第171回 – 2011年4月
審理要請案件「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」~審理入り決定
2月および3月の苦情概要 ……など
3月の定例委員会が東日本大震災の影響により中止となったため、2か月ぶりの開催となった。この日の委員会では、偽造ブランドバッグを販売したとの放送によって名誉と信用を毀損されたと申し立てられた審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。
議事の詳細
- 日時
- 2011年 4 月19 日(火) 午後4時 ~5時45分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 審理要請案件~審理入り決定
3月の苦情概要
その他 - 出席者
- 堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員
審理要請案件「ブランドバッグ販売をめぐる輸入業者からの訴え」~審理入り決定
偽造ブランドバッグを販売したとの放送によって名誉と信用を毀損されたと申し立てられた審理要請案件について審議し、審理入りが決まった。
番組はTBSテレビが2010年4月9日に放送した『芸人記者VS超犯罪現場体当たりスクープSP』。申立ての対象となったのは、「若い女性に人気があるアメリカのブランドの偽造バッグ販売店を取材し、ブランド品の模倣品販売の実態を視聴者に知ってもらう」という企画。予め店でバッグを購入しアメリカの本部に鑑定を依頼、偽物との鑑定結果を得てレポーター役の女性お笑い芸人らが駅ビル内にある販売店を直撃取材し、その模様等をVTR映像で流した。またゲスト出演した弁護士らが、当該バッグの販売は「法に抵触する恐れがある」等とコメントした。
この放送に対し申立人は「バッグは偽物ではなく違法性もないのに『悪徳ショップ』『違法ショップ』等の罵詈雑言をあびせ、偽物と断定し、販売に違法性があると決め付け、申立人の名誉と信用を毀損した。放送により店員が誹謗中傷を受けて退職し、放送された店が閉鎖に追い込まれるなど営業的にも多大な影響を受けた」等と主張、TBSに謝罪等を求めて交渉を続けてきた。
これに対しTBSは「番組の目的はブランド品の模倣品販売の実態を視聴者に知ってもらうことであり、具体的な店舗名や関係者の特定や告発ではない。したがって、店員の姿、ビル概観や店舗内の映像はモザイク処理等を施し、音声も加工するなど慎重に配慮した。申立人はアメリカの本社がバッグを本物と認めたという証明をしていないし、偽物と判定したことへの反証もしておらず、一般の人々が受け入れられる主張ではない」等と反論。
双方の話し合いは進まず、申立人は今年3月、申立人が代表取締役を務める会社名で委員会に申立書を提出した。
この日の委員会では、申立人から提出された「申立書」および「関連資料」、TBSから提出された「交渉の経緯と局の見解」「関連資料」「番組同録DVD」等をもとに審理入りするかどうかを審議した。この結果、本件申立ては委員会運営規則に定められた審理の対象となる苦情に該当し、且つ団体としての申立て要件も充たしているとして審理入りを決めた。
次回委員会から実質審理が行われる。
2月および3月の苦情概要
2月および3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。
- 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・22件
(個人又は直接の関係人からの要請) - 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・102件
(人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)
その他
- 事務局より以下について報告した。
今年2月に通知・公表が行われた「大学病院教授からの訴え」事案の当該局であるテレビ朝日が4月12日、堀野委員長と本事案の起草主査を務めた小山委員の2人を講師に招き、局内研修会を開催した。同局報道局員ら約50人が出席し、決定の概要について説明を聞いた後、委員との間で意見を交換した。率直で活発なやり取りが続き、研修会は予定の2時間を越えて行われた。 - 次回委員会は5 月17 日(火)に開かれることになった。
以上