視聴者からのご意見

2011年3月に視聴者から寄せられた意見

2011年3月に視聴者から寄せられた意見

東日本大震災についての意見が大半を占めた。放送各社は地震発生直後から厳しい状況下、取材に取り組み被災情報を伝えた。視聴者からは、騒音を出すヘリコプター取材を抑制しろ、生存者の救出の妨害になる、被災者に心ないインタビューをするのは許せない、津波映像の繰り返しばかりでなく安否情報が欲しいなどの批判が多数寄せられた。

3月にEメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は3,655件で、2月と比較して1,848件増加した。これにより2010年度の意見総数は20,419件となった。意見のアクセス方法の割合は、Eメール79%、電話18%、FAX2%、手紙ほか1%。
男女別では男性69%、女性29%、不明2%。
世代別では30歳代32%、40歳代23%、20歳代22%、50歳代10%、60歳以上8%、10歳代5%。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。3月の通知数は1,172件〔42局〕であった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、74件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・ 7件
    (個人又は直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

3月の視聴者意見は東日本大震災についての意見が大半を占めた。2月より倍増の、3,655件だった。
地震による津波は太平洋岸の複数の街、地域をのみこみ、東京電力福島第一原発の放射性物質漏洩事故を引き起こした。死者・不明者が、およそ3万人にのぼる未曾有の大災害となった。放送各社は地震発生直後から厳しい状況下、取材に取り組み被災情報を伝えた。視聴者からは、騒音を出すヘリコプター取材を抑制しろ、生存者の救出の妨害になる。被災者に心ないインタビューをするのは許せない、津波映像の繰り返しばかりでなく安否情報が欲しいなどの批判が多数寄せられた。
首相記者会見時の中継音声や、スタジオと現地中継の切り替え時に不適切な声が紛れ込んだことなど、放送事故に対しても不謹慎であるという批判があった。
16年前の阪神・淡路大震災時の反省が生かされていないという意見もあり、災害時の報道・取材のあり方をあらためて問う声が多かった。また、CMの差し替えとして使用されたACジャパンの公共広告についても、放送頻度の高さや内容について、多数のクレームがあった。
時間の経過とともに意見数は収束したが、11日の地震発生以来の震災報道に関する意見は2,088件にのぼった。
なお、地震の影響でBPOのオフィスも被災し、システム障害により視聴者意見対応の機能を一時休止せざるを得なかった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は126件で、前月より25件減少した。
今月は、報道に関する意見が23件、視聴者意見への反論・同意が21件、低俗・モラルに反するとの意見および性的表現に関する意見が19件ずつとなった。
報道に関する意見については、東日本大震災の報道と、大学入試問題のネット流出事件の報道への批判がほぼ同数寄せられた。視聴者意見への反論・同意については、深夜アニメに対する批判への反論が多数寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • ヘリコプターでの被災地の中継をやめてほしい。倒壊した建物の下敷きになっている人の声が、かき消されて聞こえなくなる。これは阪神大震災の時、実際に起こった。
  • 警察のヘリコプターが被災者を救助する状況を、テレビ局のヘリコプターから実況中継していた。ヘリから発せられる風や騒音は、救助の邪魔になる。人命が関わる現場を、邪魔をしてまで報道する必要はあるのか。
  • 孤立した橋の上で助けを求めている人を映すだけで、「報道ヘリなので助けることは出来ません」などと自己弁護していた。被災者をぬか喜びさせ、手を振ったり叫ばせたりで体力を奪うような行為はどうかと思う。
  • 津波や、建物の被害状況などの映像が多く、被災地でこれを見ている人には、心理的負担が大きすぎる。視聴者が欲しい情報は、現地の食料、水等がどうなっているかや安否の確認などだ。通信手段も現地にはないので、避難所の様子を放送し、少しでも全国の人が安否不明者を発見できればと思う。
  • 菅首相の記者会見を放送していたが、男性の声で「ふざけんなよ。どうせまた、原発の話だろ」という声が入った。その後、女性の声で、微かな笑い声が聞こえ、「笑えてきた」というような会話があった。被災した方々は、家や家族を失い、情報が乏しい中で、知り合いの安否を心配し、つらい思いをしている。この不謹慎なテレビ局スタッフの発言は何事か。
  • 東京電力の、計画停電や原発事故などに関する会見で、記者の態度、言動がひどい。確かに説明がわかりづらかったり、情報が不足していたりするが、だからといって、記者がため口、暴言で攻め立てたりしてよいことにはならない。もはや東京電力の発表よりも、記者が不愉快で仕方ない。しかも記者が聞くことと言ったら、「今回の資料で初めてお詫びの言葉が入った」というような、重箱の隅のどうでもいいような事。マスコミは、情報を伝えるという本来の使命を忘れ、いじめる対象を見つけ、ここぞとばかり、叩くことを仕事としている。
  • 被災者に無理なインタビューをするのは傷つけるだけだ。「今どんな気持ちですか」とは、どういう神経なのか。家族を探している被災者に向かって「誰を探していますか」とは。あなたは考える頭はないのですか。嫌な顔をしているじゃないですか。
  • 衝撃的な津波映像が一日に何十回も繰り返し流されているが、そろそろ、こうした映像は自粛すべきではないか。ほとんどの日本人は、今回の災害の凄まじさを十分に理解したはずだ。避難所でもテレビが見られるところが増えているようだが、恐怖の津波体験から命からがら逃げてきた被災者の方に、こうした映像は「恐怖」を思い出させるだけで、トラウマになる。
