第129回 – 2012年1月
視聴者意見について
中高生モニターについて …など
第129回青少年委員会は1月24日に開催され、12月13日から1月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティ1番組について視聴し審議したほか、1月に寄せられた中高生モニター報告及び2月のテーマ等について審議した。
議事の詳細
- 日時
- 2012年1月24日(火) 午後4時30分~7時00分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
-
視聴者意見について
中高生モニターについて
2012年度中高生モニター募集について - 出席者
- 汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
1. フジテレビ『ザ・ベストハウス123』(1月11日放送)について
「浮気現場に突撃!男と女の修羅場最凶衝撃映像20連発」という企画について、視聴者から「20時台に卑猥な映像が放送され、子どもに不適切」等の意見が寄せられ、番組を視聴の上審議した。
【委員の主な意見】
- アメリカでは、14才以下は見ないようにと指定されている番組であるはず。そのことを認識した上で制作に当たったのか。
- 他の企画は興味深く見たが、この企画は映像や言葉の性的な表現が見られ、この時間には不適切。
- 短時間の放送なら視聴者の嫌悪感も違ったかもしれないが、長時間にわたって20本ものストーリーを見せられるとうんざりする。
- 興味深い企画を分断する形で、この企画が挿入されている。その企画を見たいと思ってみている視聴者は、間に性的な映像を見せられ不快に思うはず。
以上の審議の結果、委員会としては番組の制作プロセスや企画意図等について、次回委員会で制作担当者など当該局からの説明を受け、引き続き審議を行うこととした。
2. 津波や大震災映像の取り扱いについて
3月11日の東日本大震災から1年を迎え、各局で特別番組等が編成されることに関して、委員より委員会として「地震や津波の画像をむやみに流すことは、PTSDを引き出して子どもらに負の影響を与えるので、そのことに配慮した映像使用や注意喚起を呼びかけるべき」との提起があり討議した。そのことの重要性は認識するものの、震災の大きさを忘れないよう国民に伝えていくということはマスコミの責務であり、委員会として事前に規制ととられかねない意見を出すことには慎重であるべきとの判断から、各放送局の自主性にゆだねることとした。
中高生モニターについて
12月~2月まで「ドラマ・アニメ番組」のジャンルを取り上げている。1月のテーマは、最近面白そうと思って見たドラマ・アニメ番組の中から、期待はずれだった番組、面白くなかった番組について率直な感想や意見を求め、27人からリポートが寄せられた。
ドラマについては21人が17番組(重複あり)について報告が寄せられた。そのなかで4人から意見が寄せられた番組は『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系列)で、「ストーリー展開が分かりづらくつまらなかった」「1回見て面白くなかったので2回目は見ないことにした」などが主な意見だった。また、『花ざかりの君たちへ~イケメンパラダイス~2011』(フジテレビ系列)には3人から「2番煎じでつまらなかった」などの意見が届いた。そのほか、韓流ドラマの日本版『美男ですね』(TBS系列)、韓国の人気女優を起用した『僕とスターの99日』(フジテレビ系列)も「盛り上がりに欠けた」「『冬のソナタ』に似ている」といった意見が寄せられ、そのほか、『大河ドラマ 江~戦国の姫たち~』(NHK)、『南極大陸』(TBS系列)、『DOCTORS~最強の名医』(テレビ朝日系列)などに、批判的な意見が寄せられた。
- 「最近見ていたドラマで嫌いになったものは、ほとんどすべてです。なぜこんな回答かというと、ほとんどが原作のあるものになっているからです。原作ものならプロデューサーの苦労も努力もないだろうと思います。『家政婦のミタ』にはいい脚本家がいて評判になりました。そこで、です。僕は、ドラマは予定調和によって構成されたタダの劇ではなく、展開が波乱に満ち、ときに笑いもあり、次回が気になるような作品であってほしいと思っています」。 (愛知・中学3年男子)
- 「私は日本テレビの『理想の息子』にジャニーズが3人も出ていることが気になります。歌手を主にしているアイドルの演技は正直うまいとは思いません。ドラマの視聴率狙いで、有名な俳優さんや女優さんを起用しているのでしょうが、無名の人でも与えられた役にどれだけなりきれるか、それがドラマの良さではないでしょうか」。(東京・高校1年女子)
- 「『花ざかりの君たちへ~2011』は、前作を見ていた人間としては登場人物たちに対する思い入れがあって、新しい俳優陣たちがそのイメージを壊す、また”完コピ”でまったくオリジナリティーが無い、見るにたえないもので終わってしまいました」。(東京・中学2年女子)
- 「『花ざかりの君たちへ』のリメイク版を作るなら、前作のイメージを吹き飛ばすくらい、ぶっとんだものを作ってほしかったです」。(東京・中学1年女子)
アニメには5人から4番組についての報告が寄せられ、なかでも『ドラえもん』(テレビ朝日系列)には、「昔は面白かったのにマンネリ化している。ストーリー展開がつまらなくなった」という意見が2人から寄せられた。
- 「『ドラえもん』といえば四次元ポケットから出てくる”道具”だと思うのですが、原作や過去の放送を見ている限りは、ドラえもん自身が場と状況をわきまえて道具を出すべきか判断していたように思います。しかし、昨今の放送では”本当にこれでいいのか”と思えるほど、道具を出す頻度が増えており、それがのび太の成長を妨げているのではないかと思うと、子どもたちの目にはどう映っているのだろうと考えてしまいます。やはり、原作者がどんな意図で描いたかを考えながら、制作する必要があると思います」。 (東京・中学1年男子)
