第182回–2016年6月28日
視聴者意見を中心に意見交換…など
2016年6月28日に第182回青少年委員会を、BPO第1会議室で開催しました。7人の委員全員が出席し、まず、5月16日から6月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に意見を交わしました。そのほか、6月の中高生モニター報告、今後の予定について話し合いました。
次回は7月26日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2016年6月28日(火) 午後4時30分~午後6時40分
- 場所
- 放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
その他 - 出席者
- 汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員
視聴者からの意見について
-
「迷惑観光バスを取り上げたニュースの中で、保護者の承諾を得ていない児童の顔出しインタビュー映像があった。問題ではないか。」という意見について、委員からは「特集の一部で貴重な発言だったので顔出しで短い時間使ったのだろう。保護者としての心配も理解できるが、子どもたちの人権にかかわるような映像でもなく、既に当事者間の話し合いもできているようなので、今回はこれ以上問題にしない」との意見がありました。
中高生モニター報告について
32人の中高生モニターにお願いした6月のテーマは、「最近見たドラマ・アニメ番組の感想」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で28人から報告がありました。
「ドラマ・アニメ番組の感想」では、ドラマについて18人、アニメについては8人、その他の番組について2人から報告がありました。ドラマでは『99.9-刑事専門弁護士-』(TBSテレビ)に「社会派な内容を分かりやすく伝えている」など4人から、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ)、『トットてれび』(NHK総合)には3人、『真田丸』(NHK総合)には2人から報告がありました。アニメについては、「家族みんなで視聴できる」など、『サザエさん』(フジテレビ)に3人、『ドラえもん』(テレビ朝日)に2人から報告がありました。
「自由記述」では、「米軍属による女性殺害事件」「北海道男児行方不明事件」におけるメディアの姿勢・報道のあり方に疑問を呈した意見がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『究極の○×クイズSHOW!!超問!真実か?ウソか?』(日本テレビ)に、4人から報告がありました。
◆委員の感想◆
【最近見たドラマ・アニメ番組の感想について】
- 過去2か月に比べ、文章力が格段にアップし、読み応えがあり、変化と成長に驚かされた。
- 中高生になじみ深い「ドラマ・アニメ番組」がテーマだったためか、番組をじっくり見て分析している様子がうかがえ、リテラシーの潜在能力が発揮されていると感じた。
- 『99.9-刑事専門弁護士-』(TBSテレビ)への感想が複数あったが、一見難しい社会派の内容をわかりやすく伝えているといった意見や、一話ごとに役者の行動に対する効果音が増えているという指摘など、制作者の立場に立った視点をもっていることに感心した。
- 視聴率の低さが話題となったドラマを「心揺さぶられた番組」として挙げたモニターのリポートに「視聴率は内容と比例しない」と書かれていた。視聴率にとらわれない独自の物差しによる評価を頼もしく思った。
- 『重版出来!』(TBSテレビ)について「普段知ることのない出版業界が見え、働く人のかっこ良さが伝わった」「自分が大人になった時もこんな風に仕事をしたいと思った」という素直な受け止めがうれしい。
- 分析的視点に感心する一方で、「ドラマやアニメは無条件にのめりこんで見てほしい」との気持ちを持った。
【自由記述について】
- 「舛添前東京都知事」に関するメディアのとらえ方や報道の在り方への批判が複数あったが、その視点が興味深い。