  • 各局リポーターは競って被災地や避難所へ赴き、現状を伝え、人々にインタビューをしている。たしかに、我々一般視聴者からすると悲惨な状況をタイムリーに知ることができる。しかし、被災者の中には両親とはぐれた子供や家族の行方がわからない老人が多数いる。そのような方々からすれば、肉親や知人へ現在の自分の避難場所等を報告したいはずだ。どうして、もっと被災者の為に安否確認用のVTRを撮り、放送しないのか。
  • 被災者に対して「家がなくなってどうですか」「家族が亡くなってどういう気持ちですか」、また中学生くらいの被災者に対し「被災したときはどう思いましたか」など、被災者の気持ちや感情を無視した興味本位の質問をするのはやめてほしい。つらい経験をしている方々に、思い出させるような質問は見ていて不愉快だ。
  • 今一番必要なのは安否の確認情報だ。しかし残念ながらテレビはどこの局も同じようなドキュメントを流したり、悲しみを増幅するような報道ばかりで、必要な情報を十分に流していない。各局がばらばらに伝えるのではなく、それぞれが協力して無駄のない報道をするようBPOから促すことはできないか。
  • 民放各局がバラエティー番組を放送しはじめた。各家庭では計画停電や節電などで不自由をしている。テレビ局は節電などの取り組みはしないのか。せめて深夜放送の自粛などするべきではないか。
  • 母親を探す少年と、その祖父と叔母らを映していた。倒れた車の中で母親を発見したところでCMに入った。そしてCMをまたいで「残念ながら死亡していました」と言っていた。クイズやバラエティー番組のように、このような演出をすることは許せない。とても不愉快になった。
  • 家族を失い泣き叫ぶ人々を執拗にカメラで追いかけ、幼い子ども達の悲鳴を間近で撮影し、しまいには遺体安置所にまで足を踏み入れていた。番組制作スタッフの人間性を疑う。神戸の震災で報道による2次被害が多かったので、「子どもにマイクを向けないで」と、医療関係の団体が先日発表しているにもかかわらず、あの内容だ。大切な誰かを失った人々の、気持ちを踏みにじらないでほしい。
  • 昨日救出された16歳と80歳の方の報道についてだが、低体温症との報道があった。翌日にもうすでにカメラが、病室に入るというのは如何なものか。再会の場面を映してお涙頂戴だろうか。もっとそっとしてあげるべきだ。
  • 被災者の方々の大変さがテレビを通して伝わり、心を痛めている。何もできない自分に憤慨しているが、その中で、テレビの情報を大変貴重に感じる。テレビの情報の中に、子供を亡くされた方への取材が放送されていたが、遺族の心痛を思うと、そのこと自体を放送する意味があるのか疑問に感じる。情報とワイドショーの境界がつかず、何でも放送すれば良いという姿勢について、TV局にも倫理が求められるのではないか。
  • 福島第一原発で命懸けの作業にあたっている作業員をもっと応援してほしい。現場の方々は必死で事態を収拾させようと頑張っている。彼らにも家族がいて、逃げ出したい気持ちもあるはずだ。しかし報道されるのは現場での対応に対する批判ばかりで、実際に身をささげて作業している方が報われない。今出来ることは「国全体で現場の作業員を信じて応援すること」だと思う。
  • ACのCMがあまりにも多い。内容はいいとして、ニュースを見ている限り、どこの番組でも何度も何度も連発で「えーしー」「えーしー」と耳障りだ。中越地震の被災者だが、当時はこういう嫌がらせのような何度も何度も連発しての不快なCMはなかった。
  • ACジャパンのCMが「しつこい」「不快」などのクレームが発生していることを知った。私もこれらのCMをよく目にしたが、不適切な内容とは思わなかった。これが営利企業のCMなら自粛したらと思うが、内容はマナー向上や病気予防を訴えるものだ。クレームは大人げない人による八つ当たりだ。
  • 私の住む地域はどんどん停電時間が長くなっている。電車も満足に通っておらず、通勤がとても辛い。普段やっていることをかなり制限して、停電時間外も薄暗い中生活している。これだけ苦労しているのにテレビ局は明かりを煌々とつけ、薄着のアナウンサーが「節電を」と言っているのを見ると腹が立つ。
  • 食料品やガソリン不足が深刻になっているが、その原因を作っているのはマスコミではないのか。被災地や東京都内のスーパーやガソリンスタンドに行列している様子を繰り返し放送し、物不足を煽っているようにしか見えない。牛乳や野菜から放射性物質が検出されたという報道も、過去に起きたダイオキシンに汚染された、ほうれん草のことを思い出させる。真実を報道するどころか、国民を煽って不安にさせているだけだ。
  • 放射線の影響説明は、医師にさせるべきだ。原発事故での放射線の人体への影響説明を、工業系大学の方がよくしているが、人体の影響は医師がすべきではないか。医学的知識が充分とは言えない方が、「人体に影響が無い」と発言するのは、原発推進側の発言ととられても仕方がない。
  • 原発事故から発生した放射線騒動を煽っているのは、報道だ。昨日東京都が「乳児に水道水を与えないで」と言っていたが、これをかなりセンセーショナルに伝え、国民の不安を煽っていた。専門知識がないのに難しいことを伝えなければならないのだから、多少混乱することはわかる。マスコミの本当の役割は国から出た情報を、国民に分かりやすく伝え不安を取り除くべきなのに、国を批判し、不安を煽るばかりだ。
  • 報道に携わる者には、一般人以上のモラルと常識が求められる。記者会見場でのリポーターの発言や、被災地からの中継での発言を見ていると、呆れるばかりだ。大手マスコミは特権を持っているかのような立ち居振る舞いを改めるべきだ。また、東京電力管内では計画停電が実施されているのに、在京キー局が電波を出し続けていることにもいら立ちを感じる。停電によって操業できない企業があることを考えると不公平だ。
  • 地震に関する報道番組で、不謹慎な発言をするアナウンサーや、報道フロア内での不適切な発言が目立っている状況は、テレビ報道における資質の低下ではないだろうか。地震発生直後から各種番組を見ていたが、ほとんどのアナウンサーが被災に遭われた方に対し、「今のお気持ちは」などと不適切極まりない質問しかしておらず、腹ただしく思える。
  • 報道機関の役目は事実を報道することが当然だが、その報道によって視聴者に与える影響も考慮されたものでなくてはならない。常に自己反省を忘れず、報道機関こそが高潔な良識の府としての役割を果たされるよう期待する。

