放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第182回

第182回 – 2012年4月

委員長代行の指名
放送倫理上の判断…など

三宅委員長の下で初の委員会となり、奥委員と坂井委員の2人が委員長代行に指名された。引き続き報道機関による資料用撮影が行われ、撮影終了後、放送倫理上の判断について議論した。

議事の詳細

日時
2012年4月17日(火) 午後3時40分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員

委員長代行の指名

4月1日に就任した三宅委員長の下での初の委員会では、冒頭、新委員長による委員長代行の指名が行われた。委員長代行は、「委員長を補佐し、委員長を欠くときまたは委員長に事故あるときは、その職務を代行する」存在で、「委員長により2人が指名」されることになっている。(BPO規約第30条)
三宅委員長は奥武則委員と坂井眞委員を指名し、2人もこれを受諾した。奥委員は毎日新聞論説副委員長を経て、現在、法政大学社会学部教授。坂井委員は弁護士で、日弁連人権と報道に関する特別部会部会長を務めている。
三宅委員長は「法律家の観点から坂井委員を、またジャーナリズム論の観点から奥委員を指名した」と述べた。
引き続き報道機関による資料用撮影が行われ、テレビ・新聞各社から9社が取材に訪れ、テレビカメラ6台が入った。

放送倫理上の判断

今月の委員会では、まず事務局から、放送局への聞き取り調査を受けて2月と3月の委員会で行われた放送倫理をめぐる議論の了解事項について報告した。即ち、放送人権委員会が人権に関係する放送倫理上の問題を扱うことは、放送によって人権を侵害された人の救済を目的とする第三者委員会の務めであり、BPO規約等で定められた当然の使命であること、放送倫理上の問題を判断する基準としては、民放連とNHKで作った「放送倫理基本綱領」や民放連の「放送基準」、NHKの「国内番組基準」、さらには各放送局が独自に作成した番組基準等のガイドラインがあり、できるだけこれらを引用しながら問題の所在を明確に伝えるよう努力すること、ただし、必ずしもすべてのケースで既存のガイドラインを引用して判断するとは限らないこと等が確認された。
またこれまでの決定では「人権侵害を来たしかねない重大な放送倫理違反」等の表現がしばしば使われてきたが、「人権侵害」がより深刻であるとは限らず、「放送倫理違反」が重い場合もあり得るので、決定文の中できちんと表現すること、さらに判断のグラデーションについてはなるべくシンプルにしていくことも確認された。
関連してこの日の委員会では、「放送倫理違反」や「放送倫理上問題あり」、また「勧告」や「見解」等、判断のグラデーションやカテゴリーをどう整理していくのかについて、事務局から問題点等が説明された。
さらに、放送倫理検証委員会が公表している14件の決定の中で、「放送倫理」が具体的にどのように言及されてきたかについても事務局から報告した。
この後、議論に移り、委員会の決定文は申立人や放送局に理解してもらうため、できるだけシンプルにし噛み砕いて伝えるべきだとする意見や、放送倫理基本綱領等の条文だけを示しても余り意味はなく、委員会判断の実質的な理由づけをこれまで以上に具体的に示していく必要があるといった意見が出された。
また「放送倫理」という言葉の使い方や判断のグラデーションが、放送倫理検証委員会とは必ずしも一致しない点については、両委員会の目的や性格の違いから、その整合性に腐心するよりもむしろ、広報活動等を通じて理解を促進するよう努めるべきだという意見が出された。
こうした点を踏まえ、次回委員会では、判断のグラデーションのシンプル化に向けさらに議論を深めることになった。

3月の苦情概要

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・2件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・20件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 委員会は7月にフジテレビを訪問し、番組作りの現場を視察・見学するとともにスタッフと意見交換することになった。2月のNHK訪問に続くもの。事務局より報告し了承された。
  • 次回委員会は5月15日(火)に開かれることになった。

以上