放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会  決定の通知と公表の記者会見

2014年1月8日

2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見の通知・公表
(関西テレビ『スーパーニュースアンカー』およびテレビ熊本『百識王』)

上記委員会決定の通知は、1月8日午後1時から千代田放送会館7階BPO第一会議室で行われた。委員会から川端和冶委員長、水島久光委員長代行、渋谷秀樹委員の3人が出席し、関西テレビからは常務取締役ら3人、テレビ熊本からは報道編成制作局長ら2人が出席した。
まず川端委員長が「委員会として非常に残念だったのは、3年前の決定第9号の事案とほとんど同じ問題点についての事案であったことだ」と述べたうえで、選挙の公平・公正性をゆがめたと認められることから、委員会は2つの番組にそれぞれ放送倫理違反があったと判断したことを通知した。そのうえで「なぜ同じような問題が起こってしまったのかを、皆さんによく考えてもらわないと、選挙のたびにまた繰り返されるのではないかという危機感を委員会はもっている」と指摘し、「選挙の重要性から考えて、テレビ放送がこれをゆがめてはならないという原点を、皆さんにしっかり意識していただいて、今後の制作を進めてほしい」と要望した。
これに対して関西テレビは「今回の事案を深く反省して、意見書も参考にしながら今後の体制を構築していきたい。考え続けることがもっとも重要だという指摘もあるので、委員会の眼差しに応えられるように頑張っていきたい」と述べた。またテレビ熊本は「今回の事案を大変重く受け止めており、この決定を今後の報道・制作に活かしていきたい。この大失態を次に活かすべく全社的に取り組んでいく」と述べた。

この後、午後1時45分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には27社49人が出席し、テレビカメラ6台が入った。
初めに川端委員長が意見書の概要を紹介した。そのなかで川端委員長は2つの番組をともに放送倫理違反とした委員会の判断について説明したうえで「3年前の委員会決定第9号や昨年4月の委員長コメントを公表しているにもかかわらず、またこのような問題が起きたことがもっとも重要だと委員会は考えた。そこで、今回の意見書では、どうすればいいかという点を2つの提言で示すことにした。他の放送局もこの意見書をよく読んで、参考にしてほしい」と述べた。
続いて渋谷委員が「放送における選挙の公平・公正性は抽象的でわかりにくいので、『こころの秤』という提言を書いた。仮に特定の候補者だけを放送したら、有権者である視聴者の心の中にどのようにゆがみを起こすかを、具体的に想定して考えたらどうだろうかという趣旨だ」と述べた。
また水島委員長代行は「報道局だけでなく、全ての放送にかかわる人たちに、これを機会にもう一度、選挙と放送の関係をしっかり考えてほしいと願って、秤やサッカーの比喩も取り入れて意見書を書いた」と述べ、今回のことがあったからといって、選挙に関する番組制作を避けようとするのではなく、むしろ視聴者に選挙に関する多様で豊富な情報を、いかに提供できるかを考えていってほしいとコメントした。
記者との質疑応答では「BPOとして、再発防止のために、次の国政選挙の前にあらためて注意喚起するような考えはあるか」との質問に対して、川端委員長は「放送倫理検証委員会は、放送された番組のなかの具体的な問題に対して、意見を申し上げるところであり、次回の選挙の前に注意を促す通知を出すような立場にはない。ただ、具体的な事例があればそれを契機に、談話やコメントを出すことはありうるだろう」と答えた。さらに、選挙に関する番組を制作する際には、選挙の公平・公正性を害しないかどうかをよく議論してほしいし、その材料として意見書を是非活用してほしいと述べた。また、関西テレビの同じ番組が、連続して審議の対象になったことについても質問があり、水島委員長代行は「たしかに同じ番組ではあるが、問題の原因は全く別のところにあった。関西テレビに構造的な問題があるとは感じていない」と答えた。