青少年に関する意見

【報道に関する意見】

  • 入試問題のネット流出事件に関する報道について、いくら何でもここまで大ごとにすることなのか。未成年に対してこれほどの仕打ちはひどい。カンニングが悪であることは事実だが、このような未成年を正しく導くようにするのが社会のありようだ。良識ある報道を期待する。
  • 入試問題のネットへの投稿は犯罪としては軽微だ。また、当該受験者が未成年であるにもかかわらず、各社が過剰に報道し、個人の特定が可能な情報を電波に乗せることは、当該受験者の人権を侵害し、未来ある若者の可能性を奪うものである。報道機関として望ましくないのではないか。このような瑣末な問題より、報道すべき重要な問題があると思う。
  • 大震災発足から始まった民放各局の報道に憤りを感じる。パニック状態の中の被災者にマイクを向けて感情を煽ることは、人を人とも思わぬ非情な行いだ。いま必要な報道は、被災者の利益になる客観的な情報ではないか?子どもにマイクを向けることのリスクや、心理的に被災者がどれほど不安定なのかを知るべきだ。
  • 今回の震災報道は、報道番組での不謹慎な態度や発言、子どもへの不用意なインタビューなど目に余る。阪神大震災の教訓が全く活かされていない。子どもや未成年者に「恐かった?友達は無事?」などと聞くことは、不要な恐怖心を煽る恐れがある。「報道の自由」を盾にした傍若無人ぶりに視聴者は怒っている。

