放送人権委員会

放送人権委員会

2014年度 解決事案

2014年度中に委員長の指示を仰ぎながら、委員会事務局が審理入りする前に申立人と被申立人双方に話し合いを要請し、話し合いの結果解決に至った「仲介・斡旋」のケースが6件あった。

「深夜ラジオ発言への申立て」

A局が2013年7月に放送した深夜ラジオ番組で、パーソナリティーが以前楽屋内で起きたとされる事件に元芸人が関わっていた可能性を示す発言をしたとして、元芸人が名誉毀損を訴え、「謝罪と放送内容の訂正」を求めて申し立てた。委員会事務局が申立人と同局に話し合いによる解決を要請したところ、双方がこれを受け入れ、申立人と同局およびパーソナリティーの所属事務所の代理人が8カ月におよぶ話し合いを行った結果、申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2012年1月9日 解決8月21日)

「ダンススタジオ閉鎖めぐる申立て」

B局が2014年1月に放送したバラエティー番組で、あるダンススタジオの閉鎖を取り上げたことに対し、スタジオのオーナーが「一方的な取材による嘘の放送」で名誉を傷つけられたとして、謝罪と訂正を求めて申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を要請したところ、半年以上におよぶ話し合いの末、同局が番組ホームページ上で放送が「正確さを欠いた」としてお詫びすることを提案、オーナーがこれを了承して申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年1月  解決9月)

「海外学校運営めぐる申立て」

海外で暮らす日本人の生活ぶりを紹介するC局のシリーズ番組(2014年3月放送)で、ある国で学校を経営する日本人が教員の給与等について「明らかな誤報によりイメージを傷つけられた」として、謝罪と訂正を求めて申し立てた。委員会事務局が一時帰国中の申立人と同局に話し合いによる解決を要請したところ、双方がこれを受け入れて3カ月以上にわたって主にメールによるやり取りをした結果、同局が番組ホームページ上および次回番組内(放送は不定期)で謝罪、訂正することを提案、申立人はこれを了承して申立てを取り下げ、解決した。

(放送2014年3月  解決7月)

「社会福祉施設めぐる申立て」

D局が2014年5月に放送したローカルニュース番組で、地元知的障害者施設の職員による入所者への暴行事件をめぐる裁判で、「日常的な虐待はなかった」との高等裁判所の判決内容を伝えたうえで、施設職員とされる2人のインタビューをもとに「日常的な虐待を認める職員もいました」と放送した。これに対し施設を運営する社会福祉法人とその理事長が、放送は裁判所の判断を否定するもので、人権侵害、名誉毀損、業務妨害にあたると申し立てた。その後D局は委員会事務局に対し、申立人と是非話し合いをしたいと仲介を依頼したため、事務局はこれを申立人の代理人に伝えたところ、申立人側もこれを受け入れ、双方の代理人同士が半年にわたる話し合いをした結果、申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年5月  解決12月)

「広報番組への申立て」

E局が2014年6月に放送した広報番組で、研修中の新人アナウンサーが「収賄の罪に問われた市議に有罪判決」というニュース原稿を読む練習の模様を放送した。この放送に対し、この市議(判決後失職)が、実名は出してないものの、市名を繰り返し読まれたため、地元ではすぐ自分と特定できるとして、「人権と生きる権利を著しく侵害された」と申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を促したところ、5カ月にわたる話し合いの末、同局が申立人に謝罪文と再発防止策を提示したことなどを受けて申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年6月  解決11月)

「政治倫理審査委員会めぐる申立て」

F局が2014年8月放送したローカルニュース番組で、自治体の公共事業談合に絡んで市議会の政治倫理審査委員会がある議員を審査する模様を伝えた。これに対しこの議員と家族は、「談合の賠償金回収のがれに加担?」などの一方的な表現で「マイナスイメージを植え付けられ、議員活動や選挙に支障を及ぼす」と申し立てた。申立てに対し同局は委員会事務局に対し、議員および家族と是非話し合いをしたいと仲介を依頼、申立人側にこれを伝えたところ、話し合いが実現し、その結果、申立人は「今後の活動予定等を勘案して」申立てを取り下げ、解決した。

(放送2014年8月  解決12月)