放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第181回

第181回 – 2012年3月

委員会に対する放送局からの要望~放送倫理上の判断について

2月の苦情概要 ……など

在京・在阪放送局への聞き取り調査を受け、「放送倫理上の問題に関する判断」について議論を続行した。

議事の詳細

日時
2012年3月13日(火) 午後4時~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

委員会に対する放送局からの要望~放送倫理上の判断について

在京・在阪放送局への聞き取り調査を受け、「放送倫理上の問題に関する判断」について議論を続行した。
今月の委員会では、放送倫理上の問題について、放送倫理基本綱領等の自主的規範を事実認定や判断の拠り所とすることについて改めて意見を交わした。
委員からは「基本綱領や民放連の放送基準、NHKの国内番組基準等、放送局が自らの手で定めた自主規範に拠ることで作り手にも理解を得られやすいのではないか」とする一方、「基本綱領や番組基準等が放送倫理のすべてではない。広く社会通念に照らしての判断もあり得るので、委員会として、判断の枠組みについてはフリーハンドで広くしておくべきだ」という意見も出された。
また、人権侵害と放送倫理違反の関係、両者の軽重については「一般的には人権侵害は違法だから重く感じられるだろう。しかし名誉毀損としては大した嘘はついていないが事実を捏造して報道した場合、申立人からすればあってはならないことだ。どちらが1番、2番と順位付けすることはむずかしく、そう簡単ではない」「名誉毀損の成否では公共性、公益性の観点から番組の意義や目的等も勘案されるが、放送倫理についてはどうか。例え社会的に意義のある番組であっても間違ったことで心を痛める人が生じたなら、やはりその間違いは許されない。いい番組だからということにはならない」等の意見が出た。
これらの意見を踏まえ堀野委員長は、「倫理の海があるとすれば人権侵害はその中を倫理と重なり合って動いている。だから、まず放送倫理上の問題から取り上げ最高度に重いものは一番上に置く。判断のグラデーションをどう表現するかという問題はあるが、重さの軽重はやはりある。その上で人権侵害とは放送倫理と別次元の法規範に照らした判断であり、両者が重なり合う場合は、放送倫理上問題があると言いつつ、その問題は名誉毀損にも該当しかねないという判断を示し、そのことを決定の中できちんと表現すれば整理できるのではないか」と述べた。
この日の議論を通じ、放送倫理上の判断のグラデーションについては、事案ごとに性質が異なるところから、今後、よりシンプルにする方向で大筋の合意を見た。放送局から問題提起のある「放送倫理違反」と「放送倫理上問題あり」という判断を具体的にどう見直すか等、詳しくは新年度の委員会の課題として持ち越されることになった。

2月の苦情概要

2月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・1件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・14件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 堀野紀委員長、樺山委員長代行、武田委員の3委員は今月をもって任期満了となり、退任することになった。堀野委員長は委員長代行時代を含め3期9年、樺山代行は1期3年、武田委員は2期6年をそれぞれ務めた。
  • 次回委員会は4月17日(火)に開かれることになった。

以上