第128回 – 2011年12月
視聴者意見について
中高生モニターについて …など
第128回青少年委員会は12月20日に開催され、11月15日から12月12日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、12月度の中高生モニター報告及び来年度の活動予定等について審議した。
議事の詳細
- 日時
- 2011年12月20日(火) 午後4時30分~7時00分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
-
視聴者意見について
中高生モニターについて
調査・研究について
その他 - 出席者
- 汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
担当委員及び事務局より、今月の視聴者意見の概要等について報告を受けた上で、各委員からの意見が述べられた結果、審議対象とするべき番組はなかった。
中高生モニターについて
12月~来年2月まで「ドラマ・アニメ番組」のジャンルを取り上げる。12月のテーマは、最近見たドラマ・アニメの中から「好きな番組、面白い番組」を選んで、どこが面白かったのか、どんな設定や構成、俳優や声優に好感が持てたかなどについて意見を求め、27人からリポートが届いた。
今回はドラマについてのリポートが多く、23人が19番組について報告してくれた(ドラマ・アニメの重複あり)。最も意見の多かったのは日本テレビの『家政婦のミタ』で5人(重複あり)、『ドン★キホーテ』に2人で、日本テレビの番組に合計8人から感想が寄せられた。TBSでは『南極大陸』『ランナウェイ』など5番組について5人、テレビ朝日では『相棒』『はぐれ刑事純情派』など4番組に4人から報告が届いた。フジテレビとNHKの番組にはそれぞれ3人から意見が寄せられ、フジテレビ『謎解きはディナーのあとで』に2人、NHKでは『坂の上の雲』『真珠湾からの帰還』など別々の番組だった。
アニメでは、『名探偵コナン』(日本テレビ系列)や『けいおん!』(TBS)、『ノイタミナ』(フジテレビ)など、7人から(重複あり)別々の8番組についてのリポートが寄せられた。
- 「私が今毎週欠かさず見ているのは『家政婦のミタ』です。このドラマはタイトルが印象的で、番組が始まる前から興味を持ちました。この番組のいちばんの見所はやはりミタさんです。回を重ねるにつれて過去が明らかになっていくという構成は、どのドラマでも視聴者をひきつけると思います。あとミタさんの発言も毎回同じセリフがあり、家族で見ていて次のセリフをあて合ったりして楽しめます。また、このドラマでは父親と子どもの関係が変化していくのも見所の1つだと感じます」。(東京・高校1年女子)
- 「『家政婦のミタ』は見ていて目が離せないといった感じだった。1話1話刺激の強い内容なので、あれだけの視聴率が取れているのだと思う。このご時世マジメにやっていては視聴率など取れないと思うので、放送コードギリギリのことをやれば、おのずと視聴率もついてくると思う」。(栃木・高校1年男子)
- 「私が最近見ている好きな番組は『謎解きはディナーのあとで』です。北川景子さん演じる宝生麗子と、櫻井翔さん演じる執事の影山が事件を解決していくのですが、その過程がとても面白いです。原作と違う設定も良かったです。原作はあの人が犯人だったから、あの人捕まるんだと思って見ていたら、実は別の人物が犯人だったという予想外の展開で驚きました。原作を読んでいる人にも飽きない作品だと思います」。(岡山・中学2年女子)
- 「父が仕事の合間に見るため撮りだめした『はぐれ刑事純情派』を見てとても面白いと思い、すぐに好きになりました。藤田まことさん扮する安浦刑事が主人公で、毎回事件解決にむけて奔走しますが、事件を起こさざるを得なかった犯罪者の立場を常に考慮し、犯罪行為そのものは許さないものの人を憎まずの精神がとても印象的で、私たちが今後生きていく上でとても参考になることがちりばめられているように思いました。また、安浦刑事が仕事帰りに寄るスナックの場面で、真野あずささん扮するママとの掛け合いがとても面白いです。大人の会話というものはこんなんだろうなあと毎回見入ってしまいます」。(徳島・高校2年女子)
- 「私が最近みたアニメで面白いなと感じたのは『けいおん!』です。高校の軽音部を中心としたストーリーなのですが、舞台が女子高というのがポイントの一つです。今までのアニメでは、基本的には女の子と男の子の出会いや淡い恋を織り交ぜつつ、バトルものなら戦闘を中心に描いていったりするのですが、このアニメにはそのようなくだりは一切出てきません。最終回には卒業するシーンがあるのですが、自分の卒業式の様子と重なりあうような気がしました。学生時代の何気ない日常と、そこで繰り広げられる他愛のない会話はだれしもが経験してきた道なので、それをあえてアニメにすることですべての年代に人気を博した理由なのだなぁと思いました」。(千葉・高校2年男子)
- 「私は深夜アニメ『ノイタミナ~あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。~』が好きです。素晴らしい所はよく考えられたストーリーの深さにあります。幼少期の友人の死をきっかけに離れ離れになっていってしまったキャラクターたちが再び心を一つにするという、ストーリーは簡単でありながらも、それぞれの抱える感情(後悔や罪悪感)が複雑に絡み合っていて、その点が深いと思います。学校のクラスの友人たちに意見を聞いたのですが、みんな最高だったと言っていたし、アニメを見た子が周りの子に見るように勧め、ふだんアニメを見ない子も見てくれていました」。(神奈川・高校1年女子)
