放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第110回

第110回–2016年12月

TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』に関する意見の通知・公表について意見交換など

12月6日に当該局への通知と公表の記者会見を行った、TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見について、出席した委員長や担当委員から当日の様子が報告され、意見交換が行われた。
参議院議員選挙と東京都知事選挙について放送局からの報告や視聴者からの意見が寄せられたことから、選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があるとして、委員会は、二つの選挙に関する放送の具体例を踏まえながら、選挙報道全般の問題点について審議を継続している。今回の委員会では、担当委員から出された意見書の原案について、さまざまな考え方が示され、次回、これらの議論を踏まえた意見書の修正案が提出されることになった。
テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』の「慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件」の特集で、被害女性への配慮を欠いた内容の放送がなされたという事案について、前回に引き続き討議した。しかし、当該局の謝罪放送以降は事案に進展はなく、被害女性の心情などへの配慮も含め、委員会として総合的に判断して今回で議論を終え、審議の対象とはしないことを決めた。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、担当委員から最新のパネリストと構成の案が報告された。

議事の詳細

日時
2016年12月9日(金) 午後5時00分~7時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見を通知・公表

実際は最後まで解答した出演者を、映像を加工して途中でレースから脱落したことにして放送した、TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見(委員会決定第24号)の通知と公表の記者会見が、12月6日に実施された。
委員会では、当該局の当日のテレビニュースを視聴したあと、委員長や担当委員から、通知の際のやり取りや記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2. 参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について審議

委員会は、7月に行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられる中で、「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状も考えると、具体的な事例を参照しながら選挙報道の公平・公正についての考え方を示すのは意味があるとして、選挙報道全般の問題点について審議を継続している。
今回の委員会では、前回までの議論にもとづいて担当委員から意見書の原案が示され、これに対して委員から「選挙でも、事実に基づく公正な評論は自由だということを忘れてはいけない」「公平・公正の基準は、放送局が自律的に設定するものだという趣旨は大事である」「選挙報道に求められているのは量的な公平ではなく質的な公平ではないか」「論文のようにせずに、放送の制作現場で働く人たちがわかりやすいものにしたい」といった意見が出されるなど、選挙報道のあり方についてさまざまな議論が交わされた。
その結果、これらの議論をもとに担当委員が意見書の修正案を作成し、次回委員会に提出することになった。

3. 慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件の報道で、被害女性に配慮を欠いた内容を放送したテレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』を討議

テレビ朝日の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』は、「独自 慶應生女性暴行疑惑 現役メンバー直撃 当事者の証言」と題した特集を10月20日に放送した。独自取材として放送されたVTRは、慶應大学広告学研究会のメンバーや男性OBの「被害女性側にも非があるのではないか…」というインタビューなど、男子学生側の言い分を中心に構成されていた。また、サークルメンバーの話にあった「大学側も動画を確認し、事件性なしと判断したと聞いている」というコメントを裏取り取材をせずにスタジオで取り上げ、コメンテーターから大学側の対応を非難する発言があった。
その後、当該局は被害女性の弁護士と面会して、放送内容が配慮を欠いていたことを謝罪するとともに、10月27日の当該番組内でお詫び放送を行った。
前回の委員会の議論では、「男子学生側の主張で構成されている上、裏取り取材がほとんど行われていない」「女性への配慮が決定的に欠けた放送内容になっている」などとの厳しい意見が相次ぎ、さらに、確認や検討が必要な点もでてくる可能性があるとして、討議を継続していた。
しかし、当該局の謝罪放送以降は事案に進展はなく、当該局の一連の対応から、問題点について理解したのではないかとみられることや、被害女性の心情などへの配慮も含め、委員会として総合的に判断して今回で議論を終え、審議の対象とはしないことを決めた。

【委員の主な意見】

  • この事案は、このような番組が放送されるに至ったプロセスが問題だった。当該局は、問題点については理解して反省・謝罪している。被害女性の心情について配慮する必要もある。
  • これ以上の議論の継続は、この状況では、あまり意味が無いのではないか。

4. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

10周年記念のシンポジウムについて、担当委員から最新のパネリストと構成の案が報告された。

以上