放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第56回

第56回 – 2012年1月

原発事故による放射能が日本各地の食事に与える影響を検証したデータに誤りがあり、謝罪と訂正を行ったNHK『あさイチ』

テレビ東京『ありえへん∞世界』の対応報告書について ……など

第56回放送倫理検証委員会は1月13日に開催された。
まず、前回の委員会で継続討議となった、原発事故による放射能の食事に与える影響を検証したNHKの情報番組『あさイチ』については、主に12月15日の放送の内容を元に検討したが、放送倫理上の問題はなかったとの結論に達した。
委員会が昨年9月末に出したテレビ東京『ありえへん∞世界』に関する「意見」について、当該局から提出された対応報告書を検討、委員会はこれを了承し、公表することにした。
放送局がBPOの活動についてどのように受け止めているかなどについて、在京、在阪の民放テレビ局およびNHK併せて12局とAM民放ラジオ3局を対象に聞き取り調査を行った結果を、事務局から報告した。
また、「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」については、新たに5局から報告があった旨、対応報告書を元に事務局から説明を行った。
なお、あと数局から提出の意思表示があることから、1月末に対応報告書の取り纏めをすることになった。

議事の詳細

日時
2012年 1月13日(金) 午後5時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、立花委員、水島委員

原発事故による放射能が日本各地の食事に与える影響を検証したデータに誤りがあり、謝罪と訂正を行ったNHK『あさイチ』

10月17日にNHKの情報番組『あさイチ』で「放射能大丈夫?日本列島・食卓まるごと調査」と題して、全国7家族を対象に、一週間の食事に含まれる放射性物質の量を調査、分析した結果を放送した。
放送後、視聴者から放送されたデータについて誤りを指摘され、当該局は、11月24日の同番組の中でその時点までに判明した間違いについて謝罪、訂正した。更に12月15日には同番組でほぼ同量の時間を割いて、間違いの原因、わかりにくかった部分の説明、更に新たな情報の放送を行った。
今回、委員会は3回の放送の視聴と当該局から提出された複数の報告をもとにし、特に12月15日の放送を中心にして討議を行い、説明が足りないところはあったとしても、放送倫理の問題ではないとの結論に達し、審議として取り上げないことになった。

【委員の主な意見】

  • ずっとさかのぼっていけば、測定器の調整不足でグラフが ずれているのにその実験をやったことそのものが問われるかもしれないが、少なくとも12月の放送では11月の反省を踏まえて、11月に感じた疑問は解消されているので、これで良かったのではないかと思う。
  • スペクトルのずれという間違いがあったことは事実 であり、そ れが分からなかった ことが正当化されてよいのかどうかが問題。
  • 当該局に責任を問えるかという問題だが、それは無いだろう。
  • 科学番組をたくさん作ってきた人間として、科学的に厳密な番組というのはものすごく難しい。受け手の許容量を遥かに超える 水準で説明しないと厳密な 説明はできない。科学番組は、少なくとも放送にのせうる水準 にするためには、誰かがどこかで丸めなければ出来ない。この番組は問題ないと思う。
  • 説明が足りないところがあったとしても、これは放送倫理の問題ではないように思う。

テレビ東京『ありえへん∞世界』の対応報告書について

テレビ東京は、『ありえへん∞世界』に関する意見書に対して、社内における再発防止策を報告書にまとめ、12月22日に委員会に提出した。委員会はテレビ東京が経営面での制作体制の点検を含む様々な角度からの見直しが必要としたこと、さらに、本事案の演出が過失でなく故意であると意見書で指摘されたことを重く受け止めている点を評価して、この報告書を了承することにした。(対応報告はこちらに掲載)

その他

■ 在京・在阪局への聞き取り調査

BPOでは、昨年9月から10月にかけて、放送局がBPOの活動についてどのように受け止めているかなどについて、在京、在阪の民放テレビ局およびNHK併せて12局とAM民放ラジオ3局を対象に聞き取り調査を行った。
この調査は、各委員会運営の参考に資することを目的としたもので、各委員会の調査役らによるプロジェクトチームが、各局のBPO連絡責任者や放送現場の責任者に直接面談する形がとられた。その結果がまとまり、この日の委員会に報告された。

調査結果は、

  • BPOに対して持つイメージや各委員会の意見書の周知方法など、BPOの活動全般に対する受け止めや対応
  • 公表する意見書をはじめとして各委員会への放送局からの意見、要望の2つに大別して、調査役からそれぞれ具体的に説明が行われた。
    これを受けて委員からは、さまざまな意見が出されたが、放送局側から出された要望に対しては、各委員会でそれぞれ対応できるものと、他委員会を含めてBPO全体として考えるものとがあり、今後も引き続いて議論を重ねることにした。

以上