視聴者からのご意見

2016年12月に視聴者から寄せられた意見

2016年12月に視聴者から寄せられた意見

覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手への取材のあり方や、番組で使われたタクシー内映像、本人に無断で公開された未発表曲など、過剰な報道に対する批判。お笑い芸人が起こした当て逃げ事故や、俳優が薬物使用疑惑で引退したニュースを報じた情報番組への意見など。

2016年12月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,620件で、先月と比較して63件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール78%、電話20%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性60%、女性39%、不明1%で、世代別では30歳代32%、40歳代28%、50歳代19%、20歳代13%、60歳以上6%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。12月の通知数は835件【39局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、19件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

覚せい剤使用の疑いで歌手が逮捕されたが、自宅周辺や遠方に住む家族への取材のあり方、また、番組で使われたタクシー内映像や、本人に無断で公開された未発表曲や通話内容など、過剰な報道に対する批判が多く寄せられた。そのほか、お笑い芸人が起こした当て逃げ事故や、俳優が薬物使用疑惑で引退したニュースを報じた情報番組への意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は30件、CMについては24件あった。

青少年に関する意見

12月中に青少年委員会に寄せられた意見は110件で、前月から9件減少した。
今月は「表現・演出」が33件と最も多く、次に「性的表現」が18件、「委員会に関する意見」が14件、「言葉に関する意見」が12件と続いた。
「表現・演出」では、いわゆる"ドッキリ番組"への意見が目立った。「性的表現」ではバラエティー番組で、マネキンがしているブラジャーを素早く外す競技を行ったことについて多くの意見が寄せられた。「言葉」では、お笑いタレントが他のお笑いタレントに向かって「死ね」などと言ったことについて複数の意見があった。
また、委員会が12月21日に「TBSテレビ『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』に関する委員会の考え」を公表したことを受け、多数の意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手の報道について、被疑者の人権が守られているのか疑問だ。自宅に大勢で押しかけ勝手にガレージの中に入り、外車のエンブレムを折り曲げ、タクシー車内の映像を公開し、さらに入手した未発表の楽曲を勝手に流す。ここまで来ると、犯罪者の報道なら何をしてもいいのかという印象を受ける。複数の局が取材しているため、歯止めが効かない状況だ。

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手のタクシー内映像が放送された。これ自体、問題ではないかと考えていたところへ、タクシー会社が謝罪したというニュースが流された。当然のことと思ったが釈然としない。映像を流出させたタクシー会社よりも、電波に乗せた放送局の罪の方が大きくないだろうか。それなのに放送局が謝罪したというニュースは聞こえてこない。映像を要求したと思われるテレビ局も正式に謝罪すべきだ。タクシー会社に不適切なことをさせ、自分たちはその映像を利用して収益源とし、さらに謝罪なし。あまりにひどくないだろうか。

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕された歌手の件は、報道の自由とは言え、やり過ぎだ。福岡の実家まで押しかけた高齢の父親へのインタビューは、あまりにも心無いもので、事件取材の域を超えている。家族がどれだけ辛い思いをしているか、それをもネタにして晒すことに大きな矛盾を感じる。

  • 覚せい剤使用の疑いで逮捕されていた歌手が、不起訴処分となり釈放された。逮捕される直前から大きく報道してきたが、特に逮捕後は、有罪と決めつけてコメントしているような印象を受けた。不起訴となったのだから、当然これまでの放送を検証し説明するのかと思っていたが、見ていた範囲では謝罪の言葉もなく、まだ疑っているかのような報道に思えた。今回は有名人だから、不起訴も大きく報じられたが、一般人であれば不起訴はニュースにもならず、当初の報道だけで犯罪者のイメージを持たれてしまう。マスコミ関係者は、報道によって誰かの人生を奪うこともあると自覚し、常に自制的に報道に携わるべきだと思う。

  • お笑い芸人が当て逃げ事故を起こした件で、テレビではすべて「さん付け」で伝えていた。一方、歌手の覚せい剤使用容疑の報道では、逮捕される数時間前から「容疑者」と連呼していた。この違いは何か。芸人が大きい事務所だから遠慮しているのか。歌手が個人事務所だから叩いているのか。この理不尽さは納得できない。

  • 私は、飲酒運転をして電柱にぶつかり、その後すぐに警察に出頭した。一晩留置場に入った翌朝、この事故が報道されたことを知った。職業、住所、氏名とともに事故現場の写真がテレビで放送されたようだ。飲酒運転をした私が悪いのだが、被害者も出ていない、いわゆる自損事故なのに、氏名まで公表する必要があるのか。ニュースで放送されたことで、新しく決まりそうな仕事がだめになってしまった。私が悪いことは重々承知しているが、人の不幸を食いものにするような報道はしないでほしい。

