放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第122回

第122回–2018年1月

2件の刑事事件で容疑者や処分内容を誤って放送したフジテレビ『とくダネ!』の審議など

昨年12月14日に当該放送局への通知と公表の記者会見を行った、東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見について、出席した委員長や担当委員から当日の様子が報告され、意見交換が行われた。
委員会が昨年10月に出したTBSテレビの『白熱ライブ ビビット』「多摩川リバーサイドヒルズ族 エピソード7」に関する意見について、当該放送局から提出された対応報告書を了承し、公表することにした。
刑事事件の容疑者に関するセンシティブな情報の間違いが2件続いたことから審議入りしているフジテレビの情報番組『とくダネ!』について、担当委員から、前回委員会の議論を踏まえた意見書の修正案が示された。委員会で意見交換の結果、大筋で合意が得られたため、一部の表現について手直しをしたうえで、2月上旬にも当該放送局への通知と公表の記者会見を行うことになった。

議事の詳細

日時
2018年1月12日(金)午後5時00分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、升味委員長代行、神田委員、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見の通知・公表

東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見(委員会決定第27号)の当該放送局への通知と公表の記者会見が、昨年12月14日に実施された。2017年1月2日放送の当該番組の特集は、「反対派が救急車を止めた?」「反対派の人達は何らかの組織に雇われているのか」などと伝えた情報や事実について裏付けが十分であったのか、いわゆる「持ち込み番組」なので、放送内容をチェックする放送局の考査が機能していたのかなどを検証する必要があるとして、2月の委員会で審議入りしていた。委員会は、制作会社が制作して持ち込んだ本件放送には複数の放送倫理上の問題が含まれており、そのような番組を適正な考査を行うことなく放送した点において、TOKYO MXには重大な放送倫理違反があったと判断した。
委員会では当該放送局のニュースを視聴したあと、委員長や担当委員から、通知の際のやり取りや記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2. TBSテレビ『白熱ライブ ビビット』「多摩川リバーサイドヒルズ族 エピソード7」に関する意見への対応報告書を了承

昨年10月5日に委員会が通知公表した、TBSテレビの『白熱ライブ ビビット』「多摩川リバーサイドヒルズ族 エピソード7」に関する意見(委員会決定第26号)への対応報告書が、12月下旬、当該放送局から委員会に提出された。
報告書には、意見書内容の社内周知のため18回にわたり少人数のセミナーを開催したこと、その真意をより深く理解するために検証委員会の担当委員を招いた勉強会を開催したこと、そして、番組制作スタッフ一人ひとりの人権意識向上への取り組みなど、意見書で指摘された課題についてひとつひとつ改善を図っていることが記されている。
委員会では、勉強会に出席した委員からの報告などをもとに意見交換を行い、少人数の多数回セミナーなど、局の対応が適切であるとの意見がだされた。その上でこの対応報告書を了承して公表することにした。

3. 2件の刑事事件で容疑者や処分内容を誤って放送したフジテレビ『とくダネ!』の審議

フジテレビの情報番組『とくダネ!』は、2017年7月、医師法違反事件で逮捕された容疑者として全く別の男性の映像をインタビューも含めて放送し、謝罪した。翌8月には、放送した時点では書類送検されていなかった京都府議会議員について「書類送検された」などと放送し、事実の確認がとれていない報道だったと謝罪した。委員会は10月、刑事事件の容疑者の映像と処分内容という最もセンシティブな情報について、同じ番組で間違いが続いたことは大きな問題だとして審議入りを決めた。
委員会では、前回委員会で意見書原案に示された意見や議論を踏まえた意見書の修正案が担当委員から提出され、内容や表現をめぐって意見交換が行われた。その結果、大筋で了解が得られたため、表現などについて一部手直しをしたうえで、2月上旬にも当該放送局への通知と公表の記者会見を行うことになった。

以上