視聴者からのご意見

2016年9月に視聴者から寄せられた意見

2016年9月に視聴者から寄せられた意見

岩手県に上陸した台風10号に関する報道系番組の取材のあり方への意見や、東京都の豊洲への市場移転問題を扱った情報番組への意見。暴行事件のあと不起訴になった二世俳優に対する報道のあり方への意見が多く寄せられた。

2016年9月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,046件で、先月と比較して233件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール80%、電話18%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性53%、女性46%、不明1%で、世代別では30歳代30%、40歳代25%、20歳代23%、50歳代13%、60歳以上7%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は1,230件【43局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、20件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

台風シーズンの中、全国各地で多くの被害が出たが、岩手県に上陸した台風10号に関する報道系番組の取材のあり方への意見や、新都知事のもと、東京都で11月に予定されていた豊洲への市場移転問題を扱った情報番組への意見、また、暴行事件のあと不起訴になった二世俳優に対する報道のあり方への意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は37件、CMについては31件あった。

青少年に関する意見

9月中に青少年委員会に寄せられた意見は82件で、前月から13件減少した。
今月は、「表現・演出」が18件と最も多く、次に「性的表現」「いじめ・虐待」がそれぞれ12件、「暴力・殺人・残虐シーン」が8件と続いた。
「表現・演出」では、高校生が出演するクイズ番組の演出についての意見が目立った。
「性的表現」では、有名女優の娘であるタレントがアダルトビデオに出演するとの話題の取り上げ方について、複数の意見が寄せられた。
「いじめ・虐待」では、お笑いタレントが容姿を揶揄することで笑いを取ることについて、複数の番組に苦言が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 最近、意見でありながら誰の意見なのか、責任の所在を隠している放送が目立つ。ナレーションの中で、いい悪いという意見を述べたり、あるいは某代議士の意見として個人名を隠して述べたり、街の声などという、嘘か真実かも分からないような意見もある。いずれも視聴者を誘導する意図が感じられる。女子アナの中には、意見と事実の区別ができていない者も見受けられ、テレビ関係者のモラルが低下している。意見は事実報道に紛れ込ませないということをもう一度自覚してもらい、誰の意見であるかを明確に分かるよう、責任の所在を明確にして、ごまかさないようにすべきだと思う。

  • 二世俳優の報道について。この事件は事実関係がしっかりと解明されておらず、マスコミが断片的な事実のみを都合よく報道し、彼ならびに彼の母親である女優の名誉や尊厳を踏みにじるような声が目立つ。裁判にかけられて有罪と下されていない以上、彼らの人権を無視するような悪意ある報道は自粛されるべきではないだろうか。それを鑑みず、被害者感情に訴え、さも自分たちが正義であるかのように報じるマスコミやテレビ番組の出演者に憤りを感じる。

  • 二世俳優の報道について。性犯罪については、事実認定、有罪確定、刑の執行後の再犯率や、また当人がなぜ犯罪に至ったかを真剣に検証すべきで、報道により、単に「甘やかしてわがままに育てた親の責任の結果生じた犯罪」という安易なイメージを刷り込むべきではない。薬物犯罪に更生教育が必要なように、性犯罪にも然るべき更生措置などが必要であることを報道してほしい。

  • 私は岩泉町民だ。電気も徐々に復旧するなか、現場の惨状を自分たちの目で確認もせず、ニュースやワイドショーの情報だけで、行政や町長の対応などが批判されているようだ。やっと電話が繋がりかけたところで、町役場などに全国の人たちからの批判が殺到し、対応に追われている。岩泉全域にわたり道路は寸断され、未だに孤立して救助を待っている状態だ。ニュースで取り上げるのはいいが、復旧の妨げになるような無責任な行動は慎んでもらいたい。

  • 岩手県の台風による水害で、孤立した住民が道路に「SOS」の文字を書いて助けを求めていた。被災した方は救助ヘリだと思い、一生懸命に手を振って助けを求めていたが、それは報道ヘリで、しかもそれをニュース番組で放送していた。そもそも災害時は助けを呼ぶ声が聞こえなくなるので、報道ヘリは飛ばすべきではない。熊本地震の教訓が全く生かされていない気がする。