  • 日本人はうるさくなりすぎだ。映画やドラマも規制ばかり。日本人特有の規律正しさや真面目さばかりを守ることで、結局、自分たちの首をしめている。地上波の映画放送にしても、新作公開に合わせた前作ものばかり何回も見せられる。映画やドラマは、いいことも悪いことも含め、その時代や歴史を映し出すものなのに、どうしてそれをあれこれ規制して、剥ぎ取りながら見せるのか。これでは歴史も勉強できないし、想像力や感動も生まれない。映画監督のメッセージも伝わらない。今の子どもたちに想像力がないのは、剥ぎ取られたものしか見ることができないからだ。

【番組全般・その他】

  • 日曜のニュース番組で、高校生が高性能ゴムパチンコを使い、バスに向かって玉を放ち、窓ガラスを壊した事件を伝えていた。その際、わざわざ同じ道具を使ってベニア板に穴をあける再現実験を行い「危険ですから真似をしないように」と注意していた。このような危険性のある再現実験は果たして必要であろうか。道具をどのように持ち、どのように玉を飛ばすのかを知らしめるだけの実験である。危険性のある道具の使い方を紹介する必要はない。

  • 昼の情報番組で、薬物使用疑惑の元俳優について伝えている。彼は、逮捕されたわけでも容疑者でもなく、芸能界を引退してすでに一般人だ。犯罪者のごとく扱うことは人権侵害以外の何ものでもない。コメンテーターの推測に過ぎないのに決めつけるような発言、自身の物差しだけではかる非難の言葉などは、反論する機会もない人に向けた一方的な暴力だ。すでに事務所も辞めていることから、クレームがないことを良いことに、このような放送をしているのだと思うが、誰が止めるのか。誰が彼を守れるのか疑問だ。

  • 朝の情報番組で、薬物使用疑惑の元俳優について伝えている。告発者と言われている人物を出演させ、真偽不明な意見を報じ、倫理観に疑問を覚えた。プライバシー暴露などを予告するような人物による、一方的な報道であり、信憑性が疑われるにもかかわらず、犯罪行為があったかのように印象付ける恣意性を感じた。影響力のあるテレビで、偏った報道を流すことの責任を考えてほしい。逮捕されてからで十分だ。被疑者になる前から印象操作をすることが、芸能人、一般人を問わず、相手にとってどれだけダメージであるか、よく考えてほしい。

  • 新語・流行語大賞が発表された。その中に「保育園落ちた日本死ね」があった。子どもと一緒に見ていて「日本死ね」とアナウンサーが言ったのを聞いた時は仰天した。子どもに聞かせていい言葉とは到底思えない。放送上「日本死ね」という言葉は極めて不適切だ。流行語大賞は、民間企業が企画するもので、選出過程も透明性に欠け、独断で選んでいるものに思える。公共倫理に対する責任は、テレビなどメディア側が格段に重い。話題性のある企画でも、不適切な言葉が含まれていたら放送すべきではない。

  • 新語・流行語に選ばれた「保育園落ちた日本死ね」について、出演者が、こぞって「下品だ」「不穏な言葉だ」などと酷評している。下品なこの言葉が選ばれたのは、日本社会の矛盾を鋭く突いて、多くの人の記憶に焼きついたからだ。無難な言葉ではみんなの心に残りはしなかった。実際に保育園探しで苦労している人たちの共感も大きかったはずだ。出演者の芸能人たちは、世の中の事情に疎いので、勝手な批判をしているだけではないか。

  • 朝のワイド番組に出演している男女のアナウンサーが、不倫関係にあると週刊誌が報じている。彼らは出演を控えているが、番組ではそのことについて説明が一切ない。タレントや議員の不倫については連日しつこいほど報じているのに、身内の不祥事には一言も触れない。これでは甘すぎる。

  • 夜のニュース番組で、豊島区が消滅危機にあるとのことで、存続に向けて日々奮闘する女性の特集があった。これ自体は良かった。しかし、その後意見を述べた女性のMCが「消滅して何が悪いのか、合併すればいいだけのことではないか」と主張するに至っては、完全に困惑した。特集にはメッセージがあるはずだ。私にはそれが「豊島区の歴史、文化、伝統を守るためには区としての存続が不可欠だ」とのメッセージだと受け取り共感した。しかし、このMCには全く伝わらなかったようで、特集自体を否定するかのような発言をした。番組MCが否定するような内容なら、番組として否定したも同然である。何のための特集なのか?視聴者に失礼だ。

