が構成されているが、そのようなお約束事のような演出はやはり中高生にとってもあまり感じが良いものではないようだ。

    • 「大笑いできる番組が減っている」という意見について、バラエティー番組はたくさんいろいろあるのに、理屈抜きで大笑いして楽しかったといえる番組が減っているという印象をモニターが持っているということが、気になっている。

    • CMまたぎの演出について、「CM前後で同じ映像を見せることは(視聴者の)テンションが下がってしまう印象が強く、CMへのイメージを悪くする」という指摘があったが、なかなか鋭い視点だと思う。

    • 「最近のメディアは同じことばかり取り上げている」という意見と「ピョンチャンオリンピックの時、どこの放送局も同じような質問をそれぞれ別々にしていて、選手が気の毒になった」という感想が、別のモニターから寄せられた。確かに、放送局や番組ごとに掘り下げ方やアプローチの仕方に工夫を凝らし、個性を発揮して、「どこも同じ」などと言わせないよう頑張っていただきたい。

    • 「ワイドショーなどテレビの放送で、不倫や浮気の話題を大々的に扱わないで欲しい。ネットニュースで十分だ」という意見があったが、中高生としてみればやはりそう感じるのかな、と思った。

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 『みんなの甲子園』(毎日放送)を視聴し、とてもいい番組だと思ったが「僕の友だちの多くはこの番組を知らなかったので、もっと宣伝していろいろな人に見てもらえたらうれしい」という意見は、ぜひ制作者に伝えたい。

    • 『発見!タカトシランド』(北海道文化放送)について「自分の住んでいる地域が取り上げられるとうれしいし、地域の活性化にもつながると思う」という感想が寄せられているが、こういう番組はローカル放送の利点だと思う。ローカル性というものが、いかに視聴者と作り手をつなげて、楽しいものであるかという、ローカル放送の力と可能性が感じられる。

◆モニターからの報告◆

  • 【新年度に放送されたスペシャル番組の感想】について

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(TBSテレビ)3時間のドラマは、普段見ている連ドラに比べて内容が濃く、映画を見たような気分になりました。いろいろなところに伏線が散りばめられ、最後にどんどん謎が解けていくミステリー特有の感じなどが本当に面白かったです。(東京・中学2年・女子)

    • 『バカリズムのそこスルーする?』(東海テレビ/フジテレビ)スルーされることに目を向けるというコンセプトが面白かったです。世の中の小さなことをテレビ番組で取り上げることはあまりないので、このような番組はとても興味がわきます。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『2018春DASHでイッテQ!行列のできるしゃべくり日テレ系人気番組NO.1決定戦』(宮城テレビ/日本テレビ)コーナー内でいろいろな対決をしていましたが、「すっぱいものを無表情で食べる」という場面があり、そのコーナーを食事時ではなく夜の10時ごろに放送するという配慮は、とてもいいと思いました。(宮城・中学2年・女子)

    • 『ENGEIグランドスラム』(テレビ西日本/フジテレビ)4時間10分の長い番組だったが、演芸を3部構成にし、合間に歌謡ショーなどがはさまれていてまるで芸人たちの文化祭のようで飽きなかった。(福岡・中学2年・男子)

    • 『FNS番組対抗オールスター春の祭典 目利き王決定戦』(関西テレビ/フジテレビ)自分が参加できる企画がたくさんあって、いろいろ考えたりすることができとても楽しかったです。いろいろな種類のクイズがあり、見ていて飽きなかったです。(大阪・中学2年・女子)

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(長崎放送/TBSテレビ)主人公と仲間たちとの絆や家族愛、自分の信念を強く持つことの大切さなどが描かれており、中学生ながらにも考えさせられる場面が多くあった。カメラワークなどがよくて小説だけでは伝わってこないであろう映像ならではのドキドキワクワクがうまく伝わってきた。(長崎・中学3年・女子)

    • 『西郷どんスペシャル 鈴木亮平×渡辺謙の120日』(NHK総合)本当に面白いドラマを作るには、番組を作るスタッフの努力と、役者さん達の役に対する心構えが大切なのだなと感じました。今後、「西郷どん」を見る際には「西郷どんスペシャル」で紹介された役者さんの演技の工夫と役作りにも注目して見ていこうと思い、ますますドラマの続きを観るのが楽しみになりました。(福岡・中学3年・女子)

    • 『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)植物のオオバコについて研究を行う中学生が登場し、説明をしており同世代の活躍にすごいという思いと、刺激を受けた。残念だったのは放送時間。子どもにとっておもしろい内容だったが、放送時間が夜10~11時では、やや遅いのではないだろうか。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『がん消滅の罠~完全寛解の謎~』(琉球放送/TBSテレビ)医療ドラマというよりは人間ドラマという感じがした。主人公の友人や恩師など様々な人物が登場し、彼らが繰り広げるドラマに常にハラハラさせられた。もちろん医療ドラマとしても面白かった。専門用語が出てくるのだが、それらがテロップできちんと説明されており、よりわかりやすかった。3DCGを使った解説などで、言葉では伝わりにくい場面も理解することができた。3時間近い長いドラマだったが、見ていてとてもよい時間を過ごすことができた。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『オールスター感謝祭』(CBCテレビ/TBSテレビ)例年と変わらない「生放送」「ミニ企画」などやはり安定して面白かった。ドタバタ感は生放送でしか味わえないし、ミニ企画の種類が豊富なので、長時間に渡り飽きずに見られた。(愛知・高校1年・男子)

