放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会

2014年11月28日

系列を持たない「独立局」と意見交換会

BPO放送倫理検証委員会と「独立局」との意見交換会が、2014年11月28日に東京・千代田放送会館で行われた。検証委員会はこれまで、地域や系列ごとの意見交換会を開催してきたが、今回は初めての試みとして、系列を持たない独立局を対象に実施した。独立局の会合と同じ日に設定することにより、関東・東海・近畿の13のテレビ局から27人が参加した。
概要は以下のとおり。

冒頭、BPOの飽戸弘理事長が、検証委員会だけではなく、人権委員会や青少年委員会も含めたBPOの三委員会について、その目的や活動内容などを説明した。飽戸理事長は「各委員会からの問題提起はすべての放送局に共通するものなので、『わが社でなくて良かった』ではなく、他山の石として今後の改革・改善につなげてほしい。放送事業者と視聴者を結ぶBPOの役割を、ぜひ理解してほしい」と述べた。
続いて、升味佐江子委員が「BPOというと怖いイメージを放送局は持っているようだが、放送に対する信頼を高め、視聴者と放送局の間の『愛情のある関係』を維持する手助けができることを委員会は望んでいる」と述べたあと、「2013年度の検証委員会決定から」と題して、3つの意見書の論点を詳細に説明した。
委員会決定第16号の「関西テレビ『スーパーニュースアンカー』インタビュー映像偽装」事案について、升味委員は「『モザイクを取ったら別人』という事態は深刻ではないかと委員会では考えた。視聴者からの信頼を維持するためにも、テレビだからという特権意識ではなく、市民の『知る権利』に奉仕する気持ちを忘れないでほしい」と述べた。
決定第17号の「2013年参院選にかかわる2番組」事案については、「番組意図がいかなるものであっても、特定候補者の人となりや肯定的評価を紹介した結果、選挙の公平・公正を損なうと判断した。今回の衆院選のように急に選挙になることがあるので、各局は報道セクションだけでなく全局体制で、十二分に事前の準備をすることが大切だ」と指摘した。
さらに決定第19号の「日本テレビ『スッキリ!!』ニセ被害者」事案をめぐっては、「いわゆるネット詐欺の問題で弁護士がニセ被害者を紹介すること自体が想定外で、局が信じて放送したことに相応の理由や根拠はあったと思う。専門家に過度に依存しないことを念頭に置きながら、こうした新しい形の社会的な問題に、果敢にアプローチやチャレンジをしてほしい」と強調した。
これに対して独立局側からは、「系列局を持っていないので、困った時に相談する相手がいない。日々いろいろ悩みながら判断しているのが現状だ」という切実な意見や、「独立局は購入番組が多いので、購入元との情報共有が重要だと改めて感じた」などの意見が出された。
最後にBPOの三好晴海専務理事が「BPOは放送後に問題があったかどうかを判断するところで、事前の相談は受けづらい。しかし、講師派遣やこうした意見交換会の場で、事例を共有することはできる。今後もこうした機会を設けたいし、また放送局側も活用してほしい」と述べて、独立局との初めての意見交換会を締めくくった。

終了後、参加者からは、「選挙前と言うこともあり、特に選挙にまつわる事例は今後の放送に参考になった。直接様々な意見を伺いながら事例を知ると、理解の深まりが違うと改めて感じた」「初めての意見交換会ということもあってか、お互いが接点を探り合うような印象を受けた。これをきっかけに、更にBPOとの良い接点が深まればと思う」という感想が寄せられた。

以上