青少年委員会

青少年委員会

2015年度 中高生モニター会議

◆概要◆

青少年委員会は2016年3月13日午前11時から15時半までの間、テレビ朝日2階のプレゼンテーションルームで「中高生モニター会議」を開催しました。BPOからは汐見稔幸青少年委員会委員長を始め7人の全委員が参加、全国から集まった中高生モニター26人(中学生14人、高校生12人)、それにテレビ朝日から長田明お客様フロント部長、太田伸『サンデー!スクランブル』プロデューサー、下平さやかアナウンサー、平石直之アナウンサーが参加しました。
まず、午前11時に始まった第1部では最相葉月副委員長の開会あいさつや出席者の自己紹介の後、放送中の生番組スタジオに見学を行いました。スタジオでは実際に生放送がおこなわれる模様を見学した後、当日夜に放送が予定されている『報道ステーション SUNDAY』のセットをたてつけてあるスタジオを見学するなどテレビ朝日局内の様々な制作現場を見て回りました。中には、放送の原稿や映像を作成する作製室や、スタジオと制作室がコンピューターで直接結ばれ突然の発生ニュースにも対応できるような仕組みの説明を受けるなど、参加したモニターたちは専門的な分野についても理解を深めることができました。
見学を終えた後会議室に戻り、委員とモニターそれにテレビ朝日の長田部長らが加わって意見を交わす第2部の会議に入りました。テーマは(1)放送全般について、(2)情報番組についての2つです。まずモニターから、「1年間モニターを務めてみて、今まで視聴者という視点からでしかテレビを見る事がなかったが、制作者たちの考えや制作者側と視聴者側双方の視点からテレビを見る事ができるようになったと思う」「番組を中立的・第三者的視点から見ることの重要性を認識できるようになった」などの意見が出されました。仙台からの出席者は震災報道を引き続き是非やってほしいという切実な意見が出ました。委員からは、「中高生ならではの視点にとても驚かされた点がたくさんあった」「1年間のモニター報告を通じて、全員が成長していく模様がわかった」などの感想が述べられました。
情報番組については、「朝の情報番組で、芸能やエンターテインメントの情報が多いが、もう少しニュースの比重を多くしてほしい」との意見に続き、「大きなニュースが起こるとどの局を回しても同じようなことしかやっていない」などの意見が出ました。また、「ニュースを見たい、エンターテインメント情報を見たいなど、人によってニーズが違うので、機能的に仕分けができないか」という意見も出ました。また、「全国ネットの番組の一部をローカル局が差し替えている場合は、ネットニュースの重要な部分が欠けてしまうことがある」という不満が出ました。岩手在住のモニターからは「震災情報についても『復興が進んでいない、大変だ』というようなマイナスイメージの報道だけではなく、被災地の人々がいかに前向きに明るく生きているかも報道してほしい」という意見も出ました。他のモニターからも「青森や別の地方でも被災という意味では大変な地方があり、報道の地域格差のようなものを感じている」という意見が出ました。
地方在住のモニターからは「ローカルの催しなどを扱う地方ローカル番組が少しでも全国放送される機会が多くなればよい」や「地域ローカル番組同士がタイアップして協力して番組を作り、県と県や地域と地域を連携する企画を試してみるといいのでは」など地方局の積極的な番組制作を望む声が上がりました。
復興報道のテーマについては、長田お客様フロント部長から、「定期的に復興の状況を伝えることに関しては、『スーパーJチャンネル』というニュース番組でやろうとしており、被災地の国道の状況を見て行く定期シリーズ企画などをおこなっている。充分でないという批判は受け止めるが、局側としても意識して取り組んでいる」ということが語られました。また、居住地によって考え方に差異が出てくるのは当たり前で、より多くの人に見てもらうために何を選択するかということは情報番組の担当者は日夜頭をひねっていることが伝えられました。
