放送人権委員会

放送人権委員会

2015年2月

意見交換会[日本テレビ系列・四国4局]を開催

放送人権委員会は2月24日、香川県高松市内で日本テレビ系列の四国4局を対象に意見交換会を開催した。放送局側の参加者は四国4局から報道・制作に携わっている局員を中心に21人とオブザーバーとして日本テレビから2人、委員会側からは三宅弘委員長、小山剛委員、田中里沙委員の3人が出席した。
系列局を対象とした意見交換会は、放送人権委員会としては今回が初めてである。
意見交換会では、まず委員会が通知・公表した「委員会決定」をとりあげ、それぞれの事案に含まれている問題や、委員会が判断する際に検討したポイントなどについて委員長と起草を担当した委員が説明した。
続いて、昨年6月に公表した「顔なしインタビュー等についての要望~最近の委員会決定をふまえての委員長談話~」について、この談話を出すに至った背景や談話に込めた思いなどについて三宅委員長が各項目に沿って説明した。この中で三宅委員長は冒頭の項目について、「表現の自由」の保障の根拠である「自己実現」と「自己統治」の考え方が端的に書かれている最高裁判所判決を引用したことをあげ、「表現の自由、とりわけ取材・報道の自由の原点を一文で表すとこの文章になる」と解説し、さらに行き過ぎた社会の匿名化が民主主義社会の在り方とも深いかかわりがあることを強調した。
また、田中委員は、「大事なことは取材対象者と最大限の意思疎通をはかる努力をすることだ。1秒を争う現場では難しい点もあるが、取材を受ける人に何の目的でどのように放送するかなど、参考になる情報をきちんと伝える方法を工夫することも必要ではないか」と述べ、雑誌の取材や街頭アンケートなどで採用されているチェックシートを使った確認手法などを紹介した。
局側からは、「ローカル局が作っている番組では比較的モザイクなどの使用は少ない。キー局の番組を含めて全体的な傾向が変わらなければ顔なしインタビューやモザイクの使用は少なくならないのではないか」などの意見が出された。
今回の意見交換会では特に放送局側から、実際に現場で悩んだ事例を出し合ってそれについて意見交換をしたいとの要望が出され、各局から具体的な事例が紹介された。
自社のホームページにアップしたニュース映像が期限を過ぎた後も検索によって誰でも視聴可能な状態となっていたことに対して抗議を受けた、という事例について小山委員が「忘れられる権利」に関する最近の裁判所の判例を紹介したうえで、「自動的、機械的に行われるインターネットの検索サイトの場合であっても削除命令が出されている。ましてや能動的に管理している放送局の場合はさらに注意を払わなければいけない」と述べた。
今回の意見交換会について局側の参加者からは、「全国的にも知られている事例を解説されることでよりリアルに詳細に理解することができた。また、各局での題材も同じことがすぐに起こり得ることとして、当事者から生々しく聞くことができた」「各局の事例報告は、実感を持って聴くことができたし、それに対する委員長、委員各位の意見などを直接聴くことができ、大変参考になった」などの声が寄せられた。

以上