- 「米軍属の女性殺害事件」の報道におけるメディアの姿勢に対する疑問と批判は、議論の余地がある部分への大切な気づきであり、鋭い指摘だった。
- 「北海道男児行方不明事件」についての意見が少ないと感じる。あれだけ世間の耳目を集めた事件に対する反応としては、やや物足りない。
- BSで放送されている通販番組について「流す内容がないなら放送しなくて良いと思う」という意見があったが、彼らには「内容が無いように見えている」ことが分かり、放送の作り手と中高生の感性のズレを感じさせられた。
◆モニターからの報告◆
【最近見たドラマ・アニメ番組の感想】
- 『トットてれび』(NHK総合) 私自身、黒柳徹子さんが好きで第1話からずっと見ている番組。魅力はなんといっても若い頃の黒柳さんを熱演する満島ひかりさん。黒柳さんの特徴(早口で話したり性格がとても天然なところ)を上手に演じていてつい笑ってしまいます。そして第5話では"向田邦子と徹子・友情の物語"という題で、作家向田邦子さん(1929~1981)との仲の良さが描かれています。ちょうど、たくさんあるテレビ局の中心に向田さんの家がありよく通い様々なお話をする、と語っていました。「毎日のように、いや毎日のようにではなく毎日彼女の家に行っていました」――この言葉(ナレーション)が番組で一番印象深かったです。(東京・中学1年・女子)
- 『ドラえもん』(テレビ朝日/北海道テレビ) 昔から見ていた大好きな番組です。良いところは、アニメの内容が漫画の原作の内容に少し新しい内容を追加して放送しているところです。漫画で読んでいて話の内容が分かっていると思っても、思いもよらないことが追加されていて原作を読んでいる人にとっては、なおさら面白いと思います。次に良かったことは視聴者プレゼントがあるということです。視聴者への感謝の気持ちが伝わってきて大変うれしい気持ちになりました。さらに良かったことは、アニメとデータ放送が連動しているということ。コマーシャルが流れている時などにふとDボタンを押すと、ドラえもんの登場人物やミニゲームなど、視聴者を飽きさせないような仕掛けがあることが良いと思いました。(北海道・中学2年・男子)
- 『99.9―刑事専門弁護士』(TBSテレビ)は、刑事事件専門の弁護士が主人公です。タイトルの「99.9」というのは、日本の刑事裁判での有罪率で、起訴されたらほぼ100%に近い確率で有罪になってしまうことを意味します。僕はそのことを今まで知りませんでした。主人公は残りの0.1%にこだわり、何度も検証して諦めずに難事件を解決していきます。刑事事件を扱うため、殺人や横領といった重い事件ばかりですが、主人公がダジャレ好きで会話にも多く出てきたり、居酒屋のメニューが歴史をもじっている点などが面白いです。「生類憐みの冷麺」や「おののいも煮」などのメニューが並び、値段が年号になっていて、「大阪夏の陣ジャーエール」は1,615円でした。ちょうど学校で歴史を学んでいるので余計に興味深く、録画して一時停止しながら見直す楽しみがあることが面白いと思います。(東京・中学2年・男子)
- 『ゆとりですがなにか』(日本テレビ) 私は最初このドラマを見てゆとり教育で育った人に失礼なのではないかと思った。なぜなら主人公やその周りのゆとり教育で育ったとされる人たちはみんなどこか抜けているところがあったり、暴力的だったりと人のあまり良くない部分が誇張されているように感じたからだ。しかし、ゆとり教育で育ったことを武器に社会で戦っていく主人公たちの良いところ強みなどが伝わり、この表現は、一見すると悪いところしか強調してなくてゆとり教育を否定的にあらわしているようにみえてしまうが、本当はゆとり教育だったからこそ社会で学べることの大きさなどが鮮明に描かれていて、ゆとり教育を肯定的なとらえかたをしているともいえる。人は完璧ではなくまだまだ学べることがたくさんある、というメッセージも込められているのかなと感じた。(東京・中学3年・女子)