休憩後の第3部からは生放送を終えたばかりの『サンデー!スクランブル』のキャスター2人と制作担当の太田プロデューサーも会議に加わりました。まず下平アナウンサーから、日頃の仕事の中での面白さ、番組制作での悩みや日頃番組を作っていく上での配慮など、担当者ならではの話が披露されました。平石アナウンサーからは、ニューヨーク支局での経験をはじめ、現在担当している番組を制作する上で心がけていることなど詳しい仕事内容が述べられました。「もっとも大切にしていることは、正確に伝える、わかりやすく伝える、また、興味深く伝えることである」など、日頃の仕事上の重要なポイントが伝えられました。1つの番組に多くの制作者が関わっているので、番組として何を目指したいのか、何を作ろうとしているのかなどの思いを汲み取りつつ日頃の制作現場に関わっていること、正確にわかりやすくということだけでなく、テレビとして一歩踏み込んで、コメンテーターや解説者からその経緯、今後の流れなどを引き出していくという作業だと説明されました。
太田プロデューサーからはプロデューサーの仕事内容が時系列的に説明され、これまで担当した番組の説明があった後、『サンデー!スクランブル』の番組制作現場で意識している内容、情報をきちんと整理して興味深く伝える経緯などが述べられました。情報をそのまま伝えるのでなく、事件の背景を探るというやり方で面白く視聴者を引き付けるやり方、またニュースの選択の仕方など具体的なポイントをあげて説明されました。
質疑応答では、モニターからのアナウンサーの仕事内容などについての質問があり、両キャスターが丁寧に答えました。平石アナウンサーは自ら被災地に入って現地から生中継を担当した経験などを踏まえて、災害などの現場での対応などについて話を進めました。また、視聴率に関する質問に対しては、話題になっていることに対して突き進むことは視聴率に結びつく場合も多いが、その際にもチェック体制を何重にも敷いて様々なことに配慮している、というニュース制作の仕組みが語られました。さらに、きちんと裏とりをしないものは放送できないなど、情報の正確性を求めて、それがなされてはじめて放送されるということが語られました。
この後情報番組の企画を立ててみようというコーナーに移りました。各モニターと委員、テレビ朝日担当者が4つの班に分かれて「情報番組の企画を立ててみよう」というテーマでグループワークを行ないました。各班それぞれ、企画を立て、模造紙に書き込んでホワイトボードの前で順番に発表しました。
まず、C班が地方のことをメインに伝えようということで、『うちの県にも来てくれ』というタイトルのテレビ番組を考えました。地方の工芸品、イベント、景色などを紹介し、各県がそれぞれに持ち回りで宣伝するという番組で、紹介したものをすぐに買える仕組みとか、毎日リレー方式で日本各地を紹介して進めていくと地方活性にもなるという企画でした。
B班は『ニュースの参考書』。視聴者の方々からその日のニュースに関してSNSなどで意見を募集し、それらについて模型を用いて説明するような番組です。キャスターは司会進行役が1人か2人。説明は専門家を招き視聴者と同じ目線でわからない単語に関して突っ込むという番組です。
D班の番組は「人生を豊かにする番組」というコンセプトを掲げ、人生という尺度で見た場合大事になる情報を与える番組としました。受験勉強だけでなく、若者に勇気ややる気を与える番組ということです。
A班は『ニュースと歩く』というタイトルの番組。家族向けの旅番組とちょっとしたニュースを組み合わせるものです。最初にニュースを15分間くらいやって、その後メインの旅番組にするというもので、毎週の出演者は地域出身の人や、その地域の人にする、放送はテレビとラジオ双方で連動してやることでテレビがないところにいる人も聞こえるというアイデアを取り入れました。
この後それぞれの企画に関し、太田プロデューサーから批評と助言が述べられ、ラジオとテレビの連動やインターネットテレビのあり方などについても制作者の立場から説明されました。
最後に汐見委員長から、「BPOは放送倫理と番組向上のための組織である。その中でも青少年委員会は“番組向上”に力を入れており、どうしたら良い番組を作れるのかを常に考えている。そのために視聴者の皆さんの意見を制作者に届けるなど、視聴者と放送局を太いパイプでつなごうという考えを持っている」との感想が述べられ、4時間半にわたる会議が終了しました。

以上