放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第200回

第200回 – 2013年8月

宗教団体会員事案のヒアリングと審理
大津いじめ事件報道事案の通知・公表の報告・・・など

「宗教団体会員からの申立て」事案のヒアリングが行われ、申立人、被申立人から詳しく事情を聞いた。8月9日に行われた「大津いじめ事件報道への申立て」事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局から報告した。

議事の詳細

日時
2013年8月20日(火)午後3時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、曽我部委員、田中委員、林委員(大石委員、小山委員は欠席)

1.「宗教団体会員からの申立て」事案のヒアリングと審理

テレビ東京が2012年12月30日に放送した報道番組「あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~」において、番組で紹介された男性が、公道で盗撮された容姿・姿態が放送されるなどプライバシーが侵害されたとして、謝罪と今後二度と当該番組を放送しないと誓約するよう求めて申し立てた事案。
この日の委員会では、申立人、被申立人双方からそれぞれヒアリングを行った。
この中で申立人は、「個人情報を無断で放送したこと、とりわけ両親あての直筆の手紙やカウンセリングの隠し撮りを無断で放送したことは私のプライバシーを完全に踏みにじるものであり、重大な人権侵害だ」と主張した。学生時代のサークルの仲間と一緒に写っている写真が使われことについても、人権侵害であると訴えた。また、被申立人がアレフへの団体規制法などを理由に今回の放送の公共性・公益性を主張していることについては、「アレフの団体活動と私、個人の私生活は全く別物」などと反論した。
被申立人は報道責任者や番組担当者ら4人が出席し、「ビデオテープを編集する際にもプライバシーが侵されることがないか、ボカシを入れるなど映像の加工も加えながら個人が特定されないよう最大限の配慮をした」と強調。また「(写真を使ったのは)ごく普通の学生生活を送る普通の若者が入信していくということを表現したいと考えた。今この日本の中で何が起きているか、この事実を報道することに非常に社会的意義があって、公益性があると考えこの番組を制作した」などと、放送に至る経緯や目的を説明した。
ヒアリング後も審理を行い、担当委員が「委員会決定」文の起草作業に入ることになった。
その上で、次回委員会でさらに審理を進める。

2.「大津いじめ事件報道に対する申立て」事案の通知・公表の報告

8月9日に行われた本事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局であるフジテレビが決定について報じた当日の番組同録DVDを視聴した。 【詳細はこちら

3.「大阪市長選関連報道への申立て」事案の審理

朝日放送が2012年2月の『ABCニュース』(午前11時台)において、「大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で『現職市長の支援に協力しなければ、不利益がある』と、職員を脅すように指示していた疑いが独自の取材で明らかになりました」とのリードで伝えたニュースについて、交通労組と組合員が事実と異なる報道によって名誉や信用を毀損されたとして謝罪等を求めて申し立てた事案。内部告発者から大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれたリストに基づく「スクープ」報道だったが、その後リストは内部告発者によるねつ造だったことが分かった。朝日放送は「疑惑が出たこと自体視聴者に知らせるべきニュースであり、弊社を含むすべての報道機関が第一報として報道している。労組が関与していなかったことは続報で明らかにしている」等と主張している。
委員会では、第2回起草委員会での検討を経た「委員会決定」の修正案が示され、担当委員の説明をもとに審理した。結論の方向を確認しつつ記述等を議論したが、引き続き次回の委員会で審理することになった。

4.その他

次回委員会は9月17日(火)に開かれることとなった。

以上