第178回–2016年2月23日
視聴者意見を中心に意見交換…など
2016年2月23日に第178回青少年委員会を、BPO第1会議室で開催しました。7人の委員全員が出席しました。まず、1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に意見を交わしました。そのほか、2月の中高生モニター報告、今後の予定について話し合いました。
次回は3月13日に中高生モニター会議と定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2016年2月23日(火) 午後4時30分~午後7時10分
- 場所
- 放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者からの意見について
中高生モニターについて
今後の予定について
その他 - 出席者
- 汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、川端裕人委員、菅原ますみ委員、緑川由香委員
視聴者からの意見について
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男性アイドルグループの解散問題、女性タレントの不倫騒動、元プロ野球選手の覚せい剤所持容疑での逮捕、などに関して視聴者からの意見が集まりました。委員からは「世の中に潜在的な不安があるので、刺激的な話題に過激に反応してしまう傾向があるのではないか」「週刊誌に出ていたSNSの個人情報を放送で紹介することの是非は、放送倫理上の論点の一つだ」「覚せい剤の使用方法を説明する場合、子どもに好奇心を持たせないように、表現方法の工夫が必要だ」などの意見が出ましたが、今後の動向に注意することとし、現段階ではこれ以上の議論は必要ないということになりました。
中高生モニター報告について
2月の中高生モニターは、「この1ヶ月程の間に見た番組の感想(バラエティー・クイズ・音楽)」というテーマで書いてもらい、27人から報告がありました。
新しい内容のクイズ番組を評価する報告を寄せてくれたモニターがいました。『優しい人なら解ける クイズやさしいね』(フジテレビ)…「この番組は学力や年齢の差に関係なく見ることができる。人の優しい気持ちや思いやりから生まれた行動が問題として出題されているので、うちでは一番年齢の低い弟がよく答えを当てる。心がポカポカ温まる内容で今までにない新しいクイズ番組だ」(埼玉・中学2年女子)。
音楽番組にも高い評価がありました。『Love music』(フジテレビ)…「生でアーティストの音楽を聴く観客の感動がこちらにも伝わってきて、自分も会場にいるかのように一体となって音を感じることができる。視覚的にも視聴者を飽きさせない作りになっている。アーティストやライブの雰囲気を一番に見せる究極のシンプル。これこそ今の音楽番組に必要なものではないか」(長崎・高校1年女子)。『亀田音楽専門学校』(NHK Eテレ)…「J-POPを分析してその魅力を分かりやすく楽しく講義する視点が素晴らしい。亀田さんの語り口と女子アナとの掛け合いも好印象だ」(東京・中学3年男子)。
人気のバラエティー番組にも意見が寄せられました。『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ)…「胸キュンスカッとのコーナーが大好き。中高生世代の恋愛体験談をドラマ仕立てで紹介する内容で、毎回胸をときめかせながら姉と一緒にキャーキャー叫んでいます」(神奈川・中学1年女子)。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)…「世界の話題の動画を再現してみるという企画はひとひねりしてあって、ロッチ中岡さんの真面目に取り組む姿勢がなぜか余計に笑える。この番組で汚い場面や痛そうな場面が時々あるがなぜか下品に感じない。出ているタレントさんの清潔感とスタッフのセンスなのかなと思う」(福岡・中学1年女子)。『ポケモンの家あつまる?』(テレビ東京)…「私には小1と小4の兄弟がいます。この番組は小1から中1までが楽しく見ることができる番組です。日曜日の朝8時から始まる番組なので、休みの日にまったりできます。レギュラー陣の選択もピカイチです」(兵庫・中学1年女子)。
一方、批判意見もありました。『有吉ゼミSP~潔癖男大集合&真冬の激辛祭り&新企画古民家カフェ作りが始動!』(日本テレビ)…「出演者が制限時間内に激辛料理を完食できるかを競い合うという内容だった。最近のテレビ番組では"体を張って罰ゲーム"といった企画が多いが、健康や安全まで侵すとはいかがなものか。そんなことで視聴率を取ろうとする最近のテレビ局は視聴者をなめすぎ、馬鹿にしすぎだ」(滋賀・高校2年女子)。
放送全般に関する意見もありました。「この1年、モニターを務めて分かったのは、テレビという媒体の影響力の大きさだ。インターネットで情報を得られる今でも、僕たちの年代でも興味のあるニュースはやはりテレビで見てしまう。もっとも放送内容が真実なのか首を傾げることも多々ある。これからは、テレビが変わることを期待するより、見る側の視聴者が賢く、必要な情報は何か、真実は何かよく見極めながらテレビと付き合っていかなければならないと思った」(東京・中学3年男子)。
■中高生モニターの意見と委員の感想
●【委員の感想】1年弱、問題意識を持ってテレビを見ていると、中高生の内面に自然とメディアリテラシーが育まれるものだ。テレビを見る側の視点から離れて作る側の視点でも考えたり、あるいはその番組が社会に与える影響まで推し量るなど、メディアのあり方を深く考えるようになっている。