- 『ラヴソング』(フジテレビ) 春には、なぜか心が温まるドラマが見たくなった。それは、クラス替えがあったので、新しい友人との「距離感」がなかなか掴めなかったからだと思う。ヒロインが「弾き語り」をするギターの弦の響きが、なぜか心に響きました。難しい恋愛ドラマより、彼女の弾き語りが、ドラマのある種の切なさをヒシヒシと伝えていました。学校の友人も、弾き語りのシーンで、涙したと言っていました。僕らは、情報社会にいるので、このドラマの視聴率の低さがニュースになっていますが、殺人を題材とする「刑事ドラマ」より、僕にとっては、このドラマの方が、断然心が揺さぶられました。視聴率は内容と比例しないと思いました。これからも、自分の価値観を大切にしたいと思いました。(東京・中学3年・男子)
- 『サザエさん』(フジテレビ/関西テレビ) 家族で見られるアニメで、どんな人が見ても面白いすごい番組だと思います。非常に長く続いている番組で、親が幼いころから見ていたということで本当に日本人に愛されている番組だと思います。話の内容もごくごく普通の日常を描いたもので不適切な表現(暴力的な表現や卑猥な表現、差別的な表現など)は一切見られず、共感できる部分も多く、安心して見ることができる番組のひとつです。(兵庫・中学3年・男子)
- 『サザエさん』(フジテレビ) テレビ放送が始まってから45年が経っていることにすごく驚きます。サザエさんが作り出す雰囲気だったり空気感がとっても心温まるし、サザエとカツオのケンカも毎度同じだけど、無いと逆に寂しさを感じてしまいます。今では少なくなっている「3世代で生活する」という設定もまた羨ましく、素敵だなと感じます。(東京・高校1年・女子)
- 『重版出来!』(TBSテレビ/テレビ高知) 週刊コミック誌の編集部を舞台とした編集者や作家、そしてその仕事を支える人たちの物語です。興味を持った一番の理由は、このドラマからは、普段あまり知ることのない漫画を作る側や売る側の世界を知ることが出来るからです。また、働く人のかっこ良さが伝わってきます。漫画を描くことにすべてをかける漫画家、それを支える編集者。どの人も漫画を読者に売りたい、楽しんで読んでもらいたいという思いをもとに懸命に働いています。その様子は、本当にかっこ良いなと思うし、キラキラ輝いているように感じました。自分が大人になった時にもこんな風に仕事をしたいとも思いました。ドラマは、普段知らない世界であったり、現実ではありえない世界が映像化されています。だからこそ見る側の人にこの世界が目の前にあるように感じられるような番組を作ってほしいです。(高知・高校1年・女子)
- 『真田丸』(NHK総合) 非常に面白い。コミカルな脚本と、魅力的な登場人物の数々にぐいぐい引き込まれるドラマだ。歴史ファンでなくても十分に楽しめる。毎週日曜の夜が待ち遠しくなったし、家族や友人との会話の種にもなった。大河ドラマでは、今後も良い脚本家を起用してほしいと切に願う。(神奈川・高校2年・女子)
- 『Re:ゼロから始める異世界生活』(テレビ東京) 人間は一人で行動した方が楽だ。なぜなら他人に気を遣わなくてよいからだ。しかし、一人で行動していてもつまらないのも事実である。また、一人では乗り切れないことが必ず生じる。でも、他人と協力すれば乗り切れるのではないだろうか? 私は、この放送でいろいろと気づかされた。なんでも一人で解決しようとせず、できないことがあれば他人に聞いてみる。そうすれば、違った考えを知り新たな興味が増えるのではないかと思った。(群馬・高校3年・男子)
【自由記述】
- 東京都知事の舛添氏の政治資金問題の報道について、確かに舛添氏が不透明な支出をして説明責任を果たさないから追及されるのはしょうがないと思いますが、朝から晩まで限られた数の同じコメンテーターの人たちがいろいろな番組に出ていて、同じことを繰り返し話しているので、視聴者は限られた意見にしか触れられず、その論調に流されてしまうのではないかと思います。あまり偏りすぎないように報道することも必要なのではと思いました。(宮城・中学1年・男子)
- 米軍属に女の人が殺された事件のニュースで、遺族が林道にひざをついて号泣している映像を見ました。私は、いたたまれない気持ちになりました。大切な人が失われて、遺族の方の悲しみは計り知れないものだと思います。それを平気で報道する映像は見たくないと思いました。(岡山・中学2年・女子)
- 北海道で起こった男児行方不明事件の報道について気になった。男児が保護された際、行方不明になった経緯を鑑みると、決してほめられた話ではないのに、劇的な生還を遂げたことだけを取り上げて「すごい」とか「(この男の子は)ちゃんとしている」とか安易な賞賛の言葉が出回っていることに疑問を覚えた。(京都・高校1年・男子)
