第69回 – 2013年3月>
「BPOへ、放送界へ。」 退任委員からのメッセージ
第69回放送倫理検証委員会は3月8日に開催された。
事務局からの報告事項について意見交換を行ったほか、2月の視聴者意見の概要や、3月4日に開催されたBPOの年次報告会等について説明が行われた。
また、委員会の最後に、今回をもって退任する5人の委員からのメッセージが述べられた。
議事の詳細
- 日時
- 2013(平成25)年3月8日(金)午後5時~7時
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者意見2月分について
- 出席者
- 川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、立花委員、服部委員、水島委員
■退任委員からのメッセージ
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吉岡 忍委員長代行 (2007年5月 委員会発足時から)
いろいろ不祥事はあったが放送業界がダメだという印象は持っていない。問題を起こした各局からの報告は的確なものだったし、第三者機関である委員会と放送局とのオープンな検証のしくみは、世界的に見ても例がない貴重なものだと思う。心残りは、世論全体から厳しい指弾を浴びた番組を検証委員会だけは擁護する意見書を書きたいという夢が実現しなかったことだ。 -
石井彦壽委員 (2007年5月 委員会発足時から)
委員会での毎回の激しい議論は、異業種格闘技のような緊張感があった。いろいろな思い出があるが、例えば「光市母子殺害事件の差戻控訴審」の事案では、
メディアは、司法制度や弁護人の役割に関する理解が乏しいのではないかと思われた。一般論として、捜査機関がリークした情報に基づいて番組が作られ、推定無罪の原則が守られていない。放送関係者の皆さんには、司法制度のしくみをもっと勉強してほしいと思う。長かったが充実の6年間だった。 -
重松 清委員 (2010年4月から)
良きにつけ悪しきにつけ「組織」であるテレビの世界の難しさ、さらにその難しさに向き合うべき個人のスキルや常識が揺らいで来ていることを痛感した3年間だった。だが、これからもテレビの可能性を信じていたい。決して萎縮することのないつくり手たちのボトムアップによる「組織」がつくるテレビの表現を、これからは視聴者として期待したいと思う。 -
立花 隆委員 (2007年5月 委員会発足時から)
初めの頃は議論も面白かったが、テレビの世界がだんだん質的に低下して、委員会で取り上げる事案もどんどん小粒になってきたように思う。テレビだけでなくメディア全体が、これまでそれなりに果たしてきた社会を支えるという機能を失っており、健全なメディアのない社会がどうなるかという大きな実験がこれからますます進行するのではないか。 -
服部孝章委員 (2007年5月 委員会発足時から)
「あるある問題」を経てこの委員会ができた時、放送業界も少しは変わるのではないか、活気づいてくれるのではないかと期待したが、現在はそれ以前に戻っているという感じがする。相当ひどいことになっているというのが実感で、これからは、ニュース以外、テレビをほとんど見なくなるのではないかとさえ思う。
次回の第70回放送倫理検証委員会は、小出五郎(科学ジャーナリスト)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、渋谷秀樹(立教大学大学院教授)、升味佐江子(弁護士)、森まゆみ(作家)の5人の新委員を迎えて、4月12日に開催される予定である。
以上