第184回 – 2012年6月
「ストローアート作家からの申立て」事案の審理
審理要請案件~審理入り決定 ……など
「ストローアート作家からの申立て」事案の実質審理が始まった。宮城県南三陸町の津波被災遺族から申立てがあった審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。来月から実質審理に入る。
議事の詳細
- 日時
- 2012年6月19日(火) 午後4時~6時30分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- ストローアート事案の審理
審理要請案件~審理入り決定
5月の苦情概要
その他 - 出席者
- 三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員
「ストローアート作家からの申立て」事案の審理
審理しているのは、フジテレビが本年1月9日(祝)の『情報プレゼンター とくダネ!』で放送した企画『ブーム発掘!エピソード・ゼロ(2) 身近なモノが…知られざる街の芸術家編』。番組に登場したストローアートの作家が「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」として謝罪などを求めているもの。フジテレビは「申立人に不快な思いをさせたことは真摯に反省し申し訳ないと考えている」として、放送でのお詫び案を示しメールで交渉を重ねてきたが、決着しなかった。
前回委員会での審理入り決定後に双方から書面や参考資料の提出を受け、それらをもとに実質的な審理に入った。局側には番組の編集権があるが、演出や構成を事前に出演者にどこまで説明すべきか、ストローアートの組作品をばらし飲み物に挿して客の反応を撮影した演出や「趣味の域」というキャスター発言を人権や放送倫理との関係においてどのように評価するか、などをめぐって意見を交わした。
次回、7月の委員会では、申立人とフジテレビの双方にヒアリングを行い、さらに審理を進めることになった。
審理要請案件~審理入り決定
宮城県南三陸町の津波被災遺族から申し立てられた審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。
対象となった番組は、NHKが本年3月10日に放送した『NHKスペシャル「もっと高いところへ~高台移転 南三陸町の苦闘~」』。昨年3月11日の東日本大震災の際、町の防災対策庁舎屋上に避難した人たちのうち42人が津波の犠牲となった宮城県南三陸町の事例を取り上げ、屋上での様子を撮った写真、町長や住民へのインタビュー取材等を交え、当時を振り返るとともに、町の高台移転の現状と難しさ、今後の課題について伝えた。
この放送に対し、番組で使われた屋上での写真に顔と姿が写っていた職員の遺族から「肉親の最期の姿を見て大きな衝撃と苦痛を受けた、亡くなる直前の写真であれば全遺族の了解を得るか、得られなければモザイクをかける等の配慮が当然ではないか」として、NHKに謝罪等を求め申立てがあったもの。
申立てに対しNHKは、「遺族に対しては、事前の説明も含め可能なかぎり配慮したうえで放送した。映像を加工することは、なぜ数人だけ隠すのかと視聴者の疑念を招く。また少なからぬ遺族が肉親の最期の姿に誇りを持っており、特段の事情のない限り最期の姿を加工することは失礼にあたると考えた」等と局側の見解で述べている。
委員会は、双方から提出された書面、番組同録DVD、及び関連資料をもとに審議した結果、委員会運営規則第5条の規定に照らし本件申立ては審理の要件を充たしているとして審理入りが決まった。しかし、申立人2人のうち1人については、番組で使われた写真に肉親の姿と顔は写っていないことから直接、申立人としての適格性があるとはいえないとして審理の対象外とした。
委員会は、双方からさらに書面・資料等の提出を求め、来月から実質審理に入る。
5月の苦情概要
5月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。
- 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・4件
(個人又は直接の関係人からの要請) - 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・18件
(人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)
その他
- 9月14日に広島市で、広島地区のBPO加盟放送事業者を対象に、放送人権委員と放送局現場スタッフとの意見交換会を行うことになった。事務局より報告し了承された。
- 次回委員会は7月17日(火)に開かれることになった。
以上