【性的表現に関する意見】

  • 人気アイドルグループ主演のドラマだが、「高校生が妊娠」「高校生らしからぬ性的な会話」など、非常に過激な内容である。今人気のアイドルが、ドラマとはいえ低俗な発言をすることはいかがなものか。子どもにも認知度が高いため、子どもが録画して見る可能性がある。いくら深夜でも、多くの人を不快にしたり誤った知識を植え付けてしまう恐れがあるように思える。
  • アニメで、襖が開いた瞬間、和服の女性が着物を脱いで裸で男性の上に覆いかぶさっているシーンがあった。明らかに性行為を連想させるシーンだった。幼稚園児の子どもと見ていたので急いでチャンネルを変えたが、子どもも見ている時間帯にこんな映像は相応しくない。制作者はもっと常識を持つべきだ。
  • 夕刊紙の記事紹介コーナーで、AV嬢がどうのこうのなどと紹介していた。小学生の子どもと見ていて、慌ててテレビを消した。日頃は仕事でこの時間帯は一緒にテレビを見ることが稀なので、非常に考えさせられた。真面目な内容ばかりを求めるわけではないが、学校から帰った子どもが普通に見る時間にわざわざ放送する内容ではないと思う。

【低俗、モラルに反する】

  • 子が見る時間帯に、殺人事件を題材にしたドラマなど倫理上最低な番組を放送してほしくない。申し訳程度のテロップを表示しただけでは解決しない問題だ。CMも最近は借金問題がどうのなどと話にならない。子どもが良くない言葉ばかり覚えてしまい、教育上問題なのでもう少し考えて放送してほしい。
  • 若者の間に無精ひげが流行っているが、非常に見苦しい。これはテレビなどの芸能人に影響されたものではないか。若者はテレビに影響されやすいのだから、芸能人には良い意味での手本であってもらわなければ困る。

【要望・提案】

  • 裸で意味のないことを言ったり、人をバカにしたり、肉体的欠陥を笑いにするような番組は青少年に悪影響だ。もっと道徳的な番組を放送してほしい。道徳的といっても、ドラマやバラエティーでもいい。他人を敬い家族を大切にするよう教えるものを作ってほしい。
  • 地震の映像を何度も繰り返し流し放題ではないか。子どもの心に与える影響を考えてほしい。不安を煽る様な放送はやめてほしい。

【いじめに関する意見】

  • 私は薄毛で、小学生の息子も薄毛で悩んでいる。バラエティー番組で、カツラの毛を飛ばされないようにスピードを競うレースを息子と一緒に見た。息子は黙り込んでしまった。今までも髪のことでいじめがあったようだが、放送で更にエスカレートしないか心配だ。子どもに人気の番組で、いじめを助長するような、肉体的欠陥を笑う放送は問題だ。
  • 子ども向けのバラエティー番組で、大人のあだ名を子どもの出演者が当てるコーナーがある。ところが、デブやブスなど、人の特徴をバカにするようなあだ名ばかり言っていた。こういう番組が子どものいじめを助長しているのではないのか。

【言葉に関する意見】

  • テレビの影響で若い人は日本語が乱れている。「すげぇ」「うめぇ」「マジ」など、粗雑な言葉が氾濫している。テレビの持つ大きな影響力を正しく使えば青少年の育成に役立つのに、負の力ばかり行使している現状は「もったいない」の一言に尽きる。教育上テレビの担う役割について、放送業界には今一度考えていただきたい。

【危険行為推奨番組に関する意見】

  • バラエティー番組の宣伝で放送されているアイドルへのいたずらについて。椅子に座るとその椅子が壊れて尻餅をつくという内容だが、問題だ。危険性が高いし、子どもでもできるため、このいたずらを真似してしまう危険がある。このような内容は放送されるべきではないと思う。

【犯罪助長に関する意見】

  • 最近の事件報道は詳細を伝えすぎだ。かつては淡々と事件の概要だけを伝えていたが、最近では犯罪の手口から凶器の販売先、容疑者の逃走経路までこと細かに伝えている。これらの報道を見て育つ青少年は、いとも簡単に犯罪手口を学んでしまうだろう。このような報道のあり方をBPOでなんとかできないのか。このままでは青少年の犯罪が増えるのではないかと危惧している。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 深夜でもアニメは子どものものと思っている親が多いようだ。深夜アニメに対し「不健全」などの意見があるが、アニメの暴力描写や性的描写に対して苦情を寄せることには疑問だ。アニメにも伝えたいことがあるからこそ過激な表現をしているのであり、無意味ではないはずだ。その点を理解し、子どもに見せたくないのであればしっかりと説明したうえで、意見をしてもらいたい。

【CMに関する意見】

  • ローカル放送でパチンコCMがきわめて多い。昼夜を問わずパチンコ店のCMばかりだ。子どもも見る時間帯にも当たり前のように放送されるので、放送局にはもう少し考えてもらいたい。