放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第172回

第172回 – 2011年5月

「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」事案の審理

「大学病院教授からの訴え」事案の決定について ……など

先月の委員会で審理入りが決まった「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」事案について、実質審理の開始を前に申立人から申立てを取り下げたいとの書面が提出された。委員会で協議した結果、本事案については審理を行わないことを決めた。

議事の詳細

日時
2011年 5月17日(火) 午後3時~6時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」事案の審理

本事案は、TBSテレビが2010年4月9日に放送した『芸人記者VS超犯罪現場体当たりスクープSP』における、「若い女性に人気があるアメリカのブランドの偽造バッグ販売店を取材し、ブランド品の模倣品販売の実態を視聴者に知ってもらう」という企画について申し立てられたもの。
衣類・雑貨の輸入・卸と販売を手がける申立人は、その行為は法に触れるものではなく、放送により名誉と信用を毀損されたとしてTBSに対し謝罪等を求めて申立てを行い、先月の委員会で審理入りが決まった。
これを受け、申立人の「申立書」に対するTBS側の「答弁書」および関連資料が提出され、今月の委員会から実質審理が開始される運びとなっていた。しかし「答弁書」提出後、申立人より本件申立てを取り下げたいとの意思表示があり、5月12日付で書面が提出された。
委員会で取り扱いについて協議した結果、申立人側にこれ以上争う意思がないものと判断し、本事案については審理を行わないことを決めた。審理入り決定後の申立て取り下げは初のケースとなる。

「大学病院教授からの訴え」事案の決定について

(1)テレビ朝日・朝日放送から対応報告

今年2月に通知・公表した「大学病院教授からの訴え」事案の「委員会決定」で、当該局であるテレビ朝日・朝日放送から報告書「委員会決定を受けての取り組み」(5月2日付け)が委員会に提出され、事務局より報告した。
今回の報告書には参考として別の文書が添付されていた。これの取り扱いをめぐって委員会で意見を交わしたが、この添付書面については局側にも検討を求め、次回の委員会で改めて話し合うことになった。

(2)通知書へ回答

本事案の「委員会決定」に関連して、番組に登場する大学病院医師から弁護士を通じてBPO宛「通知書」が届いた。
「通知書」では、番組前半で取り上げられた直腸がん患者の遺族による裁判で、医師が具体的にこの裁判に関わった事実はないとして、決定の「放送内容の概要」のうち当該部分を訂正するよう求めている。
委員会で検討した結果、当該部分は放送内容の要約に過ぎず、委員会の判断として医師が裁判に関わったかどうかを事実認定したものではないし、要約としても放送内容に反していないので、訂正の必要性は認めないものの、医師から訂正の申し入れがあった事実を決定の「放送内容の概要(3ページ)」に「注記」することとした。(「委員会決定46号」はこちらから)
また「通知書」では、「委員会決定」が、医師の勤める大学病院で起きた医療事件の民事裁判高裁判決を誤って解釈しているとして、この点についても訂正を求めているが、委員会の判断に変わりがないことを改めて確認し、その旨回答することとした。

4月の苦情概要

4月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・1件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・16件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 毎年、各地区のBPO加盟放送事業者との間で開かれている放送人権委員会との意見交換会を10月4日(火)、中国・四国ブロック地区加盟社を対象に広島で開催することが決まった。
  • 次回委員会は6月21日(火)に開かれることになった。

以上