第80回–2014年3月>
対決内容が編集で偽造されたフジテレビの『ほこ×たて2時間スペシャル』について審議、4月1日に委員会決定の通知・公表へ
「全聾で被爆2世の作曲家」とされている佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題ついて討議。放送実績のある在京局5局に、新たな映像提供を求め、次回も討議を継続
第80回放送倫理検証委員会は3月14日に開催された。
3月5日に通知・公表を行った日本テレビの『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
「対決内容が編集で偽造された」と出演者が告発し、番組が打ち切られた、フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて』(2013年10月20日放送ほか2本)について、前回委員会での議論を反映させた意見書修正案が担当委員から提出された。意見交換の結果、委員会としての意見の集約がほぼ図られたとして、4月1日の通知と公表を目指すことになった。
"全聾で被爆2世の作曲家"とされている佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚した問題について、NHKおよび在京民放キー局から提出された佐村河内氏を扱った番組のデータと、2013年3月に放送されたNHKスペシャルを視聴した意見をもとに討議を継続した。その結果、さらに6本の番組について当該局に映像の提供を求め、それを視聴したうえで次回に討議することになった。
議事の詳細
- 日時
- 2014年3月14日(金)午後5時~7時30分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1.日本テレビの『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見の通知・公表
2.対決内容が編集で偽造されたフジテレビの『ほこ×たて 2時間スペシャル』についての審議
3.「全聾で被爆2世の作曲家」とされている佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題についての討議 - 出席者
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川端委員長、小町谷委員長代行、水島委員長代行、香山委員、是枝委員、斎藤委員、渋谷委員、升味委員
1.日本テレビの『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見を通知・公表
日本テレビの朝の情報番組『スッキリ!!』で、インターネット詐欺の被害者として出演した男女2人が実は被害者ではなく、同じ番組に出演したネット詐欺専門の弁護士から紹介された当時の所属法律事務所の職員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったのではないかと審議した事案(2012年の2月29日と6月1日放送)。
3月5日、当該局に対して、委員会決定第19号の意見を通知し、続いて公表の記者会見を行った。当日夜のテレビニュースや翌日の当該番組の報道などを視聴したあと、委員長や担当委員から記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。
2.対決内容が編集で偽造されたフジテレビの『ほこ×たて 2時間スペシャル』についての審議
フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(10月20日放送)に出演していたラジコンカーの操作者が、「対決内容を偽造して編集したものが放送された」と告発したことから問題が発覚し、当該局はその事実を認めて、番組を打ち切った事案。
同じように不適切な演出問題があったと当該局が認めた2011年10月16日と2012年10月21日放送の『ほこ×たて スペシャル』についても審議の対象とすることになり、前回の委員会では、関係者に対するヒアリングなどをもとにした意見書の原案が議論された。
今回の審議では、前回の議論を踏まえた意見書の修正案が担当委員から示され、委員会の判断として、何をどのように指摘するのかなどをめぐって踏み込んだ議論が交わされた。その結果、意見の集約がほぼ図られたとして、4月1日に当該局への通知と公表の記者会見を行うことになった。
3.「全聾で被爆2世の作曲家」とされている佐村河内守氏の作品が別人のものと発覚した問題の放送責任などについて討議
全聾で被爆2世の作曲家とされている佐村河内守氏の作品が、別人のものだったことが発覚したことから、同氏をドキュメンタリーなどで紹介した番組の放送責任などについて、討議を継続した。
NHKおよび在京民放キー局からは、佐村河内氏を扱った23本の番組のデータが提出され、NHKからは、NHKスペシャル『魂の旋律~音を失った作曲家』(2013年3月31日放送)の映像と、放送に至る経緯をまとめた報告書が、あわせて提出された。
NHKスペシャルについての議論の過程で、さらにいくつかの番組についても内容を見たうえで議論を進めるべきだということで意見が一致したので、放送実績のないテレビ東京を除く在京各局に対して、佐村河内氏を扱った6本の番組の映像提供を新たに求めることになった。
その内訳は、TBSテレビが2本、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビが1本ずつで、委員会は次回も討議を続ける。
以上