意見交換会(山梨)概要
◆概要◆
青少年委員会は2月13日の午後3時から6時にわたり、山梨県甲府市の山梨放送(山日YBS本社)で、在山梨放送局担当者との意見交換会を開催しました。
山梨地区の番組は、日本民間放送連盟賞の特別表彰部門「青少年向け番組」に多数入賞するなど、いわゆる「青少年向け番組」に関する取り組みが充実していることから、同地区放送局との意見交換を通じて相互理解を深め、放送界全体の番組向上に役立てるために企画したもので、同地区での意見交換会の開催は初めてとなります。
BPOからは汐見稔幸・青少年委員会委員長、加藤理・同副委員長、最相葉月・同委員の3名、放送局側からはNHK、山梨放送、テレビ山梨、エフエム富士の各BPO連絡責任者、制作・報道担当者など27名が参加し、論議が交わされました。
意見交換会は2部形式で実施し、第1部では、BPOや青少年委員会の役割などについて事務局から説明しました。また、委員が事前に視聴・聴取した、各局の「青少年向け番組」について感想を述べ、意見交換しました。委員からは、「視聴した後にも余韻をかみしめられるような、手間暇かけた内容の番組が多く、すがすがしい気持ちになった」「青少年だけではなく年代を越えて共感できる内容であり、作品に力がある」「新たな発見もあり、豊かな時間を過ごすことができた」などの感想が寄せられました。
第2部では、「地元密着型の番組制作」「青少年向け番組」「メディアリテラシー」のそれぞれのテーマについて、意見交換しました。
「地元密着型の番組制作」については、委員から、「家族のだんらんを大切にしている県民性や青少年を地域で育む意識が高いことなどが伝わってきた」「取材対象者との関わりかたが上手。距離をとりながら魅力的に人物を描いている」などの感想が寄せられました。放送局側からは、「山梨の人が山梨の良いところを知らないのではないかと感じている。東京に近くて大自然があり、NPO法人が調査した『ふるさと暮らし希望ランキング』で1位になるなど、潜在的な財産が多くある。メディアが発信していくことで地域に恩返ししたい」「山梨はケーブルテレビの普及率が高く、キー局の番組を受信できる環境にある視聴者も多い。そこで、キー局の番組との差別化を図るため、地元に密着した良質な番組を作り上げていこうという意識が強い」「NHKも含めてテレビ局が3局しかなく、互いに切磋琢磨している。また、番組コンクールでの受賞なども励みになっており、放送局間はもちろんのこと、同局の社員同士でも『負けたくない』との意識で一生懸命制作している」などの考えが示されました。その一方で、「狭い社会であり、少し番組に出ただけで注目されてしまうので取材が難しい。出演に際しての説得に苦慮している」など、現場ならではの苦労も披露されました。
「青少年向け番組」については、「そもそも青少年向け番組とは何か」との論議がありました。委員からは、「児童文学であれ放送であれ、素晴らしい作品ははじめから青少年向けに作られたものではない。当地区での作品も様々な年代の視聴者が共感できる内容となっている」との発言があり、放送局側からも、「青少年のみに視聴してもらうために制作している訳ではない。様々な年代の視聴者が納得できる作品を目指している」など、基本的な制作スタンスについての考えが示されました。報道や情報番組などにおける具体的な取材・制作手法については、「危険ドラッグの取り上げ方などに際しては、社内でも徹底的に議論するなど、細心の注意を払っている」「ゲームやスマートフォンを過剰に取り上げることで、子どもたちの欲求を惹起してしまうのではないかと考えると、取り扱いが悩ましい」などの発言がありました。また、メディアリテラシーについては、「視聴者によってリテラシーの差が大きく、基準をどこにあわせるかが難しい」などの悩みが寄せられました。
最後に汐見委員長から、「山梨地区における各放送局の番組作りは、足元にすばらしい自然や歴史、文化があることをメディアが広めて行く、ひとつのモデルになり得ると感じた。これからは、視聴者参加型の番組などを通じて、県民の皆さんに『私たちの番組』であるとの意識をもってもらうことが大切だと思う。キー局とは違ったアプローチでこれからも頑張ってほしい。本地区での取り組みを各局に伝えていくことを通じて、『視聴者と放送事業者を結ぶ回路』としての、青少年委員会の役割を広げていきたい」との、まとめの言葉があり、3時間にわたる会合を終了しました。
以上