放送人権委員会

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2014年11月18日

「大阪府議からの申立て」(TBSラジオ)審理入り決定

放送人権委員会は11月18日の第214回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、TBSラジオ&コミュニケーションズが2014年8月22日に放送した深夜トーク・バラエティー番組『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。番組では、お笑いタレント「おぎやはぎ」の矢作兼氏と小木博明氏がオープニングトークで、大阪維新の会(当時)の山本景・大阪府議会議員が無料アプリ「LINE(ライン)」で地元中学生らとトラブルになり、その経緯が多くのメディアにより伝えられる中で、テリー伊藤氏が日本テレビの情報番組『スッキリ!!』で「こいつキモイもん」と発言、それに対し山本府議が放送人権委員会に人権侵害を申立てた一連の事態について、矢作氏が小木氏に説明するという形でトークが展開された。
この放送について山本府議は9月8日、TBSラジオに対し「キモイという発言に侮辱されたと感じた」として番組内での謝罪を求めたが、同社は「社会事象についてのコメント」として、拒否した。
このため山本府議は同日、申立書を委員会に提出、その中で「思いついたことはキモイだね。完全に」、「キモイと思ったもんはキモイでいいんでしょ」等の発言は、「全人格を否定し、侮辱罪にあたる可能性が高く、精神的な苦痛を味わった」と訴えている。また、「インターネット上に『キモイ』という中傷の文言が溢れ、信用やイメージを著しく損なった」と主張している。
これに対しTBSラジオ&コミュ二ケーションズは11月10日、「経緯と見解」書面を委員会に提出、この中で「今回の放送は、大阪府議という公人である山本議員の行為及び、それに付随した一連の社会事象へのコメントが主眼であり、小木氏の『キモイ』という発言は、あくまで山本議員の不適切な行為に向けられている。同議員の人格に向けられたものではないし、ましてや全人格を否定する個人攻撃ではまったくありえない」として、侮辱罪にはあたらないと主張している。
同社はさらに、「公人の名誉権が過度に強調されることは、民主主義の基盤を揺るがすことにもつながりかねないという視点からも、今回の放送について謝罪放送やその他の方法による謝罪を行うことはできない」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。