第97回–2015年10月
"出家詐欺"の報道に「やらせ」疑惑が持たれている、NHK総合の『クローズアップ現代』ほかを審議…など
第97回放送倫理検証委員会は10月9日に開催された。
NHK総合の『クローズアップ現代』とその基になった『かんさい熱視線』の"出家詐欺"報道について、前回委員会の議論を盛り込んだ意見書の修正案が担当委員から提出された。内容や表現をめぐって意見交換が行われた結果、大筋で了解が得られたため、表現を一部手直ししたうえで、11月上旬にも当該局への通知と公表の記者会見をすることになった。
議事の詳細
- 日時
- 2015年10月9日(金)午後5時~7時30分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1."出家詐欺"の報道に「やらせ」疑惑が持たれているNHK総合の『クローズアップ現代』他の審議
2.委員会運営規則の一部見直しについて検討 - 出席者
-
川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、香山委員、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員
1."出家詐欺"の報道に「やらせ」疑惑が持たれている、NHK総合の『クローズアップ現代』他を審議
NHK総合の『クローズアップ現代』(2014年5月14日放送)と、その基になった『かんさい熱視線』(同年4月25日放送 関西ローカル)は、寺院で「得度」の儀式を受け法名を授けられると、家庭裁判所の許可を受けて戸籍の名を法名に変更できることを悪用した"出家詐欺"が広がっていると紹介した。
この番組で、多額債務者に"出家詐欺"を斡旋する「ブローカー」とされた人物が「自分はブローカーではなく、演技指導によるやらせ取材だった」などと主張しているのに対して、当該局は「事実のねつ造につながるいわゆる『やらせ』はないと判断したが、『過剰な演出』や『視聴者に誤解を与える編集』が行われていた」とする報告書を公表している。
前回の委員会で意見書原案に対して示された意見や議論を盛り込んだ「修正案」が、担当委員から提出された。"出家詐欺"の相談場面の実態はどのようなものだったのか、取材・制作の手法としてどのような問題点があったのか、2つの番組でいずれも局内のチェックが機能しなかったのはなぜか、などの論点について、詰めの議論が交わされた。また、放送の自主的自律的な是正のあり方についての委員会の考えが的確に織り込まれているかをめぐって意見交換も行われた。その結果、大筋で了解が得られたため、細部の表現などを手直ししたうえで、11月上旬にも当該局への通知と公表の記者会見をすることになった。
2.委員会運営規則の一部見直しについて検討
審議や審理に入る前にその適否を議論する「討議」についての規程を設けるなど、委員会の運営規則を現状に即した形に一部見直すべきではないかという委員会の意向を受けて、準備作業を始めた事務局から途中経過が報告された。
意見交換の結果、今年度じゅうに作業を終えることをめざして今後本格的な検討に入ること、委員会のなかに相談窓口となる委員を置くことなどが了承された。
以上