- 最近の特番は似たようなクイズ番組ばかりやっているので、何か新しい発想で企画を考えてほしいです。また、そういったクイズ番組でも、その時、はやっている同じような芸人ばかり出てくるので、「新しいことを考えよう」というテレビ局側の意欲があまり感じられません。(北海道・中学2年・男子)
- 芸人さんが体張った番組(脱いだり、キスしたり)はあんまり興味がない。多くの人に見てもらう為に過剰な演出も仕方ないのかもしれないけれど、とても不愉快になる番組が多い。それで家では、テレビ東京かNHKをみる機会が多い。理由はクイズ番組や旅行番組など家族で見られる番組が多いから。ゴールデンタイムは家族皆で見られる番組を増やしてほしいです。(神奈川・中学3年・女子)
- CMについてなのですが「貞子VS伽椰子」みたいなホラー映画などの予告をCMでやるのはやめてほしいと思います。宣伝したいのは分かりますが、やっぱり怖いです。番組としてやるのは見ないようにすれば良いだけなのですが、CMでやられるといやでも見ることになるので勘弁してほしいです。(千葉・中学3年・女子)
- テレビについて、流す内容が無い場合は、流さなくてもいいと思います。BSとかひどいのですが、化粧品か健康食品の通販ばかりです。テロップに「個人の意見」ですと記載をすれば、何を流しても良いというのはおかしいと家族で話題になりました。(東京・中学3年・男子)
【青少年へのおすすめ番組について】
- 『究極の○×クイズSHOW!超問!真実かウソか?2時間スペシャル』(日本テレビ)解答者は、京大や東大などの名門校を卒業した人ばかりだったので、こんなに頭の良い人達が、だまされるわけがないと思っていました。しかし「ペットフード会社には、ペットフードを試食する人がいる」や「出生届は、名前が決まっていなかったら空欄のまま出してもよい」等、聞いたことのない、○か×かわからないような問題ばかりで、頭の良い人達でもプレゼンター2人の主張に惑わされていました。言葉巧みにもっともな主張をするプレゼンターがすごくて楽しみながら学ぶことができるので、これからもまた見たいと思いました。(東京・中学2年・男子)
- 『響けブラボー!NAGASAKIブラス&マーチングフェスティバル』(長崎放送) 私も歌とピアノを習っています。演奏しながら意識して行進をして、きれいな形にするのはとても大変だと思います。私の通っている学校も出ていました。吹奏楽部は、朝も放課後も一生懸命練習しています。その結果が、この素晴らしい演奏につながるんだと思いました。どの学校もかっこ良かったです。幼稚園の子どもたちもマーチングをしていたのを見て、私も幼稚園の時にしてみたかったと思いました。(長崎・中学1年・女子)
- 『こうちeye』(高知放送) 高知で親しまれているニュース番組です。新聞とコラボしている番組は珍しいし、テレビを見て新聞を読んでみようという気になる人も多と思います。新聞に対して苦手意識を持つ人が多い中で、このような番組を見て興味を持つことは大事なことだと感じました。また、この番組からは自分の住む地域の情報を知ることが出来ます。自分の地元について知ることも私たちのような学生にとって必要なことだと思います。(高知・高校1年・女子)
今後の予定について
- 8月3日に開催する「夏休み関東地区中高生モニター会議」の内容について話し合いました。TBSテレビの協力による社内見学の後、"ドラマ制作者との意見交換"や"子どもが関わる事件の取り扱い""ドッキリ企画をどう考えるか"などについて委員と中高生が意見を交わすことにしました。
- 9月12日に開催予定の意見交換会(広島)について、事務局から進捗状況の報告がありました。担当は菅原委員に決まりました。
- 10月14日に開催予定の留学生との意見交換会(立命館アジア太平洋大学)について、事務局から進捗状況の報告がありました。
その他
- 6月8日に開催した意見交換会(新潟)について事務局から報告がありました。
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