第58回 – 2012年3月
NHK松山放送局『おはようえひめ』不適切テロップの送出
第58回放送倫理検証委員会は3月9日に開催された。
NHK松山放送局の県域番組「おはようえひめ」で2月16日、ニュースと関係のない不適切な架空字幕が放送された件について討議を行った。字幕作成の練習で使ったものが削除されずに電子台本に残っていたための事故であったが、NHKの経緯報告では、技術的仕組みや担当者の業務範囲などについて分からない点があるため継続討議となった。
議事の詳細
- 日時
- 2012年 3月9日(金) 午後5時~7時
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- NHK松山放送局『おはようえひめ』不適切テロップについて
- 出席者
NHK松山放送局『おはようえひめ』不適切テロップの送出
2月16日、NHK松山放送局の朝のニュース番組「おはようえひめ」で、「窃盗の疑い 愛媛大学教授逮捕」という架空の字幕が2秒間放送され、その訂正とお詫びが翌日朝までに3度放送された事案。
NHKから提出された経緯報告によれば、深夜に放送用の装置を使って新人訓練を行った際に作成した字幕が、消去されずに送出されたもの。
訓練は、タイトルのほか、漢字を誤記しやすい容疑者の氏名など架空の字幕を5枚作成、送出用の電子台本に登録したのち消去をかけたが、そのうちの1枚が消去されずに残ったことが原因という。この字幕は放送直前のチェックでは発見できず、また放送中にも緊急に外す措置をとったがうまくいかなかったという。
不適切な架空字幕については、東海テレビ『ぴーかんテレビ』問題をうけて昨年9月に検証委員会から「提言」を全加盟社に発信し再発防止を呼びかけていた。それにもかかわらず発生した事故であることから、字幕の作成理由や、事故に至った原因等について、経緯報告書に基づいて議論した。その結果、原因や事後対応になお分かりにくい点があるのでNHKに再度説明を求めて、次回の委員会で判断することになった。
【委員の主な意見】
- 最初の訂正では「ニュースと全く関係がない字幕が表示されました」 としか言わなかった。これでは名前を出された大学は事実かどうか不安になる。
- 字幕習熟訓練のルール、デスクとスタッフの業務範囲が分からない
- あれだけピーカンテレビで問題になったのに、もう少し事実関係を明らかにしてほしい。 提言が活かされていない。
- この人たちは真面目に取り組み、ふざけていたわけではないようだが、消去を忘れたのは問題だ。
- やはり研修に不備がある。どのように再発防止につなげるか。
- 番組前にチェックした際に発見できなかった字幕が、なぜ本番で表示されたのか。
- 人は必ず過ちを犯すから、システムはそれを前提に組み立てて運用する必要がある。誰かが間違ったときにも実害が生じない仕組みを考え、また誤りを迅速に回復する訓練をしておかなければいけない。
以上