  • フランスでのフィギュアスケート中継での、男子シングルのアメリカ代表選手への扱いに抗議する。彼は、自身のセクシュアリティを公表し、LGBTへの偏見をなくすための活動にも熱心なアスリートだが、放送では彼のコメントを「オネエ言葉」のように吹き替えていた。これは偏見を助長しかねないものだ。

  • 今回のフィギュアスケート中継は、これまでのような大げさな選手紹介や行き過ぎた楽屋裏の撮影、そして、同じ映像の繰り返しが減った点が非常に良かった。いろいろな選手の演技を見ることができたし、競技会らしい爽やかな番組構成になっていた。また、演技中に画面端に、ジャンプやスピンなどの要素についての技術点の加算が、リアルタイムで表示されていたことも視聴者に分かりやすかった。来年以降もこういった改善は続けてほしい。

  • 日曜の長寿番組が好きでずっと見ている。司会者がベテランから若手に代わってから、面白いのだが、にぎやかすぎると感じる時がある。どこが笑いのポイントか分かりにくいことも多い。以前のように、メリハリのある笑いを届けてほしい。

  • 年末にお年寄りが大勢出ていた番組は、もらい泣き、笑い泣き両方で涙が止まらなかった。一番もらい泣きをしたのは「過去の自分へのビデオレター」。人生の先輩方の、若かりし頃の人生の一部分を垣間見ることができて、どのビデオにも感動した。今回出演したご長寿の皆様のように、元気に明るく、日々のありがたみをかみしめるような素敵な大人、お年寄りになりたいと心から思った。

【ラジオ】

  • 「番組からの電話に出て、合い言葉を言えればプレゼントする」企画がある。その際に「非通知着信拒否の設定を解除しろ」と繰り返し放送している。電話による詐欺事件が頻発している現在、非通知着信拒否は対策として有効であると思うが、何故それを解除させようとするのか。電話番号を知られると面倒だと思っているのかもしれないが、発信専用の回線を1本引けば済む話だ。詐欺防止の啓発コマーシャルを流しているのだから気を遣っても良いのではないか。

  • インターネットで勝手に記事を引用し、問題化する事象が発生している。自ら取材せず、いい加減にコピー情報を発信することが原因と考えられる。新聞や雑誌、Webニュースから引用する際、許可や契約が必要と思われるが、ラジオでは取材しないパクリ記事使用が横行。無法地帯となっている。きちんと対処しなければ、近いうちに大きな問題が必ず起こる。

【CM】

  • ラジオの「振り込め詐欺」啓発CMは、息子役の3人(1人は本当の息子)が、それぞれ「もしもしお母さん俺だけど」と言い、本当の息子を当てる内容なのだが、息子の声を当てられなかったお母さんが、笑いながら話している。多くの被害が出ている犯罪の啓発ならば、もっとシリアスにするべきではないか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 芸能人にいたずらして笑いをとる、いわゆる"ドッキリ番組"で、いたずらの内容を小学生に考えさせていた。近年、このような"いたずら"を真似した動画をインターネットやSNS上に拡散するいじめもある。視聴していて、とても心苦しかった。このような企画はやめてほしい。

  • ラジオ番組で、学生のリスナーに生電話をつなぎ、先生のモノマネをさせるという企画があった。学校名は明かされないものの、担当科目などを言っているリスナーもいた。多感な年ごろのリスナーが聴取している番組で、人の特徴を笑うような企画をすべきではない。

【「性的表現」に関する意見】

  • 子どもも見ている時間帯のバラエティー番組で、マネキンがしているブラジャーを1分間でいくつ外すことができるかというゲームをしていた。もう少し時間帯に配慮してほしい。

  • 日曜日の朝に放送された番組を小学生の子どもと視聴していたのだが、「セックス」という単語が多用され、とても気まずかった。普段は前後の番組を含めて教養的な内容なので、余計に憤りを覚えた。

【「言葉」に関する意見】

  • お笑いタレントがチームに分かれて行うクイズ番組で、他のチームに対して「死ね」などの暴言を何度も吐いていた。あまりにも度が過ぎる。本人は顔見知りに冗談で言っているつもりかもしれないが、居酒屋で言うのとテレビで言うのは違う。多くの子どもが見ているような番組で使う言葉ではない。そのような言葉でいじめられている子どももいるのだ。

【「危険行為」に関する意見】

  • 運動が苦手なタレントに様々な運動をさせる企画で、プールに飛び込むシーンがあった。プールは一般的な深さであり、一歩間違えると頸椎を損傷しかねないような飛び込み方だった。真似をしないようにとの表示はあったが、子どもは真似してしまうものだ。安全管理を徹底してほしい。