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(愛知・高校2年男子)タレントが番組内で不適切な発言をしてインターネットで炎上、バッシングを受けることがあるが、番組の編集段階などでしっかりと検証してほしい。出演者や事務所を含め様々な問題があるだろうが、やはりテレビ局には最終的に放送する責任を自覚し毅然とした態度で健全な番組制作をしてほしい。
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(長崎・高校1年女子)以前に比べて、似たり寄ったりな全国放送のバラエティーが減った気がする。それぞれ自分の個性を存分に発揮できる内容を考えて番組を作ってくれているのだろうと感じる。私自身も"今日は何を見よう"と迷うことも多くなった。
●【委員の感想】世代の違う家族が集まって一緒に見て話題にできる番組を支持する報告が見られた。
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(岩手・高校2年女子)『1周回って知らない話』(日本テレビ/テレビ岩手)。若い世代にとっては新たな情報で、40代以上の人にとっては懐かしい話として家族みんなで楽しく見ることができる内容だ。見終わった後も家族で会話を広げられる。
●【委員の感想】今回の報告の中に私の知らない番組がいくつも挙がっており、とても面白く読むことができた。制作者が新企画に挑戦する意気込みが、青少年にもしっかり受け止められているようだ。
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(埼玉・中学3年男子)『沸騰ワード10』(日本テレビ)。この番組は今とても流行している言葉について、10のワードをもとに特集しています。ここで紹介された絶景ホテルにぜひ行ってみたいと思いました。
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(宮城・中学3年女子)『あのニュースで得する人損する人』(日本テレビ/宮城テレビ)。毎週家族で見ながら、"ほんと?やってみよう!"とマネしてやってみています。この番組は日常生活で得する役に立つことを教えてくれるので、とても良い番組だと思います。司会者も説得力があります。
●【委員の感想】質のいいドラマの再放送が少なくなっていることが残念だという報告や、大好きなドラマを見逃したら放送後一定期間パソコンなどで見られる方法があるのはとてもよい、という意見もあった。
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(鹿児島・中学3年女子)ここ数年の間に、各テレビ局で平日の夕方に過去のドラマや今放送中のドラマの前週分などの再放送をしなくなっているが、私は、それはとても寂しいことだと思う。ドラマを削った分が全て情報番組になっているが、同じような内容を繰り返し放送しているだけならば、過去の懐かしいドラマを放送した方がいいと思う。
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(宮崎・高校1年女子)NHKの『あさが来た』は毎日見ている大好きなドラマだ。何度かBSで再放送してくれるのはとても嬉しい。また、民放のドラマやバラエティー番組などを見逃したら1週間無料でスマートフォンやパソコンで見ることができる。持ち運びができ、どこででも見られ、CMが少なく短時間で見ることができる。
●【委員の感想】自由記述欄に読み応えのある意見が多かった。
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(兵庫・中学1年女子)NHK Eテレには優れた5分番組が数多くある。その番組内容は様々で、『Eテレ 0655』のようなセンスの良い番組や『ガールズクラフト』のような私たち女子中高生向けの番組、『まいにちスクスク』のような子育てに悩むお母さん向けの番組などジャンルも様々。5分番組でありながら、視聴者の気持ちをつかむ内容の濃さに驚かされる。5分間に賭ける番組を作っている人たちの知恵と工夫がとても感じられる。
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(埼玉・中学2年女子)『池上彰緊急スペシャル!』(フジテレビ)。いわゆる「イスラム国」についての内容になった時、出演しているタレントたちが、自分が危ない立場に立たされると心配して発言を控えると思った。しかし、みんながしっかりした発言をしたので、すごいなあと思った。視聴者目線で恐れず発言していたので共感できた。
今後の予定について
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3月13日(日)にテレビ朝日の協力を得て開催する「中高生モニター会議」について最終的な企画案が事務局から提出され、内容の検討を行いました。
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来年度の中高生モニター約30人の募集についての報告が事務局からありました。今年度より少し多い応募者があり、3月中に決定し本人に通知することにしています。なお、来年度は中学1年生から高校3年生までに募集の枠を広げています。
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6月8日(水)にNHKを含む在新潟テレビ・ラジオ7局との意見交換会を開催することが決まりました。
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秋に留学生との意見交換会を開催することが決まりました。