NHK総合の『クローズアップ現代』審議入り
放送倫理検証委員会は5月8日の第93回委員会で、NHK総合の『クローズアップ現代 追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~』と、この番組の基になった関西ローカルの『かんさい熱視線 追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~』の2番組について、審議入りを決めた。
審議入りの理由について、川端和治委員長は「放送倫理違反があるのは間違いないと思われる。委員会として言うべきことがあり、意見を言うことに意味がある」と述べた。
委員会は今後、担当記者やディレクターなど関係者のヒアリングを行ったうえで、「意見」を公表することにしている。
2014年5月14日に放送された『クローズアップ現代』は、寺で出家の儀式「得度」を受けると戸籍の下の名前を法名に変更できることを悪用して別人を装い、金融機関から融資をだまし取るケースが広がっていると紹介した。
番組では、宗教関係者や行政の担当者が対応に苦慮していることや、実際に「ブローカー」と「多重債務者」が相談している隠し撮りの現場などが紹介されたが、その「ブローカー」と「多重債務者」の相談シーンは「やらせ取材」だったと、今年3月、週刊誌が告発した。
NHKの調査委員会は4月28日、報告書を公表し「事実のねつ造につながるいわゆる『やらせ』はないと判断したが、一方で、放送ガイドラインを逸脱する『過剰な演出』や『視聴者に誤解を与える編集』が行われていた」として、担当記者ら15人の懲戒処分を決定した。