放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会  決定の通知と公表の記者会見

2018年2月8日

フジテレビ『とくダネ!』
2つの刑事事件の特集に関する意見の通知・公表

上記の委員会決定の通知は、2月8日午後1時30分から、千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会から川端和治委員長、升味佐江子委員長代行、神田安積委員の3人が出席し、フジテレビからは専務取締役(報道局・情報制作局担当)ら5人が出席した。
まず川端委員長が、「7月の映像の取り違えは、多くの人が関与しながら誰もチェックできなかったことが問題だ。また8月の放送は、当初、担当者たちは『警察に確認する必要がある』という正しい認識を持っていたのに、時間的に追い込まれて間違いが放送されてしまったわけで、必要な人員や時間が確保されているのかが課題。フジテレビに対しては9月に委員長談話を出したばかりで、会社の文化として事実の確認を取るというジャーナリズムの基本がおろそかになっているのではないかという危惧を感じる。きちんと事実を伝えないと、社会からメディアに与えられている使命を果たせないということを、全社的に考える雰囲気を醸成してほしい」と要請した。
升味委員長代行は、「聴き取りをした社員やスタッフはまじめで熱心な方々なのに、放送倫理違反があったという結果になったことは残念だ。その理由として、分業体制の中で、この番組は自分たちが作る番組だという『熱さ』が、現場に欠けてきているのではないかと懸念する」と述べた。
神田委員は、「7月の放送では誤って全く別の人のインタビューを使ったことが問題となったが、その発言内容が、放送したいテーマと関連があったのか疑問に感じた。同一人物かどうかの確認の問題とは別に、その内容のインタビューを使うことの是非について、誰も声を上げておらず、また、この点について検証した様子がみられないことも問題だ」と指摘した。
これに対してフジテレビは、「今回の決定を重く、真摯に受け止めている。今後の番組制作にいかして、会社として、再発防止に継続的に努めていきたい」と述べた。

その後、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には、26社52人が出席した。
はじめに川端委員長が、刑事事件の容疑者の情報という、確認にとりわけ慎重さが求められるセンシティブな事実の報道に際し、裏付けをきちんと取っていなかったため、同じ番組で1か月の間に2件の間違いが続いて視聴者に誤った情報を伝えたと、放送倫理違反があったと判断した理由を説明した。そして「裏付けを取るべき相手にきちんと裏付けを取っていれば、こういう間違いは起きなかった。チームで取材するときに、役割分担の思いが強すぎると、その隙間に、確認するという手順が陥ってしまいかねないことを明らかにした事案だ」と述べ、フジテレビに限らず、なぜ事実の確認が必要なのかを現場の人が理解してほしいと話した。さらに、テレビはきちんとした裏付けがある情報を伝えるメディアだという認識を視聴者が持たなければ、ネットに対してテレビの優位性は保てないと、意見書に込めた気持ちを明らかにした。
升味委員長代行は、「誰かがもう一声あげていれば、防げたミスだ。分業体制が進んで自分に割り当てられた仕事ではない、他の人に任された仕事だという気持ちになり周囲に遠慮しているのかもしれないが、テレビがネットと違うためには、そこを乗り越えなければいけない」と、同じ番組を作る者として感じた疑問点を放置しない情熱を現場に求めた。また、「情報番組は人や事柄のエピソードの面白さを追求するので、裏付けの必要性についての厳しい意識が欠けていたのではないかと危惧する」と述べ、先輩が現場の若い制作者を指導し、経験を伝承する必要性を強調した。
神田委員は、「正確な報道と裏付け取材が必要だということは十分に理解されていたが、理解していることと実践できていることとは違うので、裏付け取材が不十分なまま誤った放送がされてしまうことがある」と指摘した。そのうえで、どのようなプロセスを経て間違った結果を招いてしまったのか、再発を防ぐためにはどうすればいいのかについて、「個別のケースについての意見書ではあるが、ほかの放送局にも共有していただき、今後の番組作りにいかしてほしい」と、制作現場によびかけた。

記者との主な質疑応答は以下のとおり。

Q: 間違いが1件だけなら審議入りしなかったのか?
A: 容疑者の映像の取り違えはこれまでにもあったが、静止画の場合が多かった。今回はインタビューを含めて映像を長い時間放送してしまい、しかもそのミスをキー局がおかしたということが問題。そのうえ、同じ番組での事実確認のミスが重なったので審議した。(川端委員長)
   
Q: 『とくダネ!』は、けさの放送でも存命の方を亡くなっていると紹介してしまうミスがあったようだが?
A: 放送局として、事実の確認を取った上で放送するという文化を育ててほしいと強く思っている。そのために、事実の確認は譲れないという気構えをみんなが持つような方策を考えて、全社的に取り組んでほしい。(川端委員長)

以上