    • 『FNS番組対抗オールスター春の祭典 目利き王決定戦』(フジテレビ)4月から始まるドラマやバラエティー番組の出演者がチームで対戦する番組は、節目の時期にしか見られないので、楽しみにしていました。たくさんの企画があり、私自身もクイズに参加したくなるような作りでした。いろいろなクイズがありすぎたので、もう少しひとつひとつの企画を丁寧に詳しくやっていただきたいなと思いました。(東京・高校1年・女子)

    • 『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)番組前半は日本の風習などを池上さんが解説し、後半は生放送でアメリカのシリア攻撃について解説する内容だった。その日に起きたアメリカのシリア攻撃を解説してくれて、すごくわかりやすかった。アメリカではこのニュースが夜に発表されたので、反応が未だ出ていないという解説があったが、このタイムリーな話題は生放送でしかわからない内容だったのでよかった。(東京・高校2年・男子)

    • 『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)この番組はネタを披露する芸人のバランスがよい。勢いのある若手から賞レースで活躍する芸人、さらにはネタを披露することが滅多にないベテラン芸人など幅広く実力のある芸人が出演し、全体を通して安定していた。また落語や漫談など中高生はあまり見る機会のないジャンルが取り入れられていてよかった。見る前は堅苦しい芸はこの時間に合わないのではないか、と思っていたが、立川志らくさんや神田松之丞さんなど、いざ見てみると今までにない笑いの取り方がとても面白かった。落語や漫談をこれからも見てみようと思った。気になった点は、観客の笑い声が不自然に感じられたことだ。近年お笑い番組は減少しているが、この番組は今後もずっと見ていたい。(東京・高校2年・女子)

    • 『さんまの東大方程式』(フジテレビ)この春、高校2年になり大学受験を身近に感じるようになりました。周囲には東大を目指す友人もいます。個性豊かな東大生の学生生活や、受験勉強について楽しく知ることができることは受験勉強の励みになります。ただ「東大」という肩書だけで「天才」などと評価することが多くあります。もちろん東大合格は狭き門ですが、東大生だからといって天才、スーパー大学生などと言わないで欲しいです。(東京・高校2年・女子)

    • 『旅する落語』(フジテレビ)今まで一度も落語を見たことがありませんでした。街を歩いてネタを探すという企画は大変難しそうだけど、出演者のふたりが作り出した落語はとても面白く、親子で楽しく見ることができました。落語だけでは伝わらない笑いも、ネタ探しのVTRのおかげで一層面白く、テレビならではの企画だと思いました。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • バラエティー番組などで、番宣で出演する人が最近とても多いと思います。(東京・中学2年・女子)

    • テレビで大笑いできる番組が減っている気がします。(新潟・中学2年・男子)

    • ラジオが大好きです。でも、若いリスナーが少なくて悲しいです。若い人が聴かなければ、年配向けの番組がどんどん増えていくと思います。正直、嫌です。(岐阜・中学2年・女子)

    • テレビなどで「続きはCMの後」などの引き伸ばしや、CM前後で同じ映像を繰り返すことは、視聴者のテンションを下げてしまう印象が強い。CMへのイメージを悪くしてしまう気がする。(神奈川・中学3年・男子)

    • 最近のメディアは同じことばかり取り上げていると思う。夕方のニュース、ワイドショーなどはどの局も同じ内容を毎日放送しているように感じる。見ていて面白くない。(沖縄・高校1年・男子)

    • ピョンチャンオリンピックでそれぞれの放送局が試合終了直後から選手へのインタビューを個別に行っていて、選手たちが大変そうだと思いました。また、どの局も質問内容が変わらないような気がしたので、どこか1局が代表で取材し、それをそれぞれの局で放送すればいいのではないかと思いました。(福井・高校1年・女子)

    • もっと子ども向けのニュース番組があれば、ニュースに興味を持つ子どもが増えると思います。(東京・高校1年・男子)

    • ニュースやワイドショーであまり不倫・浮気の話題を大々的にやらないで欲しい。ネットニュースなどで十分です。(東京・高校2年・女子)

    • 今年の3月で終了したいくつかの番組は、今終わるべきだったのかな、と疑問に思います。視聴率だけがすべてではないと思います。テレビ離れもそこから始まっていく部分もあるのではないかと思います。(山梨・高校2年・女子)

    • 報道系の番組で、テレビやラジオで取り上げられるのと取り上げられないのでは、世間の関心度などが大きく変わってくると思います。ネットニュースや新聞等もありますが、それでも主要な情報源であることに変わりはないので、すべてにおいて公平性を保つ、デマを流さない、わかりやすく伝えるなどのことを強く意識してこれからも伝えていってほしいと思っています。(東京・高校3年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】について

    • 『みんなの甲子園』(毎日放送)夏には『熱闘甲子園』があるのに、春の選抜にはないのか、と残念に思っていたところ、この番組を見つけてうれしかったです。ぼくは野球をしているので、球児たちが甲子園で躍動する姿を見てもっと野球を楽しみたいと思います。ただ、ぼくの友達はこの番組を知らなかったので、もう少し番組を宣伝していろいろな人に見てもらえたらいいと思います。(兵庫・中学2年・男子)

    • 『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)又吉さんの文学的な言葉づかいには、いちいち感動してしまう。オオバコ少年と又吉さんの会話には、とても興味をひかれた。語りが吉村崇さんで、意外と真面目な人柄が見えて面白い。暮らしにひそむ不思議の細かいところまでわかって楽しい。とても気に入っている。(福岡・中学2年・男子)

    • 『発見!タカトシランド』(北海道文化放送)よく家族で見ています。自分の住んでいる地域が取り上げられると嬉しいですし、地域の活性化にもつながると思います。今後もこのような番組が増えるといいと思います。(北海道・高校2年・女子)

以上

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