  • 台風10号での浸水被害や、岩手県の高齢者施設のニュースについて。施設の職員が台風の情報がよく分からず死亡させたかのように報道されている。私の住む沖縄は台風によく襲われるが、それでも毎回状況が違い、対応が難しい。岩手県に上陸したのが初めてなら、台風に対応する方法が分からなくて苦労したのではないだろうか。職員を責めるような報道は見ていてつらい。

  • 毎日時間帯を問わず、豊洲市場移転のニュースが放送されている。取り上げるのは構わないが、専門知識のないコメンテーターが「豊洲は危ない」とあおるだけの番組が多く見受けられる。出演している芸能人の多くは、個人的意見を言っているだけに過ぎないかも知れないが、その影響力はすさまじく大きいことを理解すべきだ。専門知識がない人を呼ばないのが一番いいが、専門家による学術に基づいたコメントは必要だ。その際、芸能人は黙っておくのがよい。居酒屋で交わすレベルの会話をテレビでされても、デマが独り歩きし風評被害を広げるだけだ。

  • マスコミは、豊洲の人たちが汚染エリアに住んでいると、全国の人に思われることで、どれだけ心労が溜まるのか分かっているのだろうか。豊洲市場の土壌問題で、科学的根拠に基づかない不安感をあおる報道が、住民の安心できる生活を奪っている。一般住民が報道による被害者だ。

  • 情報番組で、横浜の病院で起きた男性患者の変死事件を扱っている。各番組とも「点滴パックにどうやって異物を混入したのか」に注目し、考えられる様々な方法を具体的に説明している。模倣犯罪が起きたらどうするのか。真相が判明するまでは、警察の発表を淡々と伝えるだけで十分なのではないか。

【番組全般・その他】

  • サッカーのワールドカップ・アジア最終予選中継は、解説者が終始感情むき出しで、客観性に欠ける発言が多く見受けられ、全く解説になっていなかった。あまりに不快に感じるので音声を消して観戦したが、日本代表選手の活躍が期待され、国民の注目が高い中で、このような中継は非常に問題がある。彼に関しては様々な媒体で批判が多い。放送局は、新たに適任の解説者を起用するか、副音声に工夫をするなど対策を練ってほしい。

  • パラリンピック中継は、オリンピックと同じように、日本人選手のメダル獲得を中心に放送されている。せっかく放送する時間を増やしたのだから、健常者スポーツと同じような扱いをしないでほしい。大局的な視点に立ち、障害者に対する偏見を減らす放送、日本人選手の試合だけではなく、外国人選手にも同じようにスポットを当てた放送が望ましい。

  • 土曜日の昼に、往年の俳優を偲ぶ映画を2本放送していた。この時間帯に放送するには激しい性行為のシーンが何度もあり、特に強姦描写が生々しく、こんな内容を流していいのか疑問に感じた。現実に釈放された俳優の報道があったばかりだったが、女性を暴力や欲望で蹂躙、傷つけるような描写が、当然の如くしかも昼間に流れることに憤りを禁じ得ない。カットすることで作品のオリジナリティーを損ねると考えるのであれば、未成年などへの配慮を含め、深夜に放送すべきだ。

  • 二世タレントがAVに出演するという話題で、出演している男性タレントたちがヘラヘラと笑い話にしていた。この女性については、ホストクラブへの過剰な依存が原因とされているが、ホストが狙った女性を性風俗で働く状態まで追い込むことは、以前から何度も事件化しており、笑い話にできるような話ではない。また、「借金を自分の体で返すのは立派」というコメントもあったが、そういった考え方が借金による自殺や人身売買へと繋がっている現実があり、公の場で話すコメントとしてどうなのだろう。ヘラヘラ話していい話題なのかどうか、制作者には考えてほしい。

  • 散歩をする番組でよく見かけるのだが、タレントが道幅いっぱいに広がって歩いている。その時に一般の方が収録の邪魔になるのか、番組スタッフに車道に追いやられる。以前はベビーカーに子どもを乗せている母親が誘導されていた。そのせいで事故でも起きたらどうするつもりなのか。撮影する際に色々と許可を取っているのだろうが、一般人はタレントのために道を譲らなければならないという風潮は納得できない。

  • バラエティー番組で、「いくら儲けた」「年収いくら」や「家賃いくら」など、お金の話がよく出てくるが、平気でお金の話をする神経は理解できないし、拝金主義を助長するだけでしかない。子どもの貧困や生活保護受給者が増加するなど、経済的な問題が深刻な昨今、平気で金儲けを自慢したりするのは如何なものか、考えてほしい。

  • 一般家庭で作る里芋料理と名産地で作る里芋料理の差というコーナーで、千葉県八街市で作る里芋料理を紹介していた。私は40年以上八街市に住み、両親は里芋も作る農家だが、里芋の磯辺揚げや里芋ドリア、里芋餃子など見たことも聞いたこともない。八街市における里芋の当たり前の食べ方のような紹介の仕方は、誤解を招くのでやめてほしい。

  • 無名芸人がペンションに合宿しながら先輩芸人による「笑い」の授業を受け、悩みながらネタを生み出し、順位を決めていくという内容の番組は、バラエティー型ドキュメンタリーともいえそうなほど深い。一つの笑いを生み出すことがどれほど大変なことなのかを視聴者に教えてくれるし、課題を一つひとつ乗り越え成長していく姿に勇気がもらえる。面白くて泣けて前向きな気持ちになれる素晴らしい番組だと思う。

【ラジオ】

  • 通販コーナーで、担当者による商品宣伝にパーソナリティーが毎回のように加わる。そもそもリスナーはパーソナリティーが好きでその番組を聴いている。その人が商品をほめたり感心したりすれば、商品への信用は倍増する。その結果、冷静な判断ができなくなる恐れがある。通販コーナーの商品説明者とパーソナリティーの共演は避けることが望ましい。

【CM】

  • 軽自動車のCMで女性が車の運転をしているが、シートベルトをしているように見えない。シートベルトを装着しているのであれば、誤解を招かぬよう強調した方が良いのではないか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • お笑いタレントが学校に侵入し、女子生徒の制服等を窃盗した事件の判決についての報道で、被害生徒が警察から返還された制服を着用しながら、顔を隠すことなく事件の感想などを述べていた。被害生徒はタレント活動もしているようなので、本人同意の上での撮影なのだろうが、未成年でもあり、演出に違和感を覚えた。

  • 高校生が出演するクイズ番組で海外ロケをしていた。現場は世界的に有名な観光地で大変混雑していたにも関わらず、出演者とカメラマンが走り回っており、危険かつ迷惑な行為だと感じた。高校生にマナーを守らせることも大事なことではないか。

【「性的表現」に関する意見】

  • 有名女優の娘であるタレントがアダルトビデオに出演するとの話題を取り上げた際、コメンテーターとして出演していた海外在住の女子高生に、居住国でのアダルトビデオ事情について質問していた。他にもコメンテーターが出演している中、未成年にわざわざ聞くことではない。

  • BSで往年の名画を放送していたが、女性を暴力で蹂躙するようなシーンが多く、昼間の時間帯に放送するには性的描写が過激だと感じた。過激なシーンをカットして放送できないのであれば、未成年の視聴に配慮し、深夜帯に放送すべきだ。

  • 歌番組で少女デュオが「そのうちエッチもしてみたい」と歌っていたが、いかがなものか。今後の彼女たちの人生にも大きな影響を与えてしまうことにならないか心配だ。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • お笑いタレントが高校時代のエピソードを話す中で、同級生の女の子の容姿を外国人男性俳優に例えて揶揄していた。もしこの放送を本人が視聴していたらどんな気持ちになるのかと考えると胸が痛くなった。たとえ本人が視聴しなくても、同級生が見れば「あの人のことだ」と気付くだろう。容姿をからかうことはいじめにも繋がるのだから、青少年の視聴を念頭に、もっと表現に配慮した番組作りをしてほしい。

【「食べ物」に関する意見】

  • グルメ企画で、出演者が巨大な天ぷらなどを一口で食べたり、食べながら話をしたりしていた。かつて、大食いや早食いがはやっていたころ、子どもが窒息死する事故があった。少なくとも一口で食べさせないようにするか、注意を促す文言の表示が必要だと思う。