- 「NHK制作の『川の光』は動物を主体としたアニメ番組で、背景にとても大きな意味を持たせていると感じました。内容は単純で、かつて住んでいた川を求めて主人公であるクマネズミ3匹が、人間界から川までを大冒険するというものです。ネズミ視点の番組にすることによって、川という自然を破壊している人間の姿、タバコを平気で地面に捨てる人間の姿、動物に暴力をふるう人間の姿…。この番組は自然の大切さを伝えるだけでなく、人間としての生き方を考えさせられる、とても新鮮な番組だったと思いました」。(宮城・高校2年男子)
【委員の主な所感】
- 「報道・情報番組」のジャンルから「ドラマ・アニメ番組」にジャンルが変わって、モニターみんなが生き生きとしている感じがする。良い悪いは別にして、ドラマ・アニメ番組がこの世代にとって身近で自分たちの生活圏の中に入っているからだと思った。
- 同世代が主人公になっている番組が自分と重ね合わせて見られているようで、多く好まれていると感じた。中学1年生から高校2年生までの年齢差によって、見方や受け止め方がずいぶん異なっているようにも感じた。
- 以前ならみんなが見ている番組があったのに今回のモニターを読むと全体的にバラバラで、学校などで話題になる番組が少なくなっているという印象が強かった。
- 複数回答のあった『家政婦のミタ』『ドン★キホーテ』『謎解きはディナーのあとで』の3番組とも、内容は別々のストーリーだが、それぞれとがった部分をマニュアル化して映像化されているように感じ、そういうドラマが好まれているのだと強く感じた。
- 自分なりの意見を持ったモニターも何人かいてよかった。ただ、巷間草食系男子が増えているという話のように、女性が主役の番組が数多く見られているのも特徴だった。
「今月のキラ★報告」神奈川・中学3年女子
私の最近見た面白いドラマは『ドン★キホーテ』です。CMなど番宣をあまり目にしなかったのですが、たまたま1話を見て、それから家族全員でハマって最終回まで楽しく見ました。今までのドラマにはなかったような楽しい工夫が凝らしてあるのがよかったと思います。
具体的には、前回までのあらすじを紹介するときに字幕と共にスペイン語で紹介するというものです。急にスペイン語が流れとても驚きました。視聴者を楽しませようとする工夫が良いと思います。HPを見てみると、撮影風景がUPされていたり、Twitterでは主人公がツイートをしている設定で面白いことを言っていたりと、スタッフと視聴者が直接関わっていました。作っている側も楽しんでやっているのだろうというのが伝わってきました。
内容は児童相談所の職員と、裏社会の組長という関わることのなかった2人が突然入れ替わってしまうという設定です。ありきたりの設定のようにも思いましたが、本来のテーマである児童相談所を舞台とした、児童虐待などの社会問題が頭に入ってきやすかったのだと思います。また主役の松田翔平さんと高橋克己さんの2人それぞれ演技を楽しませてもらいました。1人が2役ずつ演じるのでそれがとても上手で面白かったです。このドラマを見てからファンになりました。最終回もおなかを抱えて笑いました。最後まで裏切らないドラマでした。最近のドラマでは一番です!!
最近のドラマではないのですが、先ごろ再放送されていた『野ブタ。をプロデュース』を懐かしくて、つい毎日楽しみに見てしまいました。このドラマは私が小学生の低学年の時に放送されていて当時も見ていました。しかし今改めて見てみると、当時とは捉え方が全く変わって当時とは違うことを感じながら見ました。内容は、学校中の人気者である男の子が、いじめを受けているさえない女の子を人気者にしようとプロデュースするという友情青春ドラマです。当時は幼かったので表面上の意味しか理解していなく、ただただ出演者が好きで見ていました。
でも今見てみると、とても興味深くて格段に当時より楽しんで見ることができました。表面上の意味だけでなく一歩深くまで読み取れて、とても興味深かったです。歳も主人公と一段と近くなったので自分と重なる部分がたくさんあっていろいろ考えさせられ、昔は出なかった涙が出てきました。「うそ」「孤独」「友達」「信じる」など毎回テーマがあり、感じながら自分と重ねて深く考えてしまいました。同時に「いじめ」などといった社会問題も含まれていてとてもメッセージ性のあるドラマと思いました。こういったテーマが主人公と同世代の私たちにすんなりと伝わってきて考えさせられる、とてもいいドラマだなと心から思いました。
昔のドラマもまた違った楽しみ方や良いものがたくさんあると思うので再放送をもっと充実させたら良いと思います。今の時代はインターネットが発達していて過去のドラマもYouTubeなど動画投稿サイトにもUPされていますが、画質の悪い途切れ途切れの動画より、やはりTVの大画面で見るTVならではの感動や楽しみ方があると思います。
【委員会の推薦理由】
ドラマのストーリーに関心をよせるだけではなく、なにが、このドラマを面白くしているかを多角的に分析し、制作や演出の工夫にも言及したところが評価されました。また、以前好きだったドラマを再放送で見た経験から、自分の受け止め方が変化したこと、理解が深まったことについても、よく自己観察をしています。テレビドラマを通して、自らの成長や心理をも振り返り、テレビドラマの魅力について素直な感想を書いてくれたことが高く評価されました。
調査・研究について
青少年委員会主催の公開シンポジウム「”新時代テレビ”いま、制作者たちへ」を2012年2月10日に全国都市会館大ホールにて開催する。内容は、在京テレビ各局のドラマ・バラエティ制作担当者666人の意識調査の結果発表及びパネルディスカッションの2部構成で、パネリストには杉田成道(演出家)、桧山珠美(テレビコラムニスト)、宇野常寛(評論家)他各氏。詳細及び案内はこちらに掲載。
その他
2012年度の青少年委員会の活動方針について委員長他各委員から意見があり、引き続き3月委員会まで協議することとした。