青少年委員会

青少年委員会 意見交換会

2015年7月28日

在京局担当者との「意見交換会・勉強会」概要

◆概要◆

青少年委員会は7月28日、「インターネット情報の取り扱いについて」をテーマに、在京テレビ各社(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ、東京MXテレビ)との「意見交換会・勉強会」を千代田放送会館で開催しました。各放送局からは、BPO連絡責任者、編成、報道、情報番組担当者など14人、青少年委員会からは汐見委員長ら7人の委員全員が参加しました。
司会役は川端委員が務め、(1)インターネット上の映像使用、(2)インターネット情報の検証体制、(3)インターネット情報の利用ルール、(4)青少年(保護者)への警鐘(メディアリテラシー)のあり方などについて、16時30分から18時30分まで、各放送局の現状報告を中心に活発な意見交換を行いました。青少年委員会では今回の会合での議論を踏まえ、論点を整理したうえで、11月を目途にあらためて、在京テレビ各局とインターネット情報の取り扱いなどに関する意見交換会・勉強会を実施する予定です。

【意見交換の概要】
●=委員、○=放送局出席者

  • ○ インターネット上の情報もその他の情報も裏付けをとるのは当然であり、その点での違いはない。情報量は多いが、あくまでも一つの情報源である。
  • ● 子ども達にとってテレビは信頼度が高いメディアのひとつである。インターネット上の情報がテレビに流れることで、その情報自体の信用度も大きく高まる。そういった面も念頭に情報の取り扱いには注意してほしい。
  • ○ インターネット上の情報の真贋を見極めるのは非常に難しい。偽の動画を作成して、わざとテレビ局を騙そうとするようなケースもあるので、放送での使用に際しては慎重に判断している。
  • ○ 映像に加工された痕跡がないかなど、技術的な面でのチェックも実施している。
  • ● 番組のコンテンツをインターネット上の情報に依存する傾向が強まっていると感じる。どのような取り扱いをしていけばいいのか、考えていく必要があろう。
  • ○ インターネット上の映像を使用する背景には、戦場の最前線など、通常では取材できないような事実を伝えたいとの思いがある。映像や情報の検証は当然行うが、伝えるべきと情報・映像だと判断した際には、検証しきれない場合でも出所を明らかにしたうえで放送することもある。
  • ● インターネット上は刺激的で面白い映像に溢れている。この宝の山をどう使うべきか、何に注意すべきかについて、今後も検討していきたい。
  • ○ 玉石混交のインターネット上の情報をしっかりと検証することで放送の信頼性を担保したいと考えており、日々、努力している。詳細な基準はあえて設けず、個々のケースに即して責任者が判断している。
  • ○ バラエティー番組においては、著作権上の問題が生じる可能性があるので、インターネット上の映像などを直接使用することはない。
  • ○ 報道においては情報の信憑性を徹底的に確認しつつ、公共性を勘案のうえ報道目的で引用するケースも当然ある。番組ジャンルによってインターネット上の情報との関わりかたも異なる。
  • ○ 画像や映像を報道引用する際には、写っている人の気持ちも考慮し、ケースバイケースで判断している。
  • ○ 動画投稿サイトの映像などを使用する際で検証しきれない場合などは、動画投稿サイトのクレジットを出し、「○○と言われている映像」などの形で紹介することもあり得る。通信社からの配信映像などについても同様の扱いをすることがある。
  • ○ インターネット上の情報を取り扱った企画において、大所高所から番組内でネットリテラシーについて述べることが必ずしも必要だとは思えない。
  • ● テレビはネットリテラシーを広めることができるひとつのインフラではあるが、学校や親の責任も当然あり、テレビだけが責任を持っているとは考えていない。ただテレビでネット情報を扱う場合にはバランスが必要だと思う。自らの情報をインターネット上にアップする子どもがいる現状などを伝える一方で、本人が予測できないような影響が広がる可能性があることなどにも触れる部分があってくれればと思う。
  • ○ インターネットへの関わり方は刻々と変化してきており、動画サイトの紹介をすることによって、その状況を知らない親世代などへの一種の警鐘になるとも考えている。
  • ● 現状を紹介する意義については理解できるが、刺激的な映像を繰り返し使用するケースも散見する。テレビの公共性を踏まえたうえで、番組コンセプトと映像のバランスを取ることが重要であろう。
  • ○ 事件・事故の発生直後などにおいては、どんな良識的な視聴者であっても、実態を見たいとの欲求から、"強い"映像を求める傾向があり、それに迎合し過ぎるどんどん"強い"映像になってしまう。しかし、抑制し過ぎると他局に見劣りしてしまい、視聴率にも敏感に反映してしまう面もあるので悩ましい。
  • ○ 日本の視聴者は良心的で、震災報道における遺体映像などの残忍な映像は望まない。諸外国の報道ではたくさんの遺体映像が使われていたが、日本ではほとんど使われていない。一方、若者などがインターネット上にアップするような映像は、残虐な映像とは少し違い、その時点で視聴者が見たいと思ってしまうような映像が多い。それをどこまで抑制するかという点が問われているのだろう。

【汐見委員長まとめ】
最後に、汐見委員長から出席者に謝辞が述べられるとともに、「各放送局とも難しい課題を抱えつつも、テレビの使命を全うすべく努力している姿が伝わってきた。情報技術や社会の変化はとても速いが、それに対応しながら視聴者にリアルな形で情報を伝えている。真実性や放送すべき価値がある情報なのかを吟味する経験を重ねることで、各放送局で共有すべき留意点などがより明確になっていくことを期待したい。今後も折に触れて、放送局とBPO委員が知恵を出し合えるような機会を設けたい」との感想があり、意見交換会を終えました。

以上