そのほか、ドラマでは地方局4局が共同制作している『歌セラ』(東北放送で視聴)というシリーズや、チバテレビなどで放送されたアニメ『神様のメモ帳』についての意見が寄せられ、「意欲的ではあるが何を描きたいのか分からない」、「スタートは面白かったが終わりに近づいて雑になった」という意見も寄せられた。
【委員の主な所感】
- 最近のドラマ・アニメは原作のマンガを映像化したものが多く、原作を読んでいたモニターたちは期待して番組や映画を見るが、原作のイメージに合わない絵柄や、オリジナリティーが失われた番組が多いことに批判的な意見を寄せていることが印象に残りました。
- モニターの皆さんが、期待はずれだった番組、嫌いな番組をリポートにまとめるのは難しいことだということを再確認しました。そんな中で、アイドルや旬の役者・タレントたちが出演していても、必ずしも中高生の皆さんたちが見たい番組ではないという意見に注目しました。オリジナル作品の少ないことと合わせて、今のテレビ界の抱えている課題でもあると思います。
- 最近のドラマ・アニメ番組は、原作のアニメ化や実写化など数多く、原作のイメージを壊してほしくないという思いから、もっとオリジナル作品を作ってほしいというモニターの意見には、放送局も耳を傾ける余地があるのではないだろうか。
- 原作をアニメ化することによって本来の作品の良さが失われている場合が多いと感じている人がかなりいると感じた。また、ドラマについては、有名なタレントを使って視聴率を上げるのではなく、無名でも本当に役をこなせる役者を起用すべきだという鋭い意見があったが全く同感である。
- 原作のマンガが好きで、アニメやドラマを見た場合イメージが違うとがっかりするという意見が多くありました。また、マンガとアニメは違うのだから二つを比較するのは気が引けるとの感想もありました。しかし見方を変えて、この違いが実は面白いということに気がついてもらいたいのです。つまり、原作は一つなのに、紙に描かれた文字と絵からなるマンガは、映像や文字や音楽を含んだテレビとどう違うのだろう、そう考えるとそれぞれのメディアがどのような特性をもっているかが分かってきます。例えば、同じ原作で、小説、ラジオ、アニメ、ドラマなど表現の形が違う作品を分析すると、テレビというメディアについてより深く理解することができて、メディアリテラシーの学びにつながるのではないでしょうか。
「今月のキラ★報告」(神奈川・高校1年女子)
私が見て期待外れだったと思ったアニメは、『ゆるゆり』(テレビ東京で視聴)です。このアニメの原作は漫画です。私は以前から漫画の方を読んでおり、アニメ化するということで楽しみにしていました。しかしアニメは期待外れでした。
まず、キャラクターの絵が全く可愛くなかったです。漫画はキャラクターのゆるゆりの絵がとても可愛く、その点が一番の魅力です。しかしアニメを一目見て、絵が可愛くなかったのでとても残念に思いました。また、声優さんの声も声質はキャラクターに合っていたので良かったのですが、声優さんが皆台詞を棒読みしているような感じで、私はあまり感情移入することができませんでした。もとから漫画にもそれほど白熱したシーンがなく、ただキャラクターが日常を楽しく過ごしているさまが描かれているだけなので、声優さんもあまり感情を込めて読むことができないのかもしれません。しかし、本当にとってつけたような声を聞いて、唖然としました。
アニメ化されると聞いたとき、可愛いキャラクターが可愛く動いて、可愛い声で喋るのだと期待していたので、とても期待外れでした。ストーリーも漫画のものをところどころいじってアニメにしただけで、アニメを見ての”お得感”はあまりなく、また漫画のストーリー自体があまり面白い訳ではないので、見ていてとても退屈に感じました。30分がとても長く感じられました。
最近の深夜アニメはライトノベルや漫画をそのままアニメにしただけ、というものが多いと思います。それが成功している場合もありますが、多くの場合は原作と比べると、期待外れとなってしまう場合が多いと思います。アニメを放送するとよい宣伝になり、お金が儲かるということもあると思いますが、もう少しアニメの質・見応え感を考えて制作してほしいなと思います。
また、深夜だということもありますが、下品なアニメが多いと思います。そのようなシーンがないアニメの方が少ないのではと思います。別にそのようなものをアニメに求めていない人にとっては、そのようなシーンがあるととても不快な気持ちになります。また、そうだからこそ多くの人は深夜アニメに対し反感を抱いているのだと思います。深夜アニメの中には、見ていて感動するような作品も沢山あります。もう少し全体的に深夜アニメの質を上げて、今反感を抱いている人にもアニメを楽しんでもらえるようになればいいのにと思います。
【委員会の推薦理由】
原作の漫画がアニメ化された時に感じる違和感について言及し、安直な作りのアニメでは視聴者の心をとらえることができないことに言及していることは、最近のアニメへの警鐘として評価できる内容でした。また、深夜アニメの質についての言及も、青少年が深夜アニメをどのように見ているのか、ということをうかがわせていることも、興味深く読むことができました。
◆ 「中高生モニター会議」の開催について
3月18日(日)正午から、BPOのある千代田放送会館で2011年度「中高生モニター会議」を開催する。テーマは、「私の見たいテレビ、作りたいテレビ」で、グループに分かれて番組企画を作成する。
2012年度中高生モニター募集について
2012年度の中高生モニターの募集を1月23日(月)から開始した。募集人数は30人を予定。締め切りは2月24日(